安達太良山行石筵登山口2010




銚子ヶ滝



石筵登山口〜途中断念



 2010.7.24



 爆睡中の妻を起こさないように4時半には、山行の準備をした。

 5時、拙宅出発。途中、吉野家で朝定食を平らげ、コンビニで食糧・水分を調達し、土湯街道を走る。沼尻から母成グリーンラインへ入り、石筵ふれあい牧場を左折。そして石筵登山口に到着した。駐車スペースは5台ほど。既に登山者のものらしい車が1台駐車してあった。

 支度をして登山道に入ると7時半を過ぎている。さらにショックな看板あり。17時半でふれあい牧場のゲートが閉まるそうだ。ということは、なにがなんでも17時半前に下山しないと閉じ込めらてしまう。急がないと。

 この登山口から安達太良山頂を極めるルートは2つ。和尚山ルートと船明神山ルートだ。筆者は往路を和尚山ルートで、復路を船明神山ルートをとることにした。

 時間がないけど名瀑百選の”銚子ヶ滝”見ておきたいので、ちょっと寄り道。非常に急な階段を下りて行くと、おおう、これは見事だ!シチュエーション的に滝の下で修行するような感じだ。

 おっと、ゆっくりとしてられない。時間がないのだ。恐るべき急な階段を今度は大汗かいてよじ登った。なんだか、これだけで本日の登山完了という気分だ。
   少し下りを歩くと、今度は結構急な沢の徒渉。流れが速いし、深みが多いので慎重に渡る。増水するとこの沢は通行不可になるらしい。というより流されてしまうと思う。やや急な斜面を登りきると、今度は緩い登りが延々と続いた。こういうルートって筆者は苦手だったりする。
 ゆっくりだけど、50分歩いて、10分休憩。これを何度か繰り返した。森の中なので、直射日光を浴びなくてすむけど暑い。大汗かきまくりだった。また虫が多く、藪蚊に腕を何か所も刺された。

 イテー!

 さらに手の甲を虻に刺される。本当に痛くてヒリヒリであった。仕方なくグローブを取り出したのだが、既に筆者の左手はグローブになっていた。

 ふと、後ろを振り返るとこんな光景も・・・ 
 遠くに見える山が、磐梯山。

 次第に道が険しくなってきた。森の中というより、比較的丈の低い樹木が密林のようになってきて登山道が分かりづらい。
 
   ほとんど勘で動く。時折、正規のルートを示す赤テープが枝に巻きつけてあるのを確認してはホッとしていた小心者の筆者であった。テープがなかったら絶対に遭難は免れないだろう。続いて、密林+岩場地帯。岩場もルートになっているので、さらに登山道が険しくなってくる。
 でも、なんとなく長年の山行の勘で頂上が近い匂いを感じていた。空に浮かぶ雲が近いし、あと少しでこんなに苦しい登りも終わりがやってくると、自分に言い聞かせるように突き進んだ。

 間もなく安達太良山頂手前に到達するだろう。そんな期待で一杯になりながら、藪漕ぎをしまくり、ようやく険しい登りを抜けた。やがて、大きな眺望が広がる。やっ、やった。

 ところが、なんか変?

 安達太良山頂の乳首岩が、遙か遠くに見える。

 ; ̄ロ ̄)!!ガーン

 なんということだ。つまり、普通の登山道にぶつかった。看板に安達太良山頂へという文字が書いてある。あんなに遠くの山頂まで、最低でも2時間はかかると山地図を見ながら判断した。
 左側にまっすぐいけば山頂だが、右側にいくとどこにいくのだろう?あと疑問に思ったこと?銚子ヶ滝から登ってきた獣道のようなルートなのだが、銚子ヶ滝方面とか石筵登山口方面とか標識がないと絶対に道なりに通り過ぎてしまうと思われた。  
 今から2時間以上かけて安達太良山頂へ出て、船明神山を経由するルートで下山すると何時に到着できるのか?

 17時半のゲート閉鎖には間に合わないかもしれない。

 現在の時刻は12時近い。

 微妙だ。残念だが、勇気ある撤退としよう。以前の筆者ならがむしゃらに山頂を目指したことだろう。今の俺は、初めてのルートなら絶対に無理をしないし、取り返しのつかない失敗をおかしそうな予感がした。

 予備知識のない突入は事故に直結する。ここは里山ではない。人気のない奥深い山中である。安達太良登山で恐らく距離といい、ルートの分かりづらさといい、最も至難の
行程かもしれない。

 この場で、昼食をとり、暫し休憩後、ピストンで下山の途についた。

 後で調べたら、この登山道を右折すると和尚山1601Mに到達するようだ。悪天候時、道に迷った登山者のほとんどは和尚山で発見されるみたい。それもそのはず、登山道から銚子ヶ滝に向かうルートの入口に標識がないのだから、初めての人は見落としてしまうだろう。筆者も船明神山経由の方のルートをとったら迷って和尚山にいってしまったにちがいない。

 また山頂から船明神ルートで石筵登山口まで下山する距離は、13キロもあった。ここからなら、20キロ近くになるだろう(全行程30キロ近い?)

 ここからの山中を20キロも歩くって、想像を絶する距離だ。17時半前の下山は、やはり不可能である。さらに山頂手前へのルートも藪漕ぎするほど荒れ果てていて、とてもわかりづらいそうだ。

 初めてのルートなら、こういう情報も事前に調べておくべきだったのに本当に俺は認識が甘かった。

 下りは、それなりにスピードに乗り、比較的早く銚子ヶ滝手前の沢へ到達。

 徒渉中、突然右足の裏がつった。いててて。ここで転倒したら、全身ずぶ濡れになってしまう。ふらふらしながらようやく対岸に辿りついたが、なんだか惨めな気分だった。

 14時半ごろ、東屋手前のパーキングへ到着。う〜ん、微妙な割り切れなさというか敗北感なようなものがこみ上げてくる山行であった。

 でも近いうちに必ずリベンジして見せると心に誓う。このルートを落とせば安達太良山頂へ向かう7つの主要な登山口すべてを制覇したことになるのだ。

 安達太良山は奥が深い。



FIN



2010.8.13UP



記事 北野一機



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