最終章 永久ライダーキタノ走る!


 


 八雲町でコマンダーさんと別れた時点で既に15時をまわっていた。よ〜し行ける所まで行ってやるぞ。約束の地(誰と約束した訳じゃないけど)は函館じゃ。森町に入るとなぜか僕ほどの北海道オタクが走ったことのない亀田半島方面へ左折してしまう。理由はただ行ってみたかったから。相変わらず主体性がない。
 
 「道の駅さわら」でトイレ休憩したついでにブルーベリーソフトクリームを食べた。考えてみたらこの旅初めてだな、大好きなソフトクリーム。いかに前半の北海道が寒かったかが窺い知れる。砂原町の特産品はブルーベリーらしい。


 鹿部町に入り日本一美味い湧き水と云われる「鹿部湧き水公園」で大いに水を喰らった。湧き水を汲みに函館から来た親切なおばさんに「大船上の湯公園キャンプ場」を地図まで書いてもらい紹介してくいただく。おばさんありがとう。しかべ間欠泉公園は有料なのでパスする。



 途中、大船小学校近くの鮨屋で「そば寿司セット」なるものをオーダーし夕食とする。千円ちょっとで僕好みの濃い口天ぷらそばとおいしいお寿司もついてくる。かなりお薦めだがあいにく店の名を忘却してしまった。大船小学校の近くがキーワードである。食後、道道980を右折し、山間にやや入った。10分くらい走るとキャンプ場が見えて来る。「大船上の湯公園キャンプ場」だ。

 お盆休みに入ったせいか家族連れでかなり混んでいる。貼り紙を見ると温泉のある保養センターに届け出るらしい。さっそく申し込んでテント設営、もちろん無料。


 よし風呂だ、温泉だと思っていた頃、高市さんからTelが入った。現在地と近況をお伝えし、またまた掲示板の管理も委託する。万全の体制でサポートしてもらって申し訳ない。お風呂は360円の町が管理する素晴らしい温泉。露天風呂までついている。じっくり堪能し、テントに戻るとアッと言う間に爆睡。2度も登山し、野営続きなので、かなり疲れが溜まっているらしい。



画面左が塾長、引き締まったバデー、恥ずかしい!
8月13日(月) 雨後晴れ

 朝6時、時計で計ったように起床する。いつも同じ時間に起きるなあ。しかし雨だ。素早くテントを撤収し7時にはカッパを来てキャンプ場を出発した。朝食は函館朝市まで、じっと我慢の子であった。やがて椴法華村に入る。ここに来た理由は、もちろん水無温泉だ。途中、実は教えたくないお薦めの宿、「ホテル恵風」前を通過する。

 本当はここに泊まりたかったのだが。そして水無温泉が見えてきた。先着の旅好きおとうさんが「いい湯だから早く入りな」と言ってくれたので、さっそくマッパーになりザブ〜ン、いや〜実に気持ちがいい。じっくりと湯に浸かった。名古屋のおとうさんも家族をほったらかしにして今日未明函館に上陸したらしい。お〜同志よ?


 そう言えば僕は今日苫小牧からフェリーで帰らないと行けないんだっけ。のんびりし過ぎた。おとうさんお世話になりました。後から来たライダーに函館の天気を聞くと雨は降ってないそうだ。カッパをたたんで出撃。走れメロス!

 曇天の中、少し引き返しR278に戻り恵山町に入った。恵山海浜公園キャンプ場も満杯である。この付近で車に轢かれたネコの死骸を踏んづけそうになったがアクセルワークで危うくかわす。うちの子ニャンや年老いたワンはどうしているかなぁ?ちょっと心配になる。戸井町という漁村を突っ走って、ようやく湯の川温泉へ突入。公私含めて4度目の函館入りだ。

 腹が減った。さっそく函館駅前の朝市へ鉄馬をつないだ。既に10時近い。ウニやイクラは、もういいからイカソーメンが食べたいなあ。余程鬼気迫る顔をしてたのだろう。「おにいさん、カニ買っていきな」という相変わらずしつこいおばさんたち数名に
「俺はご飯を食べにきたんだ」と答えると皆さん涙目になっていた。悪気はないけど急いでるので赦してね。やっと見つけた、つーか適当に入った店で「イカソーメン定食」と「鮭のハラス」をオーダー。その旨いのなんのって。函館朝市はイカソーメン。あと鮭のハラスも旨いということで決まり。時計を見ると11時、18時には苫小牧に着かないと、撤収!走れキタノ!

 日本海側に出て、コマンダーさんから教えてもらったサイダー味の湧き水「ドラゴンウォーター」なるものを是非飲みたかったがダメだ。時間的にも距離的にも間に合わない。

 R5に入って大沼公園方面に向かう。ところがお盆休みでメチャクチャ混んでいるぞ。道路脇の隙間を見つけながらすり抜けの連続。エライ、ロスタイム。渋滞を抜けたら長万部付近で猛烈な睡魔。意識不明状態となる。ところが反対車線から走行してきた出会い頭のライダーが日本刀を一閃。サムライダーだ!ピースの代わりに日本刀を抜いて挨拶してくれた。こんなところで会えるなんて!完全に目が冴える。サムライダー、君は命の恩人だ。心からありがとう。追いかけてインタビューをしようかとも思ったが時間がない。走れキタノ!

 豊浦からやむを得ず高速に乗った。風のように突っ走り、16:00頃、ようやく苫小牧到着。やったあ!と喜びたいところだが実は妻にとある牧場の手作りジャムを購入するように命令・・・い、いや頼まれていたのだ。

 新冠付近まで行って引き返して苫小牧に戻らないといけない。間に合うかなあ。まさに試される大地。愛する妻のため(つーか約束を反故にしたら怖い?)にキタノはひたすら走った。走れメロス!ホクレンの2枚目のスタンプラリーカードのハンコもあとふたつ。ところが予備タンになってもホクレンがない。泣く泣くミツビシのスタンドで給油。スタンプラリー2枚目はこれにてあえなく挫折。そしてやっと牧場へ。

 入場料払ったら、入口のおにいさんがバイクはここで停めて歩いてくれってホザいてる。車はバンバン入ってバイクはここか?もうひとりの係員のおっさんが「馬が驚くからダメに決まってんだろー」と高飛車な態度。バイクの音が嫌いなくらいは馬好きの僕なら百も承知だ。もっと柔らかく言えないかなあ。僕の扱いは馬以下だ。ブチキレそうになるが喧嘩している(過去の実績とデータから本当にやりかねない)時間があいにくない。係員を睨みつけ自分の足で売店まで「翔ぶが如く」突っ走った。走れキタノ!

 売店で鷲掴みにジャムを購入。ここのお姉さんもまたご丁寧に包装してくれている。早くしてくれぇ。またまた走った。途中、段差につまずき前のめりに大転倒。司馬遼太郎風の描写だと「もんどりうって倒れたのである」とか書かれそうなシチュエーションだ。「どぶ川の中でも目的の方向へ向かって前のめりに死す」by坂本龍馬。おっと、とっさに前受け身をとった僕はまだ生きているのだ。

 観光客がかなり驚いているようだが一切気にならない。「膝がいてえよぉ」とぶつぶつ言いながらバイク置き場に到着する。さっきのオヤジどもは入場料払ってすぐに出てきた阿修羅の形相の僕に目を合わせようとしない。そんなことより出発だ。「ハイッ、ヤー!」愛馬にムチを入れるようにスロットルをあげる。走れ永久ライダー!

 途中、接触事故があったらしく、またまた渋滞のR235をひた走り18時過ぎようやく苫小牧港到着、無事乗船した。今日はいったい何キロ走ったのだろう。昼も夜も何も食べておらん。

  B寝台の大嫌いな2階で腹ペコながら爆睡していたキタノは、夜中にトイレに起きようとして梯子から転落。船室は女性ばかりなのに何とかっこ悪い。「皆さんに大丈夫ですか?」の連発を受ける。どうして僕はいつもこんなことばっかしなんだろう?


8月14日(火) 晴れ

 6時起床。ゆっくり朝風呂を浴びた。ソファーでニュースなど見て船室に戻ると皆さんお目覚めのようである。「昨夜はお騒がせしました」と平身低頭お詫びすると「怪我はないですか」と言いながら皆さん朝から爆笑されていた。恥ずかしい〜、そして昨日2食抜いた分、朝食バイキングで爆食するのであった。 


 10時頃、仙台上陸。自宅まで一気に走り2時間ちょっとで到着。無事帰還した。出発からずっとつけていたドッグタグ(氏名・連絡先・血液型入りのネックレス)をようやくはずすことができる。バイクの音に気づいた息子が大喜びで抱きついてきた。

 2週間も家庭をほったらかしの放浪パパですまん。お土産のキャプテン帽をかぶせてやる。ママにも
苦労の末、手に入れたジャムを手渡した。そしてさっそく家庭サービス、海水浴へ向かうキタノだった。永久ライダーに休息という文字はないらしい。

 走れキタノ!いつまでも・・・


 13泊14日

総走行距離約2800キロ

旅で出会ったすべての皆さん、ありがとうございました!

 既に照準は、2002年夏の北海道に向いています。

それまで待っててくださいネ!

家庭が崩壊しないことを切に願いながら筆を置きます。



スペシャルサンクス
コゴシさん
イケダくん
花の精鋭(団長)さん
イサジさん
ツジハシさん
アネゴさん
幕別の署長さん
コマンダーさん
ジュンジくん
混浴ライダー(ミヤタさん)
kajioさん
kajioさんの娘さん
NOBUさん
サムライダー
高市さん
女房子供さま



デザイン担当 タッキー
企画・無責任編集 北野一機


FIN






PS

8月25日(土)

 ニセコオフキャンプで、カジオさんからご馳走になった「かねひろジンギスカン」の味が忘れられず、お肉をネット通販で取り寄せました。さっそく自宅庭にてバーベキュー開始。美味い。何度食べても今までのマトンの固定概念を覆すおいしさです。妻子も大喜び・・・キタノは、ちゃんと家庭サービスもしてるんですよ(笑)

 <自宅にて> 


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