北海道ツーリング2005後編












 早朝に目覚め、和琴半島の公衆浴場で汗を流した。でもやっぱり熱過ぎて湯船には浸かれない状態だったが。

 クッカーで飯を炊き、炒めてチャーハンにする。味はまあまあかな。

 さて天気もいい。長期滞在をするつもりはないが、あと1日だけ連泊し、道東を楽しもう。なぜか知床岬でどうんざりした歩きだが、摩周岳に登りたい気分。
 昨夜、一緒に飲んだおとうさんが、次なる幕営地へ羅臼経由で旅立つそうだ。まるみ食堂の情報をお教えし、暫し後姿を見送る。連泊組の諸氏も次々に出撃していく。

 俺はマシンを売店前で暖機させながら、受付で連泊の意思を伝えた。

 そして
『ここに書いてあるヒメマスのちゃんちゃん焼きを夕食に食べたいのですが』
 と管理人のおじさんに申し出る。
「ありがとうございます。それじゃあ、18時半に湖心荘の大広間で待ってるよ」
 おっさんは言っている。湖心荘はキャンプ場の親戚の旅館で、多くのキャンパーが入浴のみで利用することでも知られている。
『じゃあ、お願いします』
 と言い残して出撃。 
 非常によい天気のなか、R243を快走する。

 摩周湖へ向かう峠の入口付近のセイコマ隣にある「摩周アイス」の看板がどうにも気になり、寄ってみることにした。

 オーダーしたのは「摩周ブルー」とバニラのダブルだ。摩周ブルーは、その名の通り摩周湖をイメージした、ソーダ味でリキュールも多少入っているアイスだ。

 なっ、なまらうめえ!
 ワイディングを心地よくクリアしながら峠を登り、摩周湖第一展望台に到着。

 係員のおばちゃんへ駐車料100円を支払い、
『摩周岳の頂上まで往復したらどれぐらいかかるの』
 と訊いてみた。
「7時間ぐらいはかかると思うよ」
『ゲッ!マジっすか?』
 今、11時だから帰りには日が暮れてしまう。
 こりゃだめだ。摩周岳登山はあっけなく断念。次回は早朝に来て余裕を持って登頂することにしよう。

 でもまあ、せっかくだからと思い多少は登山口から歩いてみた。すると登山道が荒れ放題。笹や雑草が肩近くまで伸びている。半袖姿の俺は登山を思い留まって正解だった。

 ただ、登山口から見た摩周湖は絶景に尽きる。8ヶ月ぶりに深窓の美女「摩周湖」へ再会することができた。あまりの美しさに胸がジ〜ンとしてしまった。
「摩周湖の環境を保護するため、湖岸への立ち入りを禁止します」
 こんな看板を発見。

 ということは、ここから摩周湖へ降りれるんだ。うっ、かなり行きたい。でも俺は公序良俗を踏まえた良識ある社会人(嘘っぽいヨッパライダーだが)だ。ここは堪えよう。

 後ろ髪をひかれる思いで、登山口へ引き返した。 
 しかし、摩周湖、この美しさはいったいなんだ。何度来ても飽きることはあり得ない。

 近い将来、このあたりも世界遺産登録に向け、規制が入るかもしれない。すべての車・オートバイの進入を禁止し、エコバス(ガソリン車じゃないバス)のみでしか摩周湖へ来れなくなるとか。

 摩周湖付近の自然環境を守るためなら俺は賛成する。でも世界遺産登録のためだけなら、ただのコンコンチキな話というか笑止なり。
 続いて藻琴山展望台Pへ向かう。ここも先日、雨のため屈斜路湖が見なかった。きっちりとリベンジしておこう。

 しかし、走行中、右耳が痛くて耐えられない。なんだろうと思い、マシンを停め、メットを脱ぐとハサミ虫が入っていた。ゲッ!

 今日は藻琴山から綺麗に屈斜路湖が見渡せた。

 予は満足じゃ。
 藻琴山駐車場Pから道道102を網走方面へ向かう。

 牧草地やとうきび畑が広がる牧歌的な風景が続く。気温はうだるように暑い。

 そしてこんな光景が。バス停が「中山宅前」。個人名がバス停になってるよ。バス会社も個人の名前を使うしかないくらい他に目標物がなかったのかな?
 さらに「荒木さん前」・・・

 おい、いくらなんでも安易にバス停の名前つけ過ぎだぞ。

 とは思ったものの道東らしくて、おもしろいかも知れない。俺は吹き出しながら画像を撮影していたが、道路工事の警備をしていたおばちゃんが、なにがおもしろいんだろうと不思議そうな顔で俺を睨んでいた。

 撤収!
 山中を延々と走り抜き網走湖を通過。そしてオホーツク国道へ入り網走駅到着。ここで、なぜか立ち食い蕎麦をすする北野の姿あり。

 そして能取湖岬到着。なかなかの景色だ。ここで本当は朽ちた番屋とかもじっくりと見学したかったのだが、湖心荘へ「ひめますのちゃんちゃん焼き」の予約をしているので、無念ながらUターン。次回、ゆっくりと訪れることにしよう。
 結構、慌てて和琴に向かうオホーツク国道での出来事。

 右折するトラックがいきなりウィンカーを出して停車した。北海道巡航速度で走っていた俺はパニックになりフルブレーキング。

 タイヤが前後とも強烈なブレーキ音をたてながら大きく横にスリップしていく。もうダメかと思ったがギリギリ間に合った。

 なんか、この旅は、こういう展開が多い。

 冷や汗を流した。ご覧の皆様も充分事故にはお気をつけください。




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