第7章 天気予報の嘘つき



Mr.GNU


天気予報の嘘つき

8月10日 朝は日が差す


 朝、やっぱり6時に起きる。さっそく洗面しに行った。バーナーで湯を沸かしモーニングコーヒーなんぞを飲んでいるとミヤタさんやAOさんも起きてきた。誰もが昨夜の酒が残っている。気温が低いが、どうにか薄日が差していた。

 しばらくして、朝食タイム。おふたりは合理的にインスタント。僕は相変わらずハンゴウだ。ミヤタさんは、ご飯を食べながらiモードで天気情報を検索している。道内のどこへ行っても天気が悪いそうだ。僕は悪天候で利尻富士登山を断念した痛恨の思いから、旭岳登山を画策していた。天気が悪そうだけど道央を目指すことにする。


 皆さん、それぞれの地に旅立つ。でも道東の和琴湖畔キャンプ場へは近日中に必ずアクセスするそうなので再会できるだろう。8時にミヤタさんとAOさんに見送られ出発。

 ゼファーに乗るとやっぱり寒いぞ。R40へ入り、しばらく走ると雨だ。だんだん強くなってくる。セイコマでカッパを着る。ブルブル震えながら、ひたすら走った。音威子府を過ぎ、「道の駅びぶか」で小休止。

 小用をたすためにトイレへ向かうとクルマできたらしいあんちゃんが、
「どこまで行くんですか?」と尋ねてきた。
『旭川方面だが』と答えると
「1時間半くらいかな。あっちも天気悪いっすよ」
『そうなんですか』かなりがっかりする。
「俺もホントはライダーだから、バイクで旅したかったなあ。羨ましい」
 と言いながら消えていった。


 これは旭岳も無理だ。ミヤタさんによると旭岳の魅力は、山頂からの景色に尽きるらしい。トホホ・・・もう今年の道内での登山は潔く断念しよう。新調した登山靴が泣いているぜ。

 道の駅をふらつくと1台の端末を発見。全道の天気予報が検索できる。さっそく拝見すると奇跡的に富良野方面だけが晴れマークだ。よし、これで決まった。ドラマ「北の国から」は好きだが、観光地富良野付近にはあまり興味がない。僕は、どんなに綺麗なお花畑よりもサロベツの原生花のような自然のままの自然が好きなんだ。けどそこにオテントサマがある限り富良野へ行こう。雨は少し収まってきた。



ラーメン山頭火
 旭川に入った。雨はかろうじて降っていない。都市部らしく渋滞もあった。よし「旭川ラーメン村」で遅い昼食をとろう。

 すごく混んでいたが、人気の「山頭火」で「とろ肉チャーシュー」を食べよう。さすがに行列ができていた。待つこと30分、ようやく「塩ラーメン+とろ肉チャーシュー」にありついた。う〜ん、う〜ん、う〜ん・・・

 はっきり言ってうま過ぎ。なに?このとろけるようなチャーシュー。そして丁寧に仕込んだスープ。絶妙の麺。ある程度の食通を自負しているキタノだが脱帽だ。このラーメン、間違いなく完成の域に達しているだろう。 


 今日の幕営地は「日の出公園キャンプ場」だと思ってアクセルをあげるとまたも雨。もう天気予報の嘘つき。思いっきり雨じゃないですか。ふたたびカッパを着た。後で気づいたのだが、今年の道内の天気予報、2時間でコロッコロ変わる。明日、晴天の予報が集中豪雨だったり。

 美瑛駅で雨宿りし、途方に暮れた。キャンプするか宿をとるか思案する。僕としては野営に拘りたい。すると年配のブラックバードを駆る京都ナンバーのご夫婦のライダーが現れ、「Mr.GNU」を紹介してくれた。ライダーが始めたという旅人宿だ。「北海道のハマり方」にも掲載されている。

美瑛駅にて


Mr.GNU


日の出公園展望台
 一応、上富良野の「日の出公園」へ向かった。でもやっぱり雨。がっかりしているとバイクの群れが展望台下に集結してきた。そしてなんと展望台の下でテントを張り出す。年配のおっさんも何人かいる。確かに雨には濡れんが、これはいくらなんでも反則だろう。だから群れるのが嫌なんだ。彼らみたいな行動をとる人がいるせいで僕はサロマ湖付近の道の駅で説教くらったのかな?野営に拘りたかったが、一瞬で宿をとる決断をした。


 Mr.GNUでは夕方の予約にもかかわらず受け付けてくれた。急なダートの登りで、一部では有名な長い坂も雨でぬかるんでいた。でもぜんぜん楽勝で宿に入る。オーナーは、お若いが旅人系宿にありがちな客に対する横柄さ(フレンドリーな)もなく丁寧で自然体だった。


 洋食中心の料理も心がこもっていて美味しかった。

 先ほどの京都のおとうさん、仙台や群馬のお兄さん達、ほとんどライダーで客層もよい。比較的年齢層の高い紳士的な宿だ。じっくり情報交換をして爆睡した。

 それにしても京都のおとうさんのブラックバード。自家製荷台など凄い技だと思う。

同宿の方々(ブラックバード前で)


8月11日 朝だけ薄曇・・・


 心地よく目覚め、周辺の景色を楽しんで来た。Mr.GNUって凄い立地条件。綺麗な丘が広がっていた。朝食も美味しくいただき出発。きちんとオーナー夫妻やスタッフも見送りに来た。この心構え偉いと思う。お客が次々にバイクで急なダートの下り坂を降って旅立っていく。オーナー達がこの姿を心配そうに見守っていた事実を僕は忘れない。

 一緒に下り坂を降った練馬ナンバーの年配のDS乗りのおとうさんはばっちりながら、奥さんが、オフのバイクでもぎこちない。後ろから見ているとかなり心配だが、きちんとダートの鉄則、リヤブレーキとエンブレを駆使しながら走行しているのを確認して安心する。お別れのピースとクラクションを送り反対方面へ右折した(後日、和琴で偶然再会)

 そして道東へ・・・