第6章 ニセコオフキャンプ


 さて何もルートを考えていないと言ってもどうしようかなぁ。とりあえず明日ニセコで我らが年に一度の邂逅、オフキャンプがあるんだっけ。ニセコに近づいて置こう!菅野温泉から十勝清水、日高を経由してR274に出る。

 途中、どこかで見たことのあるラーメン屋発見。1999年夏、ヨッシーが脇のスタンドで給油している時の出来事だった。人の良さそうなとっつぁんから「ここのラーメンは本当に美味いので食べて行きなさい」と言われたらしい。しかし腹が空いていないキタノが却下したために入れなかったお店だ。よし今回は入ってみよう。例のライダーでもあるスタンドのとっつぁんが現れ「ありがとう」を連発し、僕のナンバープレートを見て昭和30年代に会津若松に旅行した話をしてくれた。


 中に入り、醤油ラーメンをオーダー。丁寧に仕上げた半豚骨。つまり旭川ラーメンベースだ。僕は本来飴色の醤油ラーメンが好きなのだが野菜や肉のこぼれ汁が効いたスープの味は「美味い」の一言。ライダーサービス?だと思うがメロンもつけてくれた。うれしいなあ。遠いブルガリアの空のヨッシーすまん!ツーリングマップルにも掲載されている(知らなかった)有名な店らしい。女将さんにコーヒーも入れてもらった。「樹海苑」。よかったらお試しあれ。お薦めは「樹海ラーメン」らスィ。


 やがて千歳に入り、道道16号線に入った。マップによると名水100選に選ばれる「名水ふれあい公園」と記されている。よし行ってみよう。僕は水などどこでも同じと以前は名水なんて意にも介さぬ人間だった。しかし北海道ツーリング1999編で書いた通り、猛暑の中、増毛町の雄冬キャンプ場で飲んだ雄冬冷清水のおいしさが忘れられず、以来湧き水、天然水好きになったのだ。

 公園内には湧き水を汲みにポリタンクを持参してくる住民が結構いた。僕もマグカップを取り出しガンガン飲んだ。実に美味い。ここでしばし休息。


 支笏湖から喜茂別町方面へ向かう。がっ・・・支笏湖畔の反対側(西側)を走ってしまう。ルートミス、恵庭方面へと走行していたのだ。何たるロスタイム。このあたりは、何度も走っているポイントなのに。今走った道を引き返し、ようやく支笏国道に入った。

 キノコ汁を食べさせてくれることで有名な道の駅「フォーレスト276大滝」で2年ぶりにトイレ休憩。ところがこの道の駅、土産物売場が延々と続きなかなかトイレに辿り着かない。やっとピアノの自動演奏そばのトイレ前に到着。久々に一発かましてもよかですか。「コンコンチキめ〜」。喜茂別から京極へと向かった。


 気がついたら倶知安まで来ていた。ここまで来たらニセコキャンプ場まで行こう。セイコーマートでアルコール等を購入したりホクレンで給油し2枚目のスタンプラリーカードに換えてもらったりした。結局19時頃、ニセコキャンプ場に到着。とにかくテントを張ろう。すると隣の年輩のおじさんが手伝ってくれた。「ありがとうございます」。

 向かいにニセコ五色温泉と隣に入浴オンリーの元旅館があるだけだ。周囲には何もない。ありゃ、自炊するしかねえな。米をとぎ、缶詰をおかずに飯を食べた。隣のテントのおじさんは幕別で消防署長をされている本当に優しい紳士で遅くまで酒を飲みながら語り合った。明日は奥さんと他のキャンプ場で合流するそうだ。


8月11日(土) 晴れ

 寒い〜。やっぱり標高が高い山間のキャンプ場だ。真夏とはいえ気温は間違いなく10度以下だろう。凍えながら目覚める。

 署長さんの話だと昨夜遅くから朝方にかけて、このキャンプ場に入って大騒ぎしていた連中がいて寝れなかったとか。でも爆睡の僕は少しも気づかなかった。僕の感度の悪いラジオも勝手に真夜中に鳴りだしたようで耳障りだったらしい。すいませんでした。「君は図太い神経を持っている」とお誉めいただく?。米を炊いていると署長さんが出発のようだ。いや〜お世話になりました。愛車のカブもいい味出してますよ。また会いましょうね。


 今日は、どうしようかなあ〜、またも何も考えていない。オフ会があるのはおそらく夕方だろう。そうだ、倶知安の街へ出て洗濯や今夜のアルコールを調達しよう。午前中はそんなこんなで時を過ごした。

 ついでに羊蹄山吹き出し湧き水により名水を堪能。なるほどおいしい。駐車場に戻り出発しようとするとひとりのライダーが近づいてきた。「キタノさんですよねぇ」。そういうあなたは、「混浴ライダー」ではないですか!も、もとい大阪のミヤさんではないか。昨年、和琴キャンプ場でディープな夜を共に過ごした、懐かしい。「実はキタノさんのホームページをチェックして、今夜のニセコキャンプ場でのオフ会に参加させてもらおうかと思って」とのこと。大歓迎、今夜待ってるよ。彼は積丹を一周してくるそうな。うれしいな、HP見てもらって再会できるなんて!

 キャンプサイトに戻っても時間がある。よしニセコアンヌプリの登山口がキャンプ場脇にあった。行っちゃえ〜入山届けも出した。何故なら「そこに山があるから」。1308mと言ってもなだらかに感じてしまう。いかに先日の羅臼岳が難所だったか窺いしれる。


 しかし、キタノさんをいつまでもいい気にはさせてくれなかった。先日の膝がイテえ。途中で引き返したら絶対に後悔しそうなので我慢してアタック。頂上にハア〜ハア〜言いながら着くと裏側からゴンドラリフトに乗ってきた観光客がたくさんいる。反則じゃん!この苦労はなんだったんだ。

 ペットボトルに詰めた羊蹄山の湧き水を飲みながら昼食をとり下山。結局往復4時間かかった。でも冬山なら今の僕では絶対に無理だ。医学生で高校時代の同級生が冬山登山中、あるスキー場の上部まで辿りついきながら遭難してしまった悲しい思い出もあった。
 



 下山すると皆さん既に到着していた。すいませ〜ん。遅れてしまったようで。
 
 以前、北海道在住のkajioさんから、うちのサイトにメールを頂戴したことがあった。以来ネット上で懇意にさせてもらっている。実は今回、kajioさんのご自宅へありがたくも招待されていたのだが、ネットだけのおつき合いでそこまで甘え過ぎては申し訳ないと自戒し、丁重にお断りした次第。それでも本来道東方面へ旅するところをわざわざ反対方面のニセコのオフキャンプに駆けつけてくれたのである。しかもたくさんのお肉を持参して。改めてオフでは初めまして、kajioさん、そして高校生の娘さん。

 毎年モンゴルをツーリングする猛者、永久塾会長のコマンダーさん、ご無沙汰してました。今年はチャリダーからライダーに復活しているぞ。賀老の滝付近でサイダー味のドラゴンウォーターなる湧き水を賞味して来たそうだ。それ美味そう。ジュワーっていう感じなのかなあ?

 昨年、礼文島で知り合った大学生ジュンジくん、就職内定おめでとう。僕も大学4年生の時に北海道を旅していたが将来のことを悩みながらのツーリングだった(この旅がその後の人生を大きく左右する)。就職を決めてからの旅なら思う存分楽しめるだろう。

 旅の間は髭を剃らないのがジンクスというNOBUさんの精悍な旅人らしい面構えもある。先日、和琴キャンプ場で知り合い道北へ行く予定のところを遠回りしてまで参加いただいた。本当に来てもらえるとは何と誠実な人柄なのだろう。うれしい限りだ。

 全員がいぶし銀のような北海道ツーリングのベテラン、歴戦の旅人である。皆さんひとりひとりに挨拶を済ませた。ひとり旅派のライダーが年一度だけ北の大地へ集う。何とも素敵なことではないか。

 さっそくkajioさんがジンギスカンを焼いてくれた。「うめー」。僕は未だかつて、これほど美味しいお肉を食したことがあるだろうか。ない。絶対にない。死ぬほど美味い。「かねひろのジンギスカン」。kajioさんありがとうございます。バーベキューの画像を撮り忘れるほどウマ過ぎです。皆さん酒をガンガン煽りながら肉をほおばる。

 まさに男塾。梁山泊の世界だ。そして北海道を旅するライダーやライダーハウスの問題点などいろいろな話題で盛り上がる。kajioさんは熱い好漢だ!

 かなり酩酊した頃、積丹一周を終えた混浴ライダー、もとい大阪のミヤさん参上。彼もあまりの肉の美味さに大喜び。


 kajioさんの兜沼キャンプ場での恐怖体験やミヤさんの混浴話で宴は大いに盛り上がり12時頃就寝。おやすみなさ〜い。

 常に自然体のコマンダーさん、シュラフではなく何と毛布でおやすみするそうだ。そう言えばモンゴルでもテントの中じゃなく星空の下で就寝したという話を伺ったことがある。実は僕も毛布で寝たかった。寝相が悪いのでシュラフが寝苦しいとか思っているうちに深い眠りに落ちてしまう・・・

 キツネがキャンキャン遠吠えていた記憶がかすかに残る。


8月12日 晴れ

 一端自宅に戻りふたたび道東方面へ旅に出るkajioさん親子は、早朝に出発。本当にお世話になりました。来年はお言葉に甘えてご自宅へもお邪魔させていただきます。何と感動的なまでに親切な方なのだろう。生涯最高のキャンプでした。kajioさん心からありがとうございます。

 やがて遠回りしてまでこのキャンプに参加してくれたNOBUさんも出発。皆さん、ナイスな方ばかりで何と言ってよいやら。またお会いしましょうね。 


 残ったメンバーで五色温泉を堪能する。二日ぶりに入るお風呂は実にいい温泉だあ〜。ミヤさん、混浴じゃなくて残念だな?始め新しい方の湯に入ったが帰りに気づき、からまつ木船の湯という昔ながらの露天風呂に入った。こういう方が情緒あふれていいなあ。ミヤさんは、これから東北ツーリングを控えているので早めにお別れ。また来年会おうな。

 残るは、ジュンジくん、コマンダーさん、キタノの3名。さて、どうしようか。夕べ話題になった八雲のケンタッキー実験農場にブランチを食べに行こう!



 ニセコから八雲まで意外に距離があった。14時少し前、ようやく実験ファームに到着。ところがここは大混雑。お客さんのほとんどは函館ナンバー。コマンダーさんの話だとおそらく函館にケンタッキーがないのでは?ということだが。ようやくチキンにありつきながら芝生に寝ころぶとまったりしてしまい動きたくない。

 ジュンジ君が18時まで苫小牧のYHまで到着しないとということでまず出発。寝ころびながら「気をつけてなあ」。コマンダーさんはとりあえず北に引き返すそうでここでお別れ。また来年再会しましょう。本当にありがとうございました。さて僕は?決めてないけど函館方面に南下しょう。

 では皆様、次章にて。残念ながらいよいよ最終章になりそうです。


※オフ会で好評だったかねひろジンギスカンさんのHPとは、今回のキャンプがご縁でめでたく相互リンクとなりました。