第8章 時空を越えて
時空を越えて
大阪屋食堂のおばさん
狩勝峠パーキング |
Mr.GNUを出発し富良野を素通りする頃までは薄日が差していた。しかし狩勝峠に近づくにつれ、霧と雨が激しくなってきた。前がぜんぜん見えん。たまらず狩勝峠パーキングにて小休止。 こんな気候でも若いチャリダー集団が、売店でいもだんごとかを食べながら大騒ぎしていた。 元気があってたいへんよろしい! |
霧で苦労しながら峠を降り鹿追町に入ると日が差してきた。天候が回復してきたぞ。昨年も通った17キロの見事な直線、R274(士幌〜幕瓜線)を快走する。相変わらず気持ちがいいストレートだ。 士幌、上士幌とアクセスし、足寄町へ入る。腹が減った。なんとなく15年ぶりに「大阪屋食堂」へ行ってみたくなる。途中、盆休みのせいか渋滞している町中をゆっくりとすり抜けながら進んだ。すると僕を呼び止める男がいる。 「あのさ、この先でね、お巡りさんに駐車場に誘導されるが驚かないでね」 彼は、まだてんで若い(学生?) 『誰だおまえ?』と馴れ馴れしさに思わず一喝。おまけに空腹と渋滞でイライラモード。 彼は驚いて、どん引きしてしまう。ゴメンネ。でもイベントがあると関係者でもないのにやたら張り切るヤツっているんだよね。いつの時代にも。 今度は、警察官が警棒で僕を駐車場に誘導している。 『俺は、急いでいるんだが・・・』(ホントは腹が減っているだけなんだが) 「じゃいいです」と警官は存外あっけなく諦めた。 交通安全のキャンペーンかな?「自由な旅の空」を追い続け、強制されるのが大嫌いな永久ライダーには官憲も通用しないのだ(ホントは腹が減っているだけなんだが) |
大阪屋へ入った。なにも変わってない。駐車場も店内も15年前とまったく同じだ。まさに「時空を越えて」である。 初めて北海道に来た時、ふらっと入り「豚丼」を食べた。居合わせたライダーたちと記念写真も駐車場で撮ったっけ。 |
味噌焼肉 |
ライダーハウスの元祖といえる大阪屋は、今も食事をするとタダで泊めてくれるサービスを続けていた。なにもかもがあの頃のままだ。 「いらっしゃい」おばさんの声がした。 『15年ぶりに来ました』と言っても覚えているわけがない。 「そうかい、そりゃ懐かしいねえ」 相変わらずポンポン言葉が返ってくる。 「結婚もしたのかい」 『ああ、したさ』 「しょうがないねぇ〜、奥さんは置いてけぼりかい」 う〜む、それを言われるとかなり弱い。 「15年前というと学生の時かい?」とおじさんも会話に入ってきた。 『一応、大学4年でした。もう随分昔の話しになったけどね』 大阪屋では、連日の悪天候のせいか、宿泊者が25人、30人と大盛況だそうだ。 おじさんとおばさんの人情の味を賞味して店を出た。混みあう店内からおばさんの 「気をつけて行くんだよ」の声。 この一声まで15年の時空を越えていた。 |
阿寒湖周辺
白藤の滝 |
R241を走り、足寄峠手前でツーリングマップルに標記されている「白藤の滝」へ立ち寄るために林道へ入った。 誰も居ない。駐車場に愛機を停めて歩くこと数分。なんて綺麗な滝なんだろう。ここは本当に超穴場だな。岩に腰かけじっくりと滝を鑑賞する。見れば見るほど名瀑と言える。滝を構成する幾何学的な紋様の岩が際立つ。 |
阿寒湖へ到着。相変わらず俗化されていている観光地だが活気があってよい。 阿寒湖へ来た目的は、「ボッケ」を見ることだ。駐車場から湖畔の遊歩道に出て暫し歩くとボクッ、ボクと泥が噴出している池?を発見。 ボッケとは、火山活動により発生した硫気ガスや水蒸気が、熱い泥とともに噴出している泥火山のことだ。アイヌ語で「煮え立つ」の意。 |
ボッケ |
双湖台から見るペンケトー |
阿寒湖の駐車場をでてR241へ戻る。 雄阿寒岳を横目にしばらく走ると「双湖台」だ。もろ観光名所だが初めて訪れる。まあ、お盆休みの影響もあるのだろう。本当に混んでいた。しばらく歩くと売店があった。おそらく、ここから眺めるペンケトーがビューポイントと判断して撮影する。 そしてペンケトーは噂どおり北海道の形に見えた。 |
そろそろ和琴キャンプ場で幕営しよう。