第3話 知床露天風呂めぐり 8月4日(水) 天候 晴れ



左端がおばちゃん
 夕べは気持ちよく若者達と酒を飲み熱く語り合った。早朝、3:30頃ヨッシーは、昨夜からのマブダチ(こう言うとヨッシーは嫌がる)のスクーターで旅する学生と日本最初の朝陽を見るために納沙布岬向かった。ボケ・ツッコミ隊も岬に現れたそうだ(結構みんな行ったらしい)。「絶対に霧で見えない」って前夜言ったんだけど。案の定、ガスで朝陽は見えなかったそうだ。6:00頃、大将とおばちゃんに見送られ出発した。

 コンビニで朝食をとっていると昨夜のチャリダーのおとうさんと再会。自転車で納沙布岬からの帰りだそうだ。「これからどの方面に行くんですか」と聞いたら「シャツ反対だよ」と言われてしまった。「こいつは一本取られた」。コンビニのおねえさんとヨッシーは壺にハマって大爆笑していた。無念なり。どうやら同じ知床方面らしい。おとうさんと別れ、コンビニを出て一路知床を目指す。 

 野付半島付近のパーキングで休憩をとった。しばらくすると反対方向から高級車BMWを駆る女性が髪をなびかせながらパーキングに入ってきた。カッコイイなあ。「どちらまで行かれるんですか」と話しかけながら顔を見ると60歳代くらいの年輩の方だった。これから昨日我々が行った納沙布岬に向かうそうだ。今までシティホテルに全泊してるとも言っていた。そして立ち去って行く貴女の勇姿に感動しながら、俺も生涯バイク旅は止めないと決意する。
密漁現場?

 知床半島に入った。遠くに国後島の山肌が見える。知床半島は、西側の道路も東側の道路も途中で行き止まりである。東側の行き止まり、相泊の少し手前に引き潮になると露天風呂が現れるというセセキ温泉がある。そこに入ってみることにした。道路脇にオートバイを停車すると40代くらいのモトクロスライダーが先着していた。彼は躊躇なく服を脱ぎ露天風呂へと歩いている。我々もそれに倣って海岸に向かった。途中「一応、個人の所有なので管理者に一声かけて」という内容の看板が出ている。とりあえず脇の民宿みたいな建物に声をかけてみたが誰もいない(帰ってきてからテレビでここの大将が出演しているのを見た。たぶん「クイズところかわれば」かな?)。


セセキ温泉
 先に入ったモトクロス氏が「大丈夫だよ」と言っているので念のため水着に着替えて風呂に入った。熱いけどいい湯だ。モトクロス氏は風呂本来のマッパーである。しばらくすると水着姿のカップル2組登場。水着に着替えててよかった。モトクロス氏、出るに出れなくなってしまい非常に気の毒だった。それでもタオルを巻いてなんとか無事脱出に成功する。その後、ヨッシーのデジカメも含めて、みんなのカメラのカメラマンになっていた。いい人だなあ。

 もと来た道を戻り知床横断道路に入った。間もなく羅臼温泉野営場に到着。向かいが高名な露天風呂「熊の湯」だ。駐車場は旅行者のバイクや車で混雑している。少し歩くと勢いよく水音を出す渓流が眼下に望めた。気温が高いので下の渓流の水に浸かれば、さぞ気持ちよいことだろう。

 そして結構歩かないと露天風呂に着かないのかなと思いつつ川に架かる橋を渡った。すると意外に近い場所にお風呂が見える。さっそく服を脱ぎ、入ってみると非常に熱い。でも地元の方の有志で作ったものに入れていただいているのだ。感謝しなければ。でも、ここの風呂にヌシ?がいることをまだ知らなかった。ここは木々の緑の中、小屋が建っているだけでこじんまりとした温泉だが、なかなか野趣があっていい。
熊の湯

 湯からあがって、バイクを出そうとしていると昨夜のRHで一緒だった青年の1人と再会。今日は網走で知り合いの旅館に泊まると言っていた。

 バイクを発進させ、路面良好のワイディングを楽しんでいるうちにオホーツク側の宇登呂到着。お昼はリッチにヨッシーのガイドブックに出ていたウニイクラ丼を賞味。

 その後知床観光汽船に乗り通行不可の部分の大自然と知床岬の先端を海上からウォッチングするはずだったが、僅かの差で乗り遅れた。これに乗るのを楽しみにしていたヨッシー、かなりがっかりしている様子だ。僕も岬の先端が気になり、毎年のように知床入りすることになる。後年、ヨッシーはまだ知床岬を見ぬうちに遥かブルガリアの地へと派遣されていく運命になる。

 気を取り直して有名な「カムイワッカ湯の滝」に向かうことにした。8月10日まで環境保護のため車やバイクは乗り入れ禁止だ。知床自然センターから出るシャトルバスを利用するしかない。バスに乗る前に底にポッチがたくさんついている岩登り用靴下を購入する。これを買っていてよかったと後でまざまざと実感させられることになる。

 バスが発進してしばらくすると、このあたりは非常に熊が出没するエリアだとか車内アナウンステープが聞こえてきた。「ふ〜ん」と聞きながら外を見ていると林と林の隙間に河原が見えた。「熊だ!」時間にして2,3秒だが確かに小熊がいた。こっちを向いて「しまった」という顔をしていた。ヨッシーに言っても「そいつぁ〜すげぇーや」って顔で全然信じない。ロマンのない人だなあ。たぶん今の時期に遡上して来る「樺太マス」を獲っていたのではないだろうか。



だんだん熱くなってくる
 1時間近く経っただろうか。カムイワッカの滝入り口に到着。温泉の川の中を歩いて登っていく。意外なようだけど川の中の方が滑らない。いくつか小さな滝や岩を越えていく。最初ぬるかった温泉もだんだん適温になって来た。例の岩登り用靴下威力発揮。全然滑らない。これを履いていない人が、あっちこっちで滑ったり、岩から降りれなくなっていた。

 20分ほどでカムイワッカ湯の滝到着。天然の露天風呂だ。ここが適温42度。いい湯だ。ここに来たら他の露天風呂の魅力がなくなるんじゃないの?じっくりと温泉を堪能して湯の滝を降りた。途中岩から降りられなくなっている関西系の母と子を発見。子供はだっこして下に降ろして、おかあさんは手を引っぱりながら何とか無事救出。ヨッシーが「おかあさんもだっこするのかと思いましたよ」と言っていた。失礼な!僕は淡泊だし、エロオヤジじゃない。でもちょっぴり期待していた(嘘)
湯の滝

 バス停に降りると、うまい具合に帰りのバスが来ていたのでそれに乗って帰路についた。さすがにちょっと疲れたが、知床にて3つの有名な無料露天風呂を満喫できた。 

 きょうは、国設知床野営場にキャンプすることにした。テントを張り終わって一杯やっていると何かが僕を見ている。目をつぶっていても分かる。ひとつ、ふたつ、みっつ。僕は忍者か?よく分かんないけどここ(知床)へ来てから五感が異様に研ぎ澄まされているのだ。暗闇の方に目をやると黒い陰が・・・。うわ〜。エゾシカ3頭登場。その後、ヨッパになって星を観ていた。天の川も拝める。北の夜空は本当に綺麗だった。流れ星も多い。おや流れ星がジグザクに動いている。まじっスか?こういうのを絶対に信じないヨッシーが「あっ!UFOだあ」とあっちの方で絶叫していた。なんだかスゲーところだなあ、知床って!