銀河の滝
第13話 噴水転落事件   8月14日(土) 天候 晴れ                              

 早朝に起床。早々とテントを撤収した。レストハウスは、寝静まっている。朝飯もキャンプ場で食べていきたかったが、早出したいので胸の中で別れを告げる。例の間宮くんも起きていたが、徒歩の彼は無理せず、このキャンプ場に連泊し休養するらしい。彼に見送られ、北に向かって出撃する。

 美幌国道を北上したが、すごい霧だ。北見国道に入り霧が晴れてきた。きょうも暑くなるなと思っていたら物凄い勢いで追越をかけていったバイクがいた。あれが世界最速のモンスターバイク「隼」かと直感的に思った。我々もそれなりのスピードでクルージングしてたのにアッという間に点にされてしまった。後でヨッシ−と隼に乗ったら絶対にスピードを出したくなっちゃうよなと話した。免許がいくつあっても足りない気がするが。


 北見駅で人気の帆立弁当を朝食替わりに賞味する。肉厚のホタテフライが食べごたえありという話だが、食べ足りないので立ち食いそばも流し込んだ。立ち蕎麦の方が美味しかったのはナゼ?


最後に大きなハトが登場する
 北見国道をひたすら走り、道の駅おんねゆ温泉で小休止。高さ20メートル世界一のハト時計を見る。ちょうど甲子園で俺の地元の学法石川対岡山理大付属の試合が行われていた。それにしても連日暑すぎるぞ!あまりの暑さにヨッシーここから上半身マッパーでバイクに乗る。石北峠でも小休止したが、迫力のヒグマのはく製を見てヨッシーがひたすら恐れおののいていた。

 大雪湖を過ぎ、層雲峡に入る。観光客でいっぱいだ。前に一度きているせいか銀河の滝、流星の滝を見てもイマイチ感激が薄い。昔、名寄のライダーハウスで知り合った千葉のTさんに別れを告げたのもこの辺だったかなと思いつつ出発する。ロープウェイは修理のため可動せず。
流星の滝


人気上昇中
 午後2時ごろ旭川に到着。今や人気バツグンの旭川ラーメン。その中でも人気上昇中の蔦亭に入った。出てきたラーメンを見るとトンコツベースだ。有名なラーメン屋「山頭火」の味を忠実に再現しているという噂もある。僕は、あんまりトンコツ好きではないが、食べてみると美味しいし、食べ易い。なかなかいけますなあ。苦手のトンコツをすんなり食べられたんだから相当なものだ。ボリュームもあったし満足なり。

 15時くらいに今日予約しているビジネスSホテルに向かった。駅前と聞いたが見当たらない。よく見ると、あまり綺麗とは言えないビルの一角にSホテルという看板が見えた。怪しいぞ。なにせ、都市部、というか旭川駅のすぐ近くで、1泊3千5百円の超破格のホテルだからなあ。エレベーターで6Fに行くとやはりこの階だけがSホテルになっている。薄暗い。

 中に入ると暗い。やたら骨董品が飾ってあり、フロント?にはニコスのおばあちゃんみたいな人が座っている。前金でねと言われたので万札を出すとお釣りが無いから後でいいそうだ。やっぱり怪しい。ヨッシーは既に不機嫌になっていた。

 部屋に入ると古い造りの野戦病院のような感じだった。もちろんクーラーなどない。トイレも風呂も共同だ。窓を開けると足元まで戸が開いた。おいおい下手に寝ぼけたらあの世へのダイビングになるぞ。それでも気を取り直して汚い共同風呂でシャワーを浴びた。

 絶対に邪魔にならない場所にバイクを停めたが駐車料3百円はしっかりとられた。これを含めて宿泊料3千8百円をオーナーに支払い街へ出ら。宿は安ければいいものではない。稚内にしてもここにしてもつくづく身に沁みた。気を取り直してビヤホール・居酒屋をはしごする。ヨッシーもあまり早く宿に戻りたくないというのでついつい深酒をしてしまう。仕上げに有名な「西山軒」でラーメンを食べるも最早味など分かりません。


 帰る途中、日本で一番古いといわれる歴史ある歩行者天国を歩いていると噴水があった。どうせ足首くらいの深さだろう。暑いから足だけでも冷やそう。ヨッシーも止めない。浅いと思った。がっ・・・片足を入れたらドボ〜ん。頭から落ちた。思いきり深い。

 悲惨!

露天風呂ではなく噴水の中!

 し、しまった。関西系の観光客の団体がたまたま通りかかって、大笑いしながら写真を撮っている。「と、撮るな!。肖像権侵害だ」僕はコメディアンじゃねえ。でも次々にフラッシュが光る。

 「おもろい、にいちゃんがおるでえ、雷波少年しれへんよ?ガハハハ!」と耳障りなおっさんやおばちゃん集団の笑い声が飛び交う。

 「その変なアクセントや話し方やめろ!」。せっかく見直していたのに関西人め〜

 でも後年、多くの旅仲間が関西方面に現れるとは、この時は知るよしもない。