第4章 そして今日も雨だった



雨の出撃


日の出公園キャンプ場



バイクの前にテント設営
 少し迷いながらもAOさんの機転などでなんとか日の出公園キャンプ場へ入った。

 ここは500円の有料だが、新しい施設がよく整備されており、綺麗な芝のサイトだ。管理棟の受付のおじさんもとても親切丁寧だし。なんと夜には数名のガードマンが巡回警備もしてくれるセキュリティの徹底ぶりなので、女性でも安心して幕営できるお薦めのキャンプ場だと思う。
 さっそくトイレの手前だが駐輪場の目の前にテントを立てた。設営を終えて煙草を吸いながら空を見上げると今にも泣き出しそうな空ながらもどうにかもっているという感じだ。

 さて、風呂に行くか。キャンプ場から歩いて約10分くらいで「フラヌイ温泉」という施設がある。歩くとバイクでは気づかない目線というものがあるから、俺は歩くことを非常に大切にしている。そしてよく目にしたのは「ホルモン焼き」の看板。この街の人は「ホルモン焼き」が好きなのだろうか?俺個人はセイコマ限定の「塩ホルモン」が大好きだ(あんまり関係ないか)。

 フラヌイ温泉到着。自販機で600円の入浴券を購入し受付へ渡した。休憩室等それなりの設備があり、地元の人が多く利用する温泉らしい。なんでも田中邦衛は例のドラマですっかり富良野周辺へ魅了され、この付近の旅館(ホテル?)にお忍びでよく滞在しているとか。そして時々フラヌイ温泉の湯船に浸かっている姿が見られるという噂が、実しやかに流れている。残念ながら俺はご一緒できなかったが(笑)

 さてお風呂は2種類。熱い温泉と冷たい源泉。熱いほうに入って、ややのぼせ気味になったら源泉で体を冷やすととても気持ちよかった。体の芯に溜まっている疲れが一気に落ちていく感じがする中、俺は爽快な気分でフラヌイ温泉を後にする。

 帰りがけにセイコマではない某コンビニに寄った。セイコマばかり利用しているので野営者にとって他のコンビニはどうしても品揃えに欠けて見えてしまう。缶詰すら置いてなかった。
 テントサイトに戻り、夕ご飯の準備。AOさんから無洗米をパックごと頂戴する。AOさんは明後日から仕事なので、明日いったん札幌に戻るそうだ。有難くいただきます。

 というワケで今回初登場の新兵器「チタンクッカー」炊飯の効力を試す時がやってきた。昨年まで「飯ゴウ」を使用していたがガサばるし。

チタンクッカー
 俺は昔と違い(歳なので)意外に少食なんで0.5合あれば充分だ。しかし1合炊きででも至難の技といわれるのに、0.5合炊きなどまさに神の領域だ。

 米1:水1.2の割合で配合し、やや弱い中火で慎重に炊いていく。しばらくすると沸騰が始まり水蒸気が完全に飛ぶまで気長に待つ。やがて水気が完全に抜け、焦げるか焦げないかという微妙な煙と匂いを嗅ぎ分ける瞬間が訪れる(この判断が一番難しいと思う)。

 「今だ!」。火を止め15分ほど蒸らして待つ。ここでくれぐれも飯ゴウみたいに容器を逆さにしないこと。せっかく炊いたご飯がこぼれます(経験者は語る)。そして約15分が経過して蓋を開けると・・・ 

 ご飯が立ってる。カニの穴も開いている。上手く炊けてるぜ。旅の後半になると0.3合炊きにも成功するというゴッドハンドぶりを発揮する北野だが、初チタンクッカー0.5合炊きの成功は前途に一筋の光明が見えるほど嬉しかった。

 おかずはサンマの蒲焼。味噌汁はインスタントだが最高に美味しいほっかほっかご飯で夕食を楽しむことができた。その後、AOさんと珈琲酎やワリッカの梅割りなどをガブガブ飲んで、ふにゃふにゃに酔っていく。そういえば北海道の綺麗な星空なんて去年の夏から一度も拝んでいない。どこへ行ってしまったんだ?俺のミルキーウェイ?

 そして静かに上富良野の夜はふけていく・・・


そして今日も雨だった


 翌朝、起床すると上富良野上空はやはり厚い雲に覆われていた。洗面してさっそく朝食の準備に取りかかる。米のクッカー炊きも連戦連勝。納豆とインスタント豚汁でご飯を食べた。朝食がホント美味い。

 腹も作ったのでテント撤収。ここで・・・ザーーー

 無常の雨。せめて撤収中くらい見逃してもらいたいものだ。しかし、旅系ライダーが愚痴をこぼしてもしょうがない。トボトボと片付けてバイクへのパッキング終了。

 ではAOさん旅の後半にて再会しましょう。すっかりお世話になったAOさんへ別れを告げ雨の中、俺はスロットルをあげた。

 雨の中、花人街道を旭川へ向け黙々と走る。

ぜるぶの丘
 途中、ぜるぶの丘の看板があったので立ち寄ってみる。本当にいろいろな花が咲き乱れ秀麗な美しさを醸し出した丘だ。入場は無料だし。ただ・・・

 雨雨雨・・・

 これで天気さえよければ満点だろう。ここで購入したばかりのツーリングマップル2003が雨のため表紙が破れる(涙)

 観光バスがバンバン入って来たので静かに撤収した。


旭川


 雨の中、旭川の市内に入った。そしてR40を走行していると「みづの」の看板を発見。ツーリングマップルにも掲載されている有名な店だ。

 お世辞にも綺麗とは言い難い店内に入り、ラーメンをオーダー。ひとくちスープをすすり、麺を頬張ると・・・

 美味い。あっさり系だがなんともいいダシの香りが口の中でとろけていく。麺も歯ごたえがあり俺好みだ。冷えた体が温まる。これで460円。お薦めは「生姜ラーメン」とか。

「みづの」のラーメン

常盤公園
 「みづの」のすぐ後ろ側に常盤公園があるので、腹ごなしに散策してみることにした。

 なんと明治43年開園だ。日本の都市公園100選にも選ばれている。冬は「氷彫刻世界大会」や「あさひかわ雪あかり」が開催され、世界最高峰というレベルの高い作品が出展されるそうだ。
 雨の公園内をしばらく歩くと道立旭川美術館があり、彫刻を始め、道内ゆかりの作家や木の造形作品などさまざまな作品が展示されている。

 大きな池の前の屋根付きのベンチへ腰をおろすと噴水が勢いよく噴き出した。旭川?噴水?そして過去の忌まわしい記憶。「旭川噴水転落事件」を思い出した。

 そう熱心な読者ならご存知の通り。「永久ライダー史」に残る伝説の出来事。詳しくは1999編に掲載しております。

整えられた花壇

石狩川
 公園の横には石狩川が流れていた。

 街と自然が非常によく調和がとれていると思った。過去の俺の悲惨な事件はともあれ、旭川、なんて綺麗な街なんだろう。俺は旭川が凄く気に入った。

 また世界一の巨大雪像が毎年1基作られる旭川冬まつりは、一見の価値あり・・・とか。
 冬の旭川、かなり寒そうだけど一度じっくりと訪ねてみたいもんだ。そういえばAO氏のご実家も旭川だった。つうか北野自身の祖先(本家)も旭川で屯田兵をやっていたりした。恐らく俺がこれほど北海道ツーリングに熱く燃えたぎる思いがあるのは、ほとんど血筋かもしれない(笑)。

 水しぶきをあげなが永久ライダーは雨の旭川を去った。

 ちなみにまだ2泊しか経過してないのにこの状況。本当に怒涛の14連泊キャンプは達成できるのだろうか?