第8章 今年もスズメバチの銃撃?名誉の負傷
エゾシカ(知床横断道路にて)
13時頃、稚内入港。オホーツク国道へ向かう。何度も見ている宗谷岬はパス。稚内空港方面から一時的に内陸部に入る。このあたりの景色は牧場が点在して、ヨーロッパを思わせる緑の大地だ。観光バスがばんばん入ってくる宗谷岬方面へルートをとらないでよかった。 沼川から猿払方面に左折するとさらに交通量が少なくなり、路面状況も良くなる。天気も快晴で気持ちよくワイディングを楽しむ。途中、猿払村のPAでトイレ休憩。そのトイレの設備の素晴らしいこと。もちろん水洗で冷房・自動ドア完備、さらにセンサーに反応して音楽が流れてくる。凄い! やがてオホーツク国道(浜猿払)に入った。ひたすら海岸線を南下する。悲劇は雄武町手前で起こった。「ウォ〜、アチチチ・・・」。半袖軍用ジャケットの左側の袖にスズメバチがとまり、左腕上部の内側(弱い部分)を思いっきり刺した。慌てて右手で払ったが完全に刺された。釘でえぐられたような激痛が走る。バイクを停車して持参していたウナクールを塗ったが痛みが治まらない。何で毎年、こんな目に遭うの? 我慢して走り出した。今日は何としてもサロマ湖でキャンプするぞ〜。紋別付近から無情の雨、カッパを着込む。ライダーハウスに逃げ込むしかないかなあ。湧別あたりになると暗くなってきた。何キロ走ったろう。礼文のスコトン岬から稚内、そしてサロマ湖、相当な距離だ。時計は18時を回っている。だんだんナーバスになってきた。腕も痛いし宿をとろう。でもこんな時間ではなあ。 夕食も用意してくれた。雨で冷えた体が温まる。同部屋の方は、僕より少しお若い横浜の小学校の先生だ。学生時代、横浜に住んでいたので、ハマの話しなどを遅くまでして就寝する。ついでにハチに刺された件も医者に行くように勧められたが、ありがたく辞退した。だって病院嫌いなんだもん。腕が痛い。 |
サロマニアンにて |
8月8日 少し寝坊。天候は雨だ。朝食後、雨があがるのを待つ。9時くらいになると曇ってはいるものの雨は止んだ。 ここのがっちりしたヘルパーさん始め常連さんたちは、すごくいい方ばかりだった。「知床も雨だから無理しないで連泊した方がいいですよ。クルマでいろいろ案内できるし」丁寧で親切な言葉をいただいたが雨があがった以上、先に進むことにしよう。とうさんに挨拶し、皆さんに見送られ出発。 |
網走を過ぎるとまた雨が降ってきた。やっぱり連泊すりゃよかったかなあ。セイコーマートの店先で缶コーヒーを飲んでカッパに着替えた。着替えるときハチに刺された左腕が痛む。かなり腫れてきて熱をもっている。 |
わずかに夕陽が顔を出す |
RHに併設されたコインランドリーで、岩尾別温泉の山小屋に宿泊し、羅臼岳登山の天候待ちをしている方から山のシビアな体験を拝聴する。雪山や熊の話題など実に興味深くおもしろい内容だった。 夕方になると晴れ間が出てきたので知床横断道路を少しばかり登り、宇登呂の美しい夕陽を撮影する。 RHに戻り、近くの旅館の温泉に300円で浸かった。いい湯だなあ。 |
併設された食堂で、居合わせた皆さんとビールを飲み焼き肉を食べながら歓談した。TVで網走刑務所の特集をやっている。ここの親父さんも戦前の網走に詳しいらしく感慨深げに見入っていた。 同じテーブルの学生さんは、ここのRHのお客ではなく岩尾別YHに泊まるそうな。何でも予約が遅れてYHの食事にありつけなかったとか。翌日、この阪大生と羅臼で貴重な体験を共有するなどこの時は知るよしもない。 |
グリーンハウスにて |
高校生のチャリダーくんと |
RHに戻り、他のライダーたちと熱く語り合う。明日美瑛のRH「ビバほーむ」に向かうというライダー。相撲選手くん。クリキンくん。18才のチャリダー高校生、みんな熱きハートの持ち主だ。 自分の職業も隠し立てせず、正直にあかしたが、皆、驚いている様子だった。「本当に○○なんですか?」「正式の○○じゃないですよね」。正式の?って、どういう意味じゃ。まあ、職業山賊では驚くかあ・・・(ウソです) |
礼文では、僕の職業に恨みがあるとか言いながら、挨拶もせず絡んできたコンコンチキ野郎を一撃で斬ったこともあったが、ここにはそんな無礼者はもちろんいない。でもなるべく職業はふせて置こう。いろいろ詮索されると面倒だし。旅人は、他人を詮索してはいけないというのが自分の持論です。みんな日常でいろいろあるから。 相撲くんに素晴らしい腕ですねとお褒めいただくが、実はハチに刺されて異様に腫れてるだけだと言ったら大笑いしてくれた。礼文の話しをしたら桃岩荘に行くことを決意したそうな。がんばれよ。 |
おやおや18才のチャリダーくんが早い時間に爆睡してしまう。チャリダーは体力使うからなあ。でも寝袋を持たずに旅をしているので、そのままグーグー。いくら若いからって体壊すよ。僕のジャンパーをかけてやった。僕は真面目でストイックな若者が大好きなのだ(注:ホ○ではありません)。心から応援したい。 |