5月4日

 大津谷公園キャンプ場では、またも7時近くに起床。なんだって野営時の筆者の目覚めは遅くなったもんだ。ジッパーを開けると強烈な日射しが眼に沁みた。

 朝食は、ともちゃんとNagaさんのポテトサンド。昨夜のしゃぶしゃぶのスープを使ったmacさん夫妻のうどんなど、ボリュームたっぷりの朝食をご馳走になった。とても美味しかったです。

 そして、テントサイト一気に撤収。やや出遅れた筆者の荷物は、Nagaさんが車にどんどん運んでくれたので、本日も身軽にツーリングができる。助かりました。

 きょうの行程は、いちさんと東尋坊などを観光しながら越前海岸をのんびり走り、ともちゃんち、すなわち金沢入りし、明日には帰福するつもりだ。連泊するmacさん夫妻やミッキくんたちとは、かなり寂しい気分だけどここでお別れになる予定であった?

「キタノさん、ここから全部下道でいこうね。金沢まで距離まで、まっすぐだと山の中ばっかりのルートになるよ」
『それはご勘弁くだせえ』
「だったら暇だし時間あるしなんでひこにゃんでも見るかい?」
 いちさんから、提案あり。

 高名な、ひこにゃんを見れるのか。なんっだか楽しみ。ちなみにうち(キタノ)の猫は、以後、きたにゃんと呼ぶことにした?

 ここから、いちさんのナビを頼りに、オートバイだけの怒涛のツーリングになる。長浜で久々に琵琶湖を眺めたが、いち先輩はためらわず南下。そして、四輪組の皆さんとエリミ(バイク)乗りのミッキが目指していた彦根城下へ到着。

 結局、彦根城へEOCオールスターズが全員がふたたび結集することになりました。

 まるで”8時だよ、全員集合!”状態・・・

 お風呂入ったか?宿題やったか?歯磨いたか?はあ〜ビバビバ♪

 しかし、古いねえ、どうしても世代が出てしまう、今日この頃。
 彦根城下はGWの影響で、かなり混みあっていた。でもぽつりとミッキのエリミが停まっているのをいちさんが発見。その脇にGSXとゼファーが横づけして駐車完了。

『ミッキのバイクに永久ライダーのステッカー貼っちまいますか』
「いいんじゃね」
 えーい、やっちまえ・・・

 いけないオジサンたちが、エリミに襲いかかる。これで晴れて、きみもヨッパライダーだぜよ。北のサムライが不敵な微笑みを浮かべていた。
 彦根城・・・

 いくつもの屋根様式を巧みに組み合わせた美しい曲線の調和・・・

 云々とパンフに書かれておりました。とにかく、こじんまりとまとまった秀逸なお城みたい。
 
 入り口で入場料を払って、急な階段をえっちらほいと登っていくと、macさんやNagaさん、ミッキくんたちが天守閣へと続く長い行列の中におりました。
『どうも!下道を使って来ました』
「やっぱりバイクだと早いねえ」
 なんて、会話を交わし、噂のひこにゃんショーへ・・・
   激混みだったけど、ひこにゃんの可愛いのなんのって!ぞんがい俗物な北のサムライだったりする。

 このあたりで、いちさんと筆者は天守閣へは登らずに皆さんへ別れを告げ、越前海岸に機首を向けたのであった。

 真夏のような暑さの中、全部下道で金沢へとアクセルを握り続ける。
 彦根城から出撃し、いちさんのナビの通りに動いていたので、どこをどう走行したのか筆者にはまったくわかりませんでした。

 えらい山の中の峠道で、いきなり、いちさんの走りが豹のように鋭くなって、筆者は点にされてしまう。こんな未知のエリアで孤独になったら、どうしようとか泣きそうになったが、道路の分岐のところで、いちさんが待っていてくれた。ということで近くの自販機で缶コーヒーを飲みながら、暫し休憩。

 昼食は、どこか知らない町の普通の食堂に入り、筆者がカツ丼で、いちさんはラーメン定食をオーダーしたつもりが、自分の眼前にラーメンとカツ丼が一緒でてきて、びっくりしたりとか結構波乱の旅路だった。ちなみに人のよさげなオバサンの言葉なんだけど、訛りが強くほとんど聞き取れませんでした。

 そして、いつの間にか福井県入りしていた。とうとう北のサムライも越前進出を果たす。

 越前海岸は絶景だった。道は狭いけど、左手に大きく日本海が広がり爽快度満点でした。せっかくだから越前蟹の専門店で、買い物をしようとしたら、あまりにも高いので購入を断念した。

 まあ、ついでに広い駐車場で煙草を一服してから出発しようということになり、ぷかぷかと煙を噴き出していると・・・

「買わないなら、駐車場から出ていけ」
 みたいなことを、いちさんが店のオヤジからいわれたそうだ。

 この一言で、今日1日が全部嫌になった。

 越前海岸、越前ガニ、もう2度と来ないし、一生喰わなくて上等だ。

 いちさんも自分も確信した。もともと筆者は、根室の花咲ガニと相馬のズワイしか信用してなかったし。

 なんて冗談ですが、1件ぐらいたまたま外れの店に入っただけなんだろう。でも、買わないなら、あっちいけなんて了見の狭い商売やってたら、近日中に木っ端微塵に潰れるのではなかろうか?買わなくてもまたご利用くださいがリピーターを作るコツと接客マニュアルに書かれていたはずだ。あっ、そんなの読んでないか?

 我々が何度も北海道ツーリングをしている理由は、地元の人々から驚くほど親切にされたことへ素直に感動したからである。そうじゃなかったら、北の大地のリピーターになどなり得ない。
 やがて、東尋坊へ到着。映画”沈まぬ太陽”や刑事ドラマのエンディングに登場する〇〇の名所だ。真相は、観光バスでいっぱいの普通の観光地である。

 延々と描いているが、金沢に文章でもなかなか到達しないぐらい遠かった。
 
   東尋坊を出発して、また延々とシーサイドな道のりを走っていると芦原温泉付近で渋滞。まあ、慣れたもんで、いちさんと自分は、すり抜けを駆使しつつ、渋滞エリアを脱出。荷物をNagaさんに預かってもらっていて本当に助かった。

 ともちゃんちに着く前にお風呂は済ませておこうということで、温泉or銭湯を物色しつつ小松市に到達。
 そして、”今江温泉元湯”を発見する。一応、温泉ということには間違いないが、あまりにもひなび過ぎていた。昭和の匂い、いや昭和初期の匂いを感じるぐらい古い。まあ、筆者はこういう雰囲気が嫌いじゃないけど。

 お風呂セットを持参し、入口をくぐると愛想のよくないオバサンさんが番台に鎮座しており「ひとり4百円ね」といわれる。

 しかし、本当に古い。歴史を感じ過ぎるぜよ。マッパになり、体を洗おうとするも石鹸もシャンプーもなかった。やむなく、いちさんから借りてゴシゴシする。

 お風呂はまぎれもなく温泉で、とてもいい湯だった。サウナとかもついているし。地元の方がよく利用する銭湯タイプの施設なのだろう。

 ”電気風呂”なるものがあったので入ってみた。

 ギャーッ!

 腰のあたりに電流が直撃・・・

 撤収!

 さっさとあがって、外に出ると既に落陽の時間帯となり、少し肌寒くなってきた。モンベルの雨具をたたんで防寒着を着込んだ。

 その頃、いちさんはNagaさんの携帯に連絡を入れるも不在。続いて、ともちゃんにTelすると繋がった。2人は既に金沢に到着しているようだ。夕ご飯はどうするということになり、金沢市街の安い居酒屋で済まそうということで決定。

 夕闇迫る金沢市街をいちさんと自分が、やや迷走しながら駆けまわっていた。

 ようやく市内中心部の、ともちゃんちへ到着する。もう、あたりは真っ暗だった。明日は仕事なのにすいません、ともちゃん、今宵はお世話になります。

 5日ぶりに金沢香林坊に向けて夜道を歩いた。金沢って、なんとなくしっとりとしていて落ち着く街だと思う。

 暫く歩いて居酒屋”だんまや水産”へ到着。いちさんが”だんまつま”に見えたといい、皆で爆笑する。

 お店は、とても混雑していたがどうにかにぎやかな東洋系外国人の皆様の隣に席を確保してもらった。とにかく料理が安くて新鮮で美味しかった。酒も銘酒ばかりでがんがん飲んだ。

 Nagaさんが、
「キタノさん、そろそろ奥さんに電話した方がいいよ」
 と、気をきかせてくれた。

 ところが・・・

 携帯は、タンクバックに入れっぱなしである。つまり、ともちゃんちへ忘れてきてしまった。

「オレの携帯貸すから、家の電話番号言って」
 飲みすぎなければNagaさんは本当に心根の優しい男なのだ。
『俺だけど、今、金沢だ。明日には還るな』
「わかった。気をつけてね」
 筆者はなんで、自分の女房に電話するのに緊張してるんだ?思わず隣のいちさんの腕をつかんでいた。

 電話を切った後も次々と酒肴が運ばれてきて、ベロベロにヨッパになっていく。

 連夜のストーリーの通りNagaさんは、いつの間にか撃沈していたし、筆者自身の記憶も定かでない金沢の夜であった。

 でも筆者は金沢がとっても好きになったぜよ。

 払暁、ふと目覚めると、ともちゃんちで、またも同じ布団で、いちさんに添え寝してもらっている筆者の姿あり・・・

 ひえ〜

 この旅、2度目の〇モタップ状態ですか?

 妻よ、自分は4X歳になりましたが、いつもこんなんで、ごめんなさあ〜い。



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