冬の北海道の旅2013



雪煙







穢れなき湿原







 朝7時40分、布団の中でぼくはイモムシのようにごろごろとしていた。

 外から機械の音がした。早朝から村長は除雪作業をしており大変そうだった。なんだかすっかり寝坊してしまった自分は申しわけない。

 昨夜は一応、家人にメールを打っておいたのだが、返信はない。連絡しないと怒る人なんだけど、家人もあまり連絡をよこさないのだ。

 けさの朝食もおかわりしてがっつりといただいた。
 さて、本日はスキーではなく、宿主催のスノーシューツアーに参加することにした。

 実は昨日も洞爺湖方面にトレッキングに出たいたそうだ。スキーより、そっちの方に交じりたかった。
 
 この冬、ニセコに滞在している理由のひとつは、厳冬期の安達太良山の頂上をスノーシューで踏破するイベントに参加しなければならないという命題があったからだ。とにかく冬山に馴染んでおきたい。

 もちろんスノーシューの経験もまったくないが、よい訓練だ。
   アンヌプリの眺望が素晴らしい。

 セイコマで昼食の買い出しをしていると、みるみると天候がよくなり、快晴となった。本当はナイアガラの滝方面?を目指す予定が、この時期としては珍しく(まだ雪が深いので)アンヌプリトレッキングに予定変更となる。
 ガイド・村長、参加者・くっしー、クボヤマさん、トモミさん、ゴロウさん。

 クボヤマさんは、フルマラソンをされるなど不死身の体力をお持ちなので、時折村長と先頭を交代するなどパワー満点だ。くっしーさんやトモミさんもスノートレッキングのベテランである。
 
 超初心者のゴロウさんは、なんだか要領が掴めず終始遅れ気味だった。でもこのスノーシュー、軽くてかなり使い勝手がよい。お値段も手ごろだし。道内では普通にホーマックで販売しているそうだ。

 これは買いだと思った。これで冬季の安達太良アタックをしよう。というわけで、これを書いている現在、既に入手してございます。
   アンヌプリ頂上のゲートが好天で解放になったようだ。頂上へスキーを担いでいく人の姿が黒い列になって見えた。
 本当に人の気配がない湿原。村長が”穢れなき湿原”と名づける。動物の足跡さえ、中央部を避けていた。遠くに見える雪山は、筆者が夏に登ったイワオヌプリだ。美しい。   
   湿原の片隅で、雪上BBQが始まる。天気はいいし、ジンギスカンの味も素晴らしい。時折、頂上から雪煙をあげながら、スキーやボードで滑ってくる人たちの歓声が聴こえてくる。

「ビールあるぞう!お肉あるぞう!」
 こちらも負けじとトモミさんが叫びかえしておられた。
 ここで、村長の怪談話が・・・

 ”恐怖の青い血”の話・・・

 いやあ、ジンギスカンが・・・

 アー、オイチ!

 だっ、そうです(@_@;)

 そ、そっ、そうきたか。こいつは一本とられましたな。
 ジンギスカン鍋におにぎりを乗せると旨味が沁みるし、温まるので美味しくなる。食後は、傾斜のきつい登りをがんがん進む。すると美しい樹氷が見えた。蔵王でみる樹氷とは違う気がする。とにかくさらさら雪のニセコでは、とても珍しい光景だそうだ。神秘的、幻想的な絵柄にひたすらデジカメのシャッターを切る。  
   登りきると広大な白い大平原になっていた。野球ができそうなぐらい。

 事実、用意ドンでスノーシューで短距離競走をしたりして、かなり楽しんだ。
 時折、この地点にスキーやボードで頂上から降りてくる人がいるのだが、明らかにルートミスだと思う。もう少し、手前の花園スキー場方面に降りないとまずいでしょう。大丈夫なのだろうか?我々が歩いているポイントだって、村長さんのスマホのMAPで現在地を確認しながら行動していた。  
 結構な道のりも徒渉を済ませると出発地点へ戻った。ただ、道路脇の吹きだまりの中の空洞に筆者は落ちた。そして暫くもがいていたところを皆にしっかりと見られていたりした。

 そして無事任務完了。

 本日の温泉は蘭越駅前の幽泉閣で、いい汗を流す。
   今宵のユミさんの手料理もとても美味しかった。またもご飯おかわり。

 新規のお客さんで、英国の若者4人がやってきたが、クボヤマさんが流暢な英語で通訳・応対していた。素晴らしい。
 今宵もワインの宴会で盛り上がり、心地よく酔い、そして早めに爆睡する。

 というより、布団に入れば瞬時に寝れるような旅人の理想的な体質が復活してきたと思うなり。

 外はまたしても暴風雪で荒れ狂っていた。



ランチビュッフェ







 なんだか起床する時間が固定されてきている。7時45分ぐらいだ。朝が早いのが普通な筆者だが、若かりし頃の学生時代に戻ったようだ。

 学生時代か?昭和の時代、四半世紀以上も前の話だ。そんな大昔なのについ最近だと思えてしまうのは、やはり老化現象の証拠らしい。四半世紀前がつい最近のはずはない。

 それにしても今朝の天気の荒れ模様も凄まじい。とてもスキーをやっている場合ではないと思い、宿に留まることにした。宿主催のツアーもあまりの荒天のため、午後からなら決行するかもしれないということだ。

 それでもマエダくんたちは、スキー場に立ち向かっていった。男だねえ!

 ぼくはとりあえずゴロゴロしていようと、朝食後二度寝してしまった。あっ、そうそう昨日より愛知県よりいらしたというスエヨシくんが大部屋に加わった。なんでもJRで道内入りし、根室や網走まで旅してこられたそうだ。特にスキーなどウインタースポーツはされないようだが、充実した鉄道の旅を楽しんでおられた。ぼくもJRで冬の道東を旅した経験があるので、なんだか共感する。

 というわけで、昼食はミルク工房のランチビュッフェ(1500円)でとることにした。一度、ビュッフェにいってみたかったんだよねえ。
   くっしーさんによると夏みたいに高橋牧場の牧草地をショートカットするのは不可能らしい。どうしてもいくならスノーシューの装備が不可欠とのこと。

 少し遠回りだけど、アスファルトの道路を歩く。それでも雪や凍結で危険なルートである。
 ビュッフェツアー参加者は、クボヤマさん、くっしー、スエヨシくん、ゴロウさんでした。

 1キロぐらいなんだけど、早足で15分で到着してしまう。やや開店時間まで待ち、すぐに入店したのだが、あっという間に混雑する人気店だ。
 野菜料理、サラダ、デザートはバイキングである。メインディッシュは選択制だ。料金は1500円である。格安だと思う。メインディシュは、肉食系のぼくはステーキ、他の皆さんは海老グラタンをセレクトしました。  
   とても美味しい。飲み物はオレンジ・リンゴジュース、飲むヨーグルトなどいくらでもどうぞと太っ腹だ。ここの飲むヨーグルトって、普通に買ったら結構な値段でしょう。

 もう、腹パンパンでアイスクリームは絶対無理でした。
 帰路も風雪の道のりをわっせわっせと行軍してアンビに辿りつく。あまりの悪天候ため、午後に予定されていた宿主催のトレッキングツアーは中止になる。

 その後、くっしーはアンビ近郊にあるらしい源泉を求めて旅立っていったはずが・・・
 
   なぜか宿裏側の窓の外に立っていたりした。

 そこに源泉があったら、アンビは源泉を保有する温泉宿に変貌してしまうやも知れぬ。

 しかし、本当は除雪作業をしていたらしい?
 その後は誰もが読書に熱中する。内容は漫画だったりした。

 確か今宵の温泉はニセコ駅前の綺羅之湯だった。とにかく生ビールが美味かった。

「ゴロウさん、ミルク工房のランチビュッフェはどうでした?」
 風呂から戻るとマエダくんから訊ねられた。
『いや、3日分の野菜を補給したよ』
 と答えると彼は笑っておられた。

 21時ぐらいから軽く宴会。深夜にやってくるお客さんの迎えがあるらしく、村長はアルコールを自粛していた。他の皆様は、それなりにワインを飲み会話を楽しんでいた。それでもいつもよりはいくらか早めにオヒラキとなる。

 でも就寝したのは、23時ぐらいだったかな?

 まあ、とりあえず布団に入ればすぐに爆睡できたのは確かだ。

 穢れなき湿原:制作:ニセコアンビシャス



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