旅をふり返って



キタキツネ

 襟裳岬でキタキツネにチーカマを与えてしまった。後からふと思ったのが、野生の動物がこんなに人間になついてしまって将来的にいいわけがない。

 反省・・・

 後年、とある団体旅行で中山峠付近を通過中、前足のないキツネを見た。きっとクルマから投げられエサをとろうとして事故に遭ったのだろう。

 バスガイドさんが「野生のキツネと観光キツネがいて、道路脇にいるのは観光キツネです」と説明していたのが印象に残っている。

 その観光キツネの末路は、カロリーの高いお菓子などをガンガン食べて秋風が吹く頃には、糖尿病・・・

 冬に穴ごもりするも口が奢ってしまい、野ねずみなどを追う気力もなし。そして多くが冬を越せず死んでいくそうだ。春にはまた別なキツネがやって来て・・・の悪循環。胸が痛い。

一期一会

 後年の北海道病男の僕にとって初めてのロングツーリングである。憧れの北の大地の旅は非常にインパクトのあるよき想い出となった。新鮮な海の幸、ラーメン、ジンギスカンなど食べ物の美味さも秀逸の一言に尽きる。

 嫌な思いをしたのは、帯広のライダーハウスのヌシども。我が物顔で連泊し大騒ぎ。新参者は隅の方に追いやられ小さくなっていた。一ヶ所に居続ける人が多くなると妙な共同体が出現し、排他的になることがある。まさにそれだった。せっかく雄大な土地に来ているのにもったいないと思う。

 北を走るライダーの数はここ数年激減しているそうだ。それでも後年も同じような状況でヌシが仕切るライハが存在するのは残念な限り。結局、ヌシにすっかり嫌気がさしたことやキャンプ旅主体になったこともあり、後年のある時期から、僕はライハをまったく利用しなくなった。まあ、ある程度の年齢になればこういった無料とか格安の施設は敬遠し、経済的に大変な若者を優先させるべきだろう。

 最初の(1987年)北の旅には、まるで計画性などなかった。テントもなし。でも知り合った人からの情報で「明日はここに行って見よう」と次の目的地に向かうのが、楽しくてしょうがない日々でもあった。

 道東や道北の雄大な景色はもちろ筆舌にし難い。でも僕は、それ以上に親切で人情味あふれる旅人や地元の皆さんとの出会いがとても衝撃的で魅力にあふれていると痛感した。

 きっと本州で忘れられた大切なものが存在し、その雰囲気に触れたいがために、多くの旅人たちが北へ帰ってくるのだろう。




すべては忘却の彼方へ行きそうだった1987年夏の旅の出来事・・・



でも僕の北の旅の原点であることに今も変わりない。







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