第2章 まさに天を売る島(天売島)

 焼尻島から約4キロ沖合の天売島は周囲約12キロの小島で、人口5百人、海鳥約百万羽が共存している。焼尻側が眼前に迫る東海岸に島の人々が暮らし、標高184mをピークに断崖絶壁が連なる西海岸が海鳥たちの営巣地なのである。

 西海岸の絶景を海上から楽しむために遊覧船に乗り込んだ。


3つの岩礁が連なる奇景

セイウチがやってくる岩

有名な赤岩

 上の真ん中の画像の岩にセイウチが冬にたくさんやって来る。そして漁場の網を食いちぎる被害が昔はかなり深刻だったそうな。30年前、漁協は自衛隊に駆除の協力を要請。隊員たちは命綱一本で絶壁を降り、厳冬期の中、岩の隙間の小屋に半月間籠もり任務を全うし、島民から感謝された。

 赤岩は、オロロン鳥の繁殖地として、かつては何万羽も生息していた。しかしこの真上に「赤岩展望台」ができて以来、観光客や写真家(プロ・アマを問わず)がオロロン鳥の巣に空き缶や石を投げつけ、神経質なオロロン鳥はこの地から姿を消した。なんでも物を投げつけて驚かせるといい写真が撮れるとか。とんでもねえ野郎どもだ。お陰で今は絶滅の危機。かつての巣にはダミーのオロロン鳥が置いてあり、この場所に呼び戻そうと試みられている。


オロロン鳥
 そんなこんなとガイドの説明を聞いていると船が急に停止した。ガイドが「オロロン鳥がいました」と叫んでいる。この時期、見れるのは奇跡的なことだ。さっそく撮影したが画像が遠くて残念、一応アップするのでようくご覧あれ!何か心霊写真みたいだけど・・・


 午後は、レンタルバイクで陸上を一周。赤岩展望台付近でウトウの雛が巣から飛び出しているではないか。地元の観光バス運転手のおじさんが巣に戻してやっていた。
ウトウの雛


 屏風岩、観音崎展望台などの景色を楽しみバイクに向かって歩いていると植物を盗掘していた老夫婦が慌てて僕に謝りだした。
「すいません。初めてです。以後は気をつけます」
 どうやら赤十字の入った「YELLOW CORN」の帽子と軍用半袖ジャケットを見て、僕を環境指導員か何かと勘違いしたらしい。
『今回は大目に見るけど次回は当局に連行します』と答えて置いた。ジジババはかなりビビっていた様子。


 空と海の鮮やかな青と草木の緑。まさに天を売る島、「天売島」。陸上と海上から天売の景観を充分に堪能して羽幌に向かう。はっきり言って穴場です。
羽幌行の高速船



環境指導員塾長(画像提供:マツノさん)
 吉里吉里に戻り、オーナーに有名なライダーズ名鑑用の写真を撮っていただく。2000年8月1日のライダー名鑑には、キタノとゼファーイレブンのスナップが掲載されているはずだ。ミーハーな気もするが、名鑑に載るのを結構楽しみにしていた。興味のある方はご覧にな・・・らないでください。なぜなら悪夢にうなされるかも?オーナーにお世話になった礼を言って、朱鞠内湖方面に向かった。本日は、このツーリング初のキャンプにする予定だ。