冬の北海道の旅2012



雪煙







揺れ動く旅心



   太平洋フェリーのチケット争奪戦も真夏なみの激しさだった。一時は思うような日程が取れずに今回の冬の北海道の旅は諦めようとさえ思ったりもした。ところが12月某日、苫小牧行B寝台確保。フェリーならではのキャンセル待ちゲットだった。

 今回はニセコでスキーを始め、ウィンタースポーツをしまくるつもりだ。暫くスキーなどとは縁遠くなっていたものでね。
 家人に県庁前の仙台行バス停まで送ってもらった。

 いつものようにタラタラとご説教を聴かされて・・・

 ぼくを心配するあまり、家人から細かい注意事項を指摘された。

 仙台駅前までは1時間ちょっとで着く。料金は千円ぽっきりだから安いものだ。
 
   そして、アーケードの裏路地で一杯飲み屋さんを発見!

 ホッピーをガンガン飲んだ。なまら美味いねえ〜
 こういうお店なら煮込みでしょう。これまた行ける。多分気温は氷点下だと思うが体の芯から暖まった。
 
   ネギ間だ。目の前で焼いてくれるので香ばしい匂いがぷんぷんと・・・

 アブラギッシュで美味しい。
 日本酒を頼んだら、もっきり酒で出してくれた。

 もっきり酒・・・

 なっ、つっ、かしい〜ねえ〜(黒板五郎風)
 
   というわけで、適度な時間となりフェリーターミナル行のバスに乗り込んだ。

 年末のせいか道は異様に混んでいて、かなり時間がかかった。
 混雑するフェリー内で、一杯飲みながら、ネットで取り寄せた”道内時刻表”で明日のJR利用の確認をした。

 苫小牧〜長万部〜ニセコというルートにしよう。一見、札幌〜小樽〜ニセコにした方が近道に見えるが、この時期はこれでよかったのだと翌日に痛感する。
 
   夜も更けてきた頃、小腹が空いたのでカレーを食べる。味はあまり覚えてない。

 いつも思うのだが、冬の太平洋フェリーはオヤジのルツボだ。
 ヨッパになったオヤジの小競り合いが至近距離で誤爆し、筆者も攻撃にまきこ
まれたりもする。

 でも、なぜかすぐに仲直りして、飲み交わしたりしていたりと・・・

 いつ、どうやってB寝台で寝たのか覚えてないけど、愉快だった記憶はある。

 事実は小説よりも奇なり・・・  



雨の苫小牧



 頭がわれるように痛い。寝台で目覚めた。昨夜の酒がかなり残っている。ひでえ二日酔いだ。

 でも朝食バイキングの放送にはパブロフの犬のように反応してしまう筆者である。過去にも幾度となく書いたが、フェリーの朝食バイキングがたまらなく好きなもので、普段、僅かな量しか食べれない自分のわりにがんがんおかわりをした。
 
  飲み物フリーも嬉しいねえ〜

 うっ・・・

 うれっ、しいぃ〜ねえ〜(黒板五郎風)

 もう、北海道上陸目前だ。なんの気兼ねもなくゴロウさんに戻ろう?

『福島のゴロウですが、年末年始の宿泊の予約をお願いします』
「あっ、どうもお久しぶりゴロウさん。了解しました」
 ニセコの宿アンビでは、こんなに簡単に話がついてしまったくらい、ぼくのゴロウさんは浸透していたりする。

 食後、ゆっくりとお風呂に入っていたら、船が苫小牧港に接岸して随分経ってしまった。つまり客室には誰も居ない。スッポンポンになり慌てて着替えようとしていると・・・

「キャー、イヤッ、スミマセン」
 
 客室係のオネエサンが、ぼくのワイルドな裸を見て興奮して絶叫していた。

 もっ、もとい、着替え中のぼくの姿を見て驚いておられた。

『もうしわけない。完全に出遅れてしまったようだ』
「あっ、はい。チケットをお預かりいたします」
 なぜか、上気した顔のおねえさんに切符を渡してタラップを歩いた。

 フフフ、俺のバディからは相変わらず女を酔わす真の男の香が漂っているようだ。

 ↑それってただの加齢臭じゃないのかい?

 外に出ると、ゲッ・・・

 なんとこの時期に雨が降っているではないですか。こういうこともあるもんだねえと思いながらバスに揺られ、JR苫小牧駅に到着する。

 ここから暫くはジェアラーゴロウさんが始まる。昨夜も少し考えたのだが、ニセコに向かうなら札幌・小樽方面の方が速いかも知れぬ。でもなんとなく長万部経由を選択した方が混雑を免れる気がした。

 事実、指定券もなかなかとれない。長万部までなら、苫小牧ではなく次の登別から特急北斗12号の指定席がようやく入手できた。
   北斗12号は7分遅れでやってきた。案の定、自由席はデッキまでギュウギュウの鮨詰め状態だ。

 苦しいっ、でも登別までの我慢だ。ただね、登別駅までって、意外に長いのね?
 ヘトヘトになって、登別から指定席に座った。よかった、ここからでも指定席が取れてと胸を撫で下ろす筆者であった。

 苫小牧からニセコまでオートバイなら、あっという間に着いてしまうんだけど、交通機関を利用すると本当に遠い。 
 長万部から函館本線の各駅停車の汽車に乗り換え、山中の雪景色を見ながらゴトゴトと揺られた。えれえ山の中だ。夏はさんざん愛機で走りまわったエリアなのだが、雰囲気がまったく違う。まるで山水画の世界であった。   
 有名な二股ラジウムの最寄駅もひっそりと通過していった。

 さっ、さっびしっい〜ねえ〜(黒板五郎風)

 というわけで、なんだか生温かいJRニセコ駅にようやく到着。

 そして、まっこと、この冬の熱きドラマが展開するきに(龍馬風)  



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