冬の北海道の旅2015














この冬は、北の大地にいくかどうか明確には決めてなかった。

『どうしようかなあ』
 歳とともに、優柔不断な性格になっていく筆者である。
「あなた、正月に家で粗大ゴミみたいにごろごろされたら、かえって迷惑だわ」
 この家人の酷い言葉に背中を押されて、ようやく冬の北のサムライの重い腰はあがった。

 どこへいくといってもとりあえずニセコの常宿にお世話になるしかないだろう。途中からJRの周遊券を使用して道内の各所をまわるのも悪くない。

「あなたって、本当に雨男ねえ」
 福島駅前に家人のクルマで送ってもらう最中にやっぱり雨が降ってくる。

 思えば、この夏の北海道ツーリング(2014.8)の出発や帰宅の際にもやっぱり強いに雨にやられた。

 福島駅前から仙台駅行の都市間バスに乗る。料金がたったの千円という破格なので、普段から結構利用していた。

 まあ、ほどほどに客が乗っているなあなんて思っているうちにうつらうつらと寝てしまった。

 そして、あっという間に仙台駅前到着。仙台港フェリーターミナルに行くにはまだ早い。





 というわけで、駅前の居酒屋”丸昌”で、昼間っからモツ煮をおかずにビールを1杯やりはじめてしまう、キタノゴロウさんでした。

 つくづく筆者はダメ人間だのう。でも近くに管理者(妻)が存在しない、この超ユルイ空間が幸福過ぎるぜよ。

 たまたま隣に座ったオバサンが、もっきり酒を豪快に3杯も平らげていた。男だねえ。なんだか旨そうである。普段は日本酒を飲まない筆者も宮城県の銘酒(名前は失念した)をグビっと飲む。美味しい。もっきりで、もう一杯。

 ダメよ、ダメダメ・・・

 これ以上飲んだら、なんだか不幸なことが起きそうな予感・・・

 ほどほどで切り上げて、仙台港フェリーターミナル行のバスに乗り込んだ・・・

 までの記憶はあるが、ここからまた1時間ほど爆睡していた模様。

 近年の北のサムライの真相は、完全にただのヨッパライオヤジだと思う。





 いやいや車中でよく寝た。仙台駅前から仙台港FTまで、余裕で1時間以上かかるもので、仕事で失敗をやらかし、どうしようという夢まで見てしまった。

 眼をこすりながら乗船手続きを済ませた。今宵の船は”きそ”だ。船室はA寝台を確保してある。周囲に気を遣わずにのんびりと過ごせるであろうなんて思いながら、待合室の2階から積込作業で活況を呈しているFTを眺めていた。缶ビールを飲みながら(おい!)





 やがて乗船案内の放送が流れた。そして船内に向かう長いタラップを歩く。

 冬しかここを通ることはない。一応、ツーリングライダーなもので夏は愛機と一緒にスロープから船内に突入しているからだ。

 しかし、ぞんがい長いタラップだと常々思っていたりする。ようやく入口のおねえさんにチケットを渡して、半券をもらった。





 夏季のツーリングなら、すぐに船内のお風呂で汗を流すところだが、ディナーバイキングへ向かい豪華な料理に舌鼓をうつ。

 赤ワインは、太平洋フェリーのオリジナルである。これがよい葡萄の風味がでていて、かなりいける。スイスイ飲んでしまった。焼きたてのステーキもステキ!3枚ぐらいまとめて取ってたらふく頂戴する。





 エビ・イカ・サーモンなどのにぎり鮨もいくらでも食べ放題だ。

 うっ、れっ、しいねえ〜(田中邦衛風)

 毎回思うのだが、これだけの内容で2千円(アルコールは別)は絶対にお安いと思う。

 これだから船旅はやめられない。以前、キタノさんも自走(バイクの)で青森までバイクで行き渡道してみたらとなんの根拠もないくせにやたら勧める年配ライダーがいたけどやだね。

 ぼくはバイクツーリングも好きだけど、船旅も好きなんだ。それに2011年の猛暑の夏に日本海側からほとんど下道をキャンプで3泊しながら青森港から函館港へ渡ったこともある。こんな労力をかけるなら、始めから仙台港を利用すべきだと後悔したこともあった。

 つまり、ぼくの旅は東北じゃなくて照準が北の大地なのだ。筆者がどういうルートをどう辿ろうとも他人から口出しされたくなかったので、少しカチンとした記憶がある。人は人、それでいいと思うのだが?それにネット上だけで実際に面識のない人から、いろいろ言われるのはご免だ。

 なんて思いながらA寝台に戻り、残ったワインをチビチビ飲みながら日常のこと非日常のことなどをエンドレスに考えているうちに今宵の記憶が尽きた。

 船体にあたる波のうねりが、時折、ゴウっと大きく響き渡っている夜だった。



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