第2章 キャンプ場の朝焼け
桧原湖の朝焼け
キャンプ場の朝焼け
何時だろう?ねむ〜い。たくさんの人の話し声とバタバタという足音が聞こえる。外はまだ真っ暗だ。もしかして〜 お化けが出たあ〜 最初ビビったが、話し声を聴いていると・・・ 「この寒いのにキャンプしている人がいるよ」 「生きてるのかなあ」 なんて会話もあった。 まったく本当に大きなお世話だよ。 |
キャンプ場の夜明け |
ご来光を撮影する人々 |
なるほど近くのペンションや旅館などへ宿泊していた人がご来光を撮影しに来てるんだ。それにしてもわざわざテントサイトのすぐ脇を早朝からガヤガヤ通過して行くなど非礼極まりない。まあ、こういうジジババ・・・いやさ年輩の皆様に配慮を求めても仕方がないかな。 すっかり目覚めてしまった。しかし寒い。防寒シュラフの中はさすがに口の中がカラカラになるほど暖かいが半身ほど出すとブルブルしてくる。早く旅団の防寒ジャケット着ないと凍死しそう。 そして、ちゃっかり朝陽を撮影しに向かった。 |
百人くらいの人が湖畔に並んでカメラを構えていた。そして先生と称されるガイドがいるところからネイチャー関係のショートツアーかな? こんな朝っぱらからテント横をドタバタと跋扈しながらネーチャー教室ねえ?思わず吹き出してしまった。マナー教室やる方が先だろう? しばし寒さを堪えながら待つと歓声が・・・ |
桧原湖のご来光 |
会津磐梯山 |
おー、なんと見事なご来光が。まあ、うるさかったけど起こしてくれたツアー御一行に感謝かな(笑) しばらくすると会津磐梯山の稜線がくっきりと浮かんできた。 おー、これこそ会津地方の象徴。明治初期に大噴火し、頂上部分がふっ飛んで山の型がまったく変わってしまった。この桧原湖もその影響で川がせき止められて出来た。湖底には、村落が眠っている。ボートで沖に出ると今でも当時の鳥居などが確認できる。しばし多くの犠牲者に黙祷を捧げた。 |
どれ、テントに戻ってクッカーで飯でも炊くかな。 テント前で寒さにふるえながらクッカーや米を出そうとしていると 「寒かったでしょ。早くこっちに来てお茶でも飲まんしょ」 とおばさんが管理棟から声をかけてくれた。 『あっ、おはようございます』 誘われるままに中へお邪魔した。 そして、あつーいお茶をご馳走になる。美味しい! 「夕べ、言っておけばよかったんだけど朝うるさかったでしょ」 『いえいえ、お蔭で綺麗な朝陽を楽しめました』 「そうかい?ならいいんだけど」 |
おばさんにおにぎりを握ってもらう |
おにぎりとおかずをいただく |
するとおばさんがおにぎりを握り始めた。実はいつもご馳走になっている。本当に恐縮です。ここは、ひとり旅のキャンパーに実に優しい人情キャンプ場なんだ。 おじさんがご飯を食べながら 「もうこのあたりは霜が降りているから紅葉の見頃は過ぎたよ」 とおっしゃっていた。 『そうですか。まあそれでもスカイバレーに出て少しでも楽しんでみます』 「スカイバレーか。まあ、まだまだ綺麗だからな」 |
それにしても米どころ会津の新米で握ったおばさんのおにぎりはいつ食べても美味しい。 『ご馳走様でした』 「こんなものしかなくてご免ね」 『いえいえ、最高でしたよ。本当にいつもすいません』 「そう言えば、今シーズン最初の利用者も北野さんだったね。最後も北野さんかな?嬉しいねえ」 利用者名簿に記入した後、ノートの筆頭をみると僕の名前と住所がしっかりと記載されていた。なんかとても懐かしい。4月の後半も雪が残る中、ここでキャンプしてたんだなあ。 |
テントやシュラフを乾す |
湖畔の紅葉 |
『来年も一番乗りを目指しますね。本当にご馳走様でした』 と挨拶して管理棟を出た。 気温がぐんぐん上がってきた。テントやシュラフをしばらく乾かして撤収作業開始。テキパキとパッキングしていく。この作業が意外と気が引き締まるのだ。 バイクの暖気を済ませ出撃。おばさんが建物からわざわざ見送りに出てきてくれた。馬上から大きく一礼し、勇躍スカイバレーへ。 尚、この日から3日後には、裏磐梯一帯が初冠雪となったことを付記しておく。 |
スカイバレーへ
お天気良好の中を快走していると高い橋があり、下を見ると。 おー、なんと綺麗な湖畔の紅葉なんだろう。愛機を停めてしばしうっとりと眺めてしまう。本当に心が癒される風景だ。真下ばかり見ていると実に恐ろしいが。 なるほど紅葉の見頃は過ぎているようだ。狭い湖畔の道路には落ち葉がたくさん舞っている。 紅葉真っ盛り?の大きな樹のあるパーキングにバイクを停めて煙草に火をつけた。湖を見るとモーターボートが轟々というかしましい音をたてて過ぎ去っていく。そしてなんのしがらみのない空間に酔いしれる。 |
大きな樹の紅葉 |
綺麗に手入れされた公園 |
なんとなく北塩原村付近の集会所付近に愛機を停めてみた。集会所には温泉の共同入浴施設があり、手前がちょっとした公園になっている。 よく手入れされた木々の紅葉にとても趣を感じる。このあたりに来たのは初めてなのだが、結構な集落になっていた。道路脇にはきのこなどの直売店も軒を列ねて並んでいる。 さて、とうとうスカイバレーだ。アクセルをあげ一番最初の昇りのカーブで大きく右へバンクさせている頃、ほんのりときのこ汁の香りが漂ってきた。 |
まだ一度も走ったことのないスカイバレーから、いよいよ米沢へ突入か。 |