北海道ツーリング2005後編
一夜明けて
12
「北海道のお盆なのに異常な暑さだ」 たくみんさんが、嘆いている。本当に考えられない暑さだった。 俺は昨夜、あれほど飲んだのにダメージは少ない。みなさん次々に起きだして撤収の準備をしていた。 俺もテントを乾し、一服タイム。ふと周囲を見るとまだ大量のジンギスカンが残っている。 『朝食もジンギスカンを焼きますか』 またも俺のCGminiとAOさんの炭コンロで火を熾した。もうこの旅では和琴で買った炭は使わないので残りは全部AOさんへ差し上げる。 そして何人かで肉をつまみだしたが、さすがに朝から焼肉は重かった。 ウチノさんとか早出組の人たちは次々に出撃していく。コマンダーさんたちは美流渡温泉へ浸かりにいった。 「では、また来年!」 そしてAOさん、ミヤさん、Makisyoさんたちもそれぞれの目的地に向け出撃。 俺も風呂に入るか。コマンダーさんたちと入れ替わりで湯船に入った。少し狭いが、いい湯だ。体を流し、また湯に浸かる。窓の外を見ているとコマンダーさんや団長Genさん、たくみんたちも次々とダートを走っていく姿が見えた。 外で見送りできなかったけど、どうか来年までお元気で。 風呂からあがり、利用料をおばさんに精算し外に出る。たちまち熱風にさらされ汗が噴き出してTシャツがグシャグシャになった。 テントサイトに戻るとやまちゃんが、ポツンと残っていた。これは待たせてしまったようで申し訳ない。 『今日は道楽館へ泊るだけなんで、俺はゆっくりでいいんだ』 と言うと 「ぼくも道楽館へ泊っていいですかね」 やまちゃんが道楽館? 『とりあえずソットーさんに携帯で聞いてみるわ』 道楽館に問い合わせるとソットーさんは、とても忙しそうだった。 「ちょっと待って、泊れるかどうか確認するね」 どうやら盆時期で激混みらしい。 「まあ、なんとかなるでしょう」 とソットーさんは応えた。 『ところで、どうして道楽館に泊りたくなったの』 やまちゃんへ問うと、 「実は、北野さんの冬の北海道の旅を読んで、なおさんに会いたくなりました」 『・・・・・・・・・・』 暫く俺はポカ〜ンと絶句してしまった。 『そうだったの?なおさんに会いたいの』 レポの登場人物に惚れるとは、よほど俺も文章表現力がついたのか?はたまた俺の撮った画像がよかったのか?いや、なおさん個人のルックスが魅力的なのだろう?多分? 「では夕方に道楽館で」 やまちゃんはにこにこしながらお辞儀をし出発する。 『おう、気をつけてな』 やまちゃんは、とにかく底抜けに明るい男だ。 俺はゴミなどが落ちてないか最後にサイトを入念にチェックした。そしてマシンを暖気させ、旅館の入口からお世話になった礼を言い、アクセルを挙げた。 熱風のなか、夕張方面へ向け峠道を縫うように走った。 めろん城到着。ここのパーキングで暫し休憩。そして携帯で自宅にTELした。 『俺だ。昨夜はオフキャンプをしてた。コマンダーさんやミヤさんとか、みんな元気だ。今、夕張のめろん城に居るよ。明日には苫小牧から船に乗る』 一応、妻に近況を報告すると、 「めろん城なの。じゃあねえ、夕張めろんアイスを送って」 うっ、しまった。以前、ここから夕張めろんアイスを1ダースほど送って女房から好評だったんだっけ。 『ああ、分かったよ』 と言いTELを切る。違うところから連絡すればよかったぜ。結構お高いし。 リクエストの買い物を済ませ、再び出撃。しかし、腹が空いてきた。うまい具合にTMに「らーめんのんきや」と掲載されていた。 |
大きなホテル脇の小道を登ったところに「のんきや」はあった。おばさんひとりで切り盛りする小さなお店だが人気店らしく行列ができるほどの盛況ぶりだった。 さてラーメンのお味は、実にシンプル。昔の支那そばという感じかな。どちらかというとお酒を飲み終えた後に食べたい気がする。 美味しくいただきました。 |
旅団に到着。 『今回はお世話になりました。美流渡で最後の点検を済ませて来ました。いいキャンプ場を紹介してもらってありがとうございました』 団長Genさんにお礼を言うと 「美流渡はわたしにとって、北野さんにとっての裏磐梯ママキャンプ場と同じような存在なんですよ」 とにこにこしながら答えていた。 どうやら幹事長さんは体調を崩したようでお休みらしい。Genさんは忙しそうだった。お客さんも次々と来店している。 俺はアイスコーヒーを飲みながら、仙台から来たというお客さんとすっかり意気投合してしまった。なんでも昨日、長沼温泉を利用したそうで、もしかしたら俺とカブっていたかも知れない。 さて、そろそろ上富良野へ向かわないと。団長Gen氏へ、もう一度礼を言い、旅団を出た。 夕刻の夕張国道は相変わらず交通量が少ない。気温も劇的に低下しており、とても心地よかった。 もう間もなく俺の長い夏の北海道ツーリング2005の旅も終わりになる。 北野の襟元へ巻きついたバンダナは、勢いよく涼風へなびいていた。 |