東吾妻山2007







兎平〜姥ヶ原〜東吾妻山(ピストン)



2007.5.26



 午前8時に自宅を出発。高湯街道からスカイラインへ入る。磐梯吾妻スカイラインって確かに素晴らしいルートだ。眺望が秀逸で日本屈指の有料道路じゃないだろうかと俺は思っている。

 しかし・・・・・

 料金が1570円は痛過ぎるので個人的にはほとんど利用することはない。でも今回は東吾妻山を単独で初登攀するという目的があるのでやむを得ないだろう。

 新緑のスカイライン走り、浄土平を過ぎて兎平駐車場に車を停め、登山の準備を済ませた。日帰りのわりになぜかザックが重い。天気は一応晴れているが雲が多かった。また、少し肌寒いのでウインドブレーカーを羽織る。
   登山道は昨日の雨と融雪により沢になっていた。2週間前より確実に雪が減っているなどと思いながら長い登りを歩いた。意識してペースを上げたら途中で早くもばててくる。マイペースで行こう。しかし、歩いている人が誰も居ない。聞こえるのは俺の熊避け鈴と風の音のみ。
 雪渓を2つばかり越えると今度は登山道が渓流になっていた。びちゃびちゃと歩き、姥ヶ原の木道へ到達。かなり歩き易くなったが、風がまた強くなってきた。帽子を2度ほど吹き飛ばされる。前回は、このあたりで左膝が痛くてどうにもならなくなり無念のリタイヤとなった。今日も少し痛いような気もするが、まだ平気だ。我慢して歩いていると東吾妻山への分岐が見えてきた。噂ではまだかなりの残雪があるらしい。  
   東吾妻山の登山道に入った。すると次第に雪が深くなり、なんじゃこりゃ。全面雪。しかも底だけ融雪し空洞になっているものだから、踏み抜きに厳重な警戒が必要となる。実際に踏み抜きに足をとられ骨折した人もいるそうだ。
 登山道が北斜面にあり、さらに樹海の中だから日陰になって雪が融けなかったのか?本当に神経を使いながらよじ登った。

 想像以上の雪中登山となり、すっかり青息吐息だ。一番困ったのは、初めて登る山なので具体的なルートを知らない。というより登山道が雪に埋もれてしまい先が読めない。なんとか登山者の足跡を見つけながら進むというやり方をとった。本当にこれには悪戦苦闘を強いられてしまう。また相変わらずルートに人の気配がないので、かなりナーバスな気分になった。

 延々と雪の上を歩き続け、ようやく山頂へ向かう分岐を見つけた。ルートは雪が嘘のように消えていている。しかし、俺の体はかなりバテバテになっていた。膝も痛いし。

 トドマツの森を越えると一気に視界が広がった。登山道の両脇は丈の低いハイマツの樹海となった。最後の登りをトボトボと歩く。そして強風の中、なんとか標高1975Mの頂上踏破。確かに山頂からの眺望は素晴らしいの一言に尽きる。でも怪しい雲が立ちこめてきた。

 寒いし、風は強しで山頂から少し下り、ハイマツの蔭の岩の上に腰かけながら昼食をとった。あまり食欲がないので、おにぎりを口の中にほとんど無理矢理押し込む。

 -山頂より-
   
   
 小休止後、下山の途につく。ところが、ここで重大なミスに気づいた。雪の上の足跡を見失ってしまったのだ。一番危惧していたことをやってしまった。

 歩けども歩けども人が入った痕跡はない。ルートから左右どちらかに外れてしまったようだ。

 俺の頭に”遭難”という2文字が浮かんでいた。あれほど注意していたのに。 まっすぐ下山すればなんとかなるだろう。しかし、雪が消えてくる地点まで下山してくると道なき道は、ただのガサ藪になった。下界がなにも見えなし、前へ進むのが非常に困難である。いわゆる”藪を漕ぐ”という状況にかつてないぐらい難渋しながら、俺は山中を彷徨い歩いていた。

 どうしよう・・・

 すると一筋の光明が・・・
 一切経山が浮かんでいた。さらに笹藪の向こうに木道が見える。どうやら正規のルートから、大きく右にずれてしまったようだ。藪を越え、胸を撫で下ろしながら木道へ復帰する。やはり、雪で消えているようなルートを単独行で初入山するのは危険だった。次回は真夏の雪が消えている時期に登山道をしっかり確認しながら登攀してみたいと思うなり。  
   左膝の痛みがかなり酷くなり、足を引きずるように山を降りていく。途中、吾妻小富士の稜線が凛として美しく浮かびあがって見えた。それに比べ、俺の山行には美しさがない。無様に這いつくばっているような気がする。やがて標準タイムを大幅にオーバーした俺は、兎平駐車場へようやく辿り着いた。



FIN



2007.5.27UP



記事 北野一機



HOME   TOP