拙宅前にて







 4月30日

「今度のツーリングは、どこに行くの?」
 出がけに妻に訊かれる。
『うん、とりあえず金沢まで』
「なに〜、金沢だってえ〜」
 いきなり妻は不機嫌になった。
『なあにETC割引で、北陸道を南下すればすぐだよ』
 と、筆者は言い残し、まず東北道に乗った。

 久々に怒涛の北陸ツーリングGW編の幕が上がるぜよ!

 けど、なんとなく寒い陽気だ。防寒着を着こんで郡山JCTから磐越道へ乗り換える。
 西会津Pでは、桜がちょうど見ごろとなっていた。寒いはずである。一応、本日中に金沢入りする予定だったので、トイレ休憩を済まし、すぐに出発した。

 出発したのが11時近かったので、金沢まで明るいうちに辿りつけるかどうかかなり疑問だった。
 けど、北陸道に入ると空腹に耐えかねて、黒埼SAで”エビダシラーメン”を食べている筆者の姿あり。
 エビのダシがよく効いていて、なかなか美味かった。サンマーメンみたいな感じかな。冷えた体がよく温まる。

 そして、再び北陸道をつき進んだ。遠い。あまりにも金沢は遠すぎる。拙宅からだと540キロぐらいになるそうだ。こんな遠距離を一日で走らないといけないから辛い。

 親不知子不知付近では濃霧になりかかり、冷え込みが厳しかった。風も強く走行中に流されてしまい怖い思いを何度もした。

 越中境は長いトンネルが多い。まあ風を遮断できるから意外とスピードに乗ったりもした。

 基本、百キロ走って休憩。これを五回繰り返せば金沢に辿りつける計算になる。

 でも遠い・・・

 ただただ遠い・・・

 ここを南下したのは3度目だけど、いつもこんな状況だ。

 仏の顔もサンドイッチだぜ!

 北陸道って、次の給油ポイントまで100キロ以上とか普通にあるので、まめに燃料補給をしないとならない。今回、少し焦った。だってゼファーって、意外と燃費が悪いのだもの。

 そして強風の中、北陸道をひた走る。もうすぐ金沢まで辿りつける。その前に休憩を入れておこう。流杉Pへウィンカーをあげ、一服タイム。Nagaさんの携帯へ連絡を入れた。今夜は、金沢のともちゃん(Nagaさんの奥様)の家に泊めてもらうつもりだ。

『もしもし、キタノですが、金沢まですぐなんだけど』
「え、キタノさん、今、どこよ」
 Nagaさんが、驚いた口調で言葉を返す。
『流杉パーキングだよ』
「今夜は、高岡二上山キャンプ場で野営だよ。この先、3つ目の小杉インターで降りてね」

 電話してよかった。おおよその位置を訊いて小杉ICで降り、キャンプ場へ向かう。北のサムライ、野獣の勘で複雑なルートを次々と突破して辿りついてしまった。バイクキャンプ時の筆者の動きは、まさに白眉である(自分でいうな)

 二上山キャンプ場、無料だし、丘の上の居心地のよいキャンプ場であった。

 ほとんど入れ違いで、Nagaさんは金沢のともちゃんちへ向かった。本当に愛妻家な男である。
   すでにmacさん、ユウコさん、TAKAさんもいらしており、パビリオンがそびえ立っていた。

 今宵はキャンプ予定じゃなかったので、お惣菜程度しか用意できなかったけどmacさんの非常に美味なペンネをご馳走になる。
 すいませんねえ。

 ビールをがぶがぶと飲みながら歓談した。なんとTAKAさんは、偶然、macさんご夫妻と出会ったみたい。旅系の世界は狭い。
 
   まあ、そんなわけで富山のキャンプ場でテンション高めになっていると、
「こんばんは。なんだか楽しそうだったので交ぜてください」
 と、我々よりは若い世代の男性(Y氏)がやってきた。

「え、キタノさんですか」
 群馬のYさんは驚いていた。
 なんでも永久ライダーの読者で、うちのBBSにも二度ほど投稿されたことがあるそうだ。さらにここにいる全員のこともご存じだとか。TAKAさんは「本物ですか?」と訊かれたそうだ。

 う〜ん、旅系の世界って、やはり狭かった・・・

 その後、Yさんも交えて宴は大いに盛り上がっていく。

 ETCの話題になる。筆者は福島から富山まで高速に乗った。けど、たった千円である。これ1回の旅でも割引ありで往復したら充分、いやお釣りがたっぷりくるぐらいお得だと確信した。
「えっ、そんなに安いのですか?」
 Yさんは、ETC装備を取り付けてないそうで驚愕しておられた。 
 ほどほどの時間でオヒラキとなった。新規投入のダンロップのR−325(テント)とWM社のふかふかのシュラフで心地よく爆睡する。

 とても長い一日であった。
 



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