第15章 和琴帰行



ルミさんと北野(撮影:kenさん)   


それぞれの旅路


 ほとんど全員が意外に早朝の起床。

 コマンダーさんは、なんと外で寝ていた。

 マジっすか?

 もう俺などの常人の及ぶ範疇ではない。凄い!超人だ。

 さて、朝食は昨夜の残りのジンギスカンがたくさんある。またもAOさんに炭火を熾してもらい、ラム肉をつまむこととする。

 しかし、急用ができたルミさんは、早々と大阪に戻らないといけないという。せっかく会えたのに残念だ。kenさんが、北野とルミさんのツーショットを撮ると言い出すもルミさん、ちょっぴりひき気味かな?(ショック)

 それが、このページ冒頭の画像である。
 
 でも、かなり哀愁のある画像となった。キャンプ場から、ひとり寂しそうに坂を降る彼女の背をずっと見つめていた。いつかまた会いましょう。うちのサイトなんかを一生懸命見ていただいている貴女の存在がある限り、『永久ライダー』の旅の軌跡は連載し続けるつもりだ。

 とにかくお互い日常に負けないように頑張ろう!

 そして、残ったメンバーで、むさぼるようにジンギスカンを食べてる最中、突然の大雨。ヒャー・・・

 ミヤさんもそろそろ残り日程が少なくなったそうだ。これから雨の中、ひたすら走り、今日中に富良野入りするそうだ。

 ここから富良野ってかなりあるぜ。しかも雨だし。でも混浴ライダーも男だ。一度決めたことを翻すことなく、セルをまわした。まあ、また365日後に確かに会おう。北海道病の我々には三国志の「桃園の誓い」並みの高度な信頼関係が成立している。

 達者でな!

 続いて、kenさんなど次々にそれぞれの旅路へと出撃していく。

 雨脚がさらに強くなってきた。

 さて俺は・・・

 和琴に帰って温泉で温まろうっと(弱っ)。

『コマンダーさん、とりあえず和琴に撤退しないですか?』
「そう、しまっか」
 コマンダーさんも2つ返事で、和琴入りすることに決定。AOさんは知床自然村に停滞し、洗濯とかしたいと言っているが、まあ、気が向いたら和琴でということで。

 ヘルパーさちさんや炭焼き先生AOさんに見送られ出撃!

 荒れ放題のダートを冷や冷やしながら、なんとか降りた。

 コマンダーさんを乗せた愛機「スティやん」をZUミラーで確認し、雨の知床半島を一気に駆け抜けた。

 R244、通称野付国道。対向車もほとんどない素晴らしい道だ。川北温泉の看板を素通りする頃、雨も完全にあがってきた。

西7号線
 途中、西7号線に右折すると道が地平線へ消える衝撃的なストレートだ。思わず画像を撮影する。

 中標津市街で、ハマリ方2に掲載されていた特大とんかつ深川屋を探すも見つからず。やむなく蕎麦屋で、コマンダーさんは、豚丼+盛り蕎麦、俺はカツ丼+盛り蕎麦。そのボリュームが凄過ぎる。俺は残すが、コマンダーさんはさすがに完食した。


スティやん、ガス欠!

 さて、そろそろ和琴へ向かおう。

 ここで、コマンダーさんから、マシンの燃料が尽きかけているので、スタンドがあり次第寄ってもらいたいと要請があった。

 了解。

 ところが、道道をひたすら走るも何もなし。ひたすら草原のみが広がっている。スタンドなどまったく見当たらない。

 どうしよう。

 とうとうコマンダーさんのマシン(スティやん)、ガス欠なり。

 別海恐るべし!

 すぐにガソリン補給して来ますから待っててくださいと俺はコマンダーさんに言い残し、アクセルをあげた。しかし、いくら走ってもスタンドらしきものはない。8キロほど進んだ虹別の集落にて、ようやくホクレン発見。ところが容器が20リットルからしかないとのこと。

 そんなに積めん。そこで、石油ストーブ用のポンプに目をつけた。バイクタンクからバイクタンクへ輸血形式で、送油することを思いつく。とりあえず、僕のマシンを満タンにして、ポンプ購入。

 そして、8キロ逆戻り。コマンダーさんのマシンに横付けし、送油完了。いや、一時はどうなるかと思った。ふたたび虹別へ引き返しホクレンで、「スティやん」を満タンにしている頃、雲行きが怪しくなって来たぞ!

 和琴キャンプ場へ、急げえ〜

 パラ、パラパラパラ・・・・・ザー

 思いっきり雨の中、このあたりを熟知しているはずの俺が道を間違えるなどしながら和琴キャンプ場へ帰還した。なんとか和琴は雨が降ってない。でもすぐにも降りそうだ。とにかく急いでテントを立てた。


和琴帰行


 テントを張り終える頃、炭焼き先生AOさん到着。続いてkenさんも現れた。続々と今夜の役者が揃って来たぞ!

 さあ、AOさんのコンロで、ジンギスカンでもあぶって・・・なんて思っていると大雨。

 やむなく全員、北野のテントへビバークと相成る。

今にも降りそうな和琴キャンプ場

北野テントの宴(コマンダーさんとAOさん)
 いや〜、男ばっかし4人で狭いテント内で、酒を飲んだ。

 それもまたオツでよろしきかな。コマンダーさんがホーミー(ふたつ以上の音を同時に発声するというモンゴルの喉歌)を盛んに口ずさんでいる。

 どうやら雨はあがって来たようなんで皆で外へ出るも・・・
 酒をちびりちびりやり過ぎた永久ライダー・・・

 間もなく・・・
 こんな(右画像)状態になってしまう(いつものように)

 そして、トイレに行って、スリッパを失くしたり、別のテントへ間違えて入りそうになったりといかんなくヨッパライダーぶりを発揮して、みんなに迷惑をかけまくる。

 毎度毎度申し訳ない。


ヨッパライダー北野(画像提供:AO氏)
 俺は、つまり、さっさと撃沈してしまったが、他の皆さんは遅くまで、じっくりと語り合ったようだ。

 早く寝た分、早朝に起きる。

野塾求道者コマンダーさん
 速攻で、屋根付きの公衆浴場へ行くもやっぱり熱過ぎる。体を流し、髭を剃るだけに留め、またも和琴露天風呂でまったりした。これが和琴キャンプ場の神髄なり。

 さっぱりとしてテントに戻り、ふと横を見ると・・・

 あ〜、コマンダーさん、また外で寝てるう〜

 もう、何も言うまい(爆)。
 少し雲が多いものの陽が差している。ここは動かずテントを乾すなどして連泊した方がよいと判断した。

 コマンダーさんにも明後日の「日勝オフキャンプ」へ合流してもらいたかったのだが、14日はどうしても先約があるとのことで、ここでお別れとなる。

北野とkenさん(画像提供:ken氏)
 kenさんは、今日は根室方面へ向かうが日勝オフへは参戦するとのこと。そして、ふたりで記念写真を撮った・・・がっ、足元に誰かが倒れてるぞ?

 kenさんが、根室方面へ出撃して行く。

倒れている人1名(画像提供:AO氏)
 そして俺は連泊なので、テントを張ったまま釧路へ行ってみよう。お昼は和商市場で、久々に勝手丼を賞味するのも悪くないな。細岡展望台もじっくりと見ておきたいしなんて考えていたら・・・

 お昼寝中のコマンダーさんが、ようやく起きてきた。そして奥の共同浴場を紹介するとなかなか帰って来ない。もう、我々も以前のように決して若いとは言い難い。

 まさか・・・
 なんて心配していると・・・
「ほんまに熱い風呂ですなあ・・・」
 ようやくコマンダーさんが帰ってきた。杞憂に終わってよかった!

 しかし、終始マイペースなコマンダーさんとも、この夏はもうお別れだ。

「どこ行こか?根室?釧路?北見?」
『あれっ?まだ決めてないんですか?』
 
「ほな、ぼちぼち行きますわ」
 コマンダーさんらしい別れの言葉を残し、愛機「スティやん」と風と共に消えて行くのだった。

 では、また来年まで!お元気で!

 そして、俺もテントを張ったまま釧路方面へとアクセルをあげる。

※尚、コマンダーさんは翌月(9月)にも今年3度目のモンゴルツーリングへ果敢に参戦。不運なアクシデントに遭うも旅を完遂(その勇姿はアウトライダーVol.4へ掲載される)。