北海道ツーリング2016後編















余市岳



 名寄からからもうどのぐらい走ったろうか。時刻は15時を過ぎていた。現在地は、道央道の砂川SAだ。いくらなんでも今宵の宿の予約のTELをしないと。

「はい、ニセコアンビシャスです」
 ユミさんの声だ。
『こんにちは、福島のゴロウです。毎度、今日の今日ですいません。今夜泊まれるでしょうか』
「まあ、ゴロウさん。大丈夫ですよ」
『そうですか。よろしくお願いします。今、砂川のサービスエリアにいるので、夕食まではなんとか間に合いそうです』
「はい、気をつけていらしてください」

 よし、アンビの宿は確保した。でもここからニセコまでが遠いのなんのって。

 けれど、そうだよな。アンビから札幌のラフランス亭まで行くのだって相当な時間がかかった記憶がある。既に西に大きく傾いた夕陽の中を北のサムライ、いやさゴロウさんが、千歳ICから道央道を降りた。

 現在、8月13日だ。ヤタロウとの約束の日である。既にお盆に入っているせいか、流石に夕刻になると肌寒かった。20世紀の昔から、過去に何十回も通った名水ふれあい公園前の狭い道道16をどんどん南下していき、支笏湖を通り過ぎる。

 支笏国道〜広島峠〜きのこ王国〜真狩村のルートを辿ってニセコアンビシャスに辿りついたのは19時近く、夕食ギリギリタイムであった。

 既に周囲は真っ暗になりかけていた。そして本日は高速道路も使用しながらどんだけ走行したんだろうか。午後は、ほとんど愛機に乗りっぱなしだ。

 もう疲労困憊。でも窓からゴロウさんと叫びながら、手を振ってくれている人の姿が映っていた。本当に救われる光景である。

 災難や苦労ばかりだった旅からようやく脱却できると心から思った。いやできるんじゃないかな?

 まあ、もうちょっと少しぐらいは苦労するカモメ〜。





 なに、レッカー代や修理代で15万円もかかったの。それは祟られているわ(村長談)

 サロベツで、なにが遭ったの?具体的に話してみなさい?(オオタさん談)

 う〜ん。カワサキのバイクって、うちの職場にかかわることやからなあ〜(ノブロウくん談)

 そっちこっちでそんな話題で盛り上げる。

 本当に一言では語りつくせぬ青春の日々〜

『いや、ぼくはもう青春とかいうにはずいぶん薹が立ってしまいました』
 なんて言っていると、埼玉からスクーターでやってきているという、初対面の方から
「青春は死ぬまで続くんですよ」
 とのお言葉を頂戴しました。まさしくその通りです。

 食後の飲み会も楽しく過ごし、今宵の寝どこは地下1階・・・

 初めて泊まる地下の仲良し部屋でした。通常はヘルパーさんが泊まるお部屋らしいのだが、今回はお盆で混み合っているので、ノブロウくんとヤタロウとゴロウさんはこちらの部屋になったみたいです。

 そして、ノブロウくんと飲み会の後も地下の部屋でヨッパで話しているとヤタロウもやってきた。今宵の役者がそろってきたぞお〜

 ノブロウ、ヤタロウ、ゴロウ・・・

 ノブロウくんに言わせると、アンビ『3ロウ』だそうな!

 なに〜

 く〇ーとカ〇さんが結婚されたですとー

 それは本当におめでとうございました!

 というわけで大いに盛り上がったニセコの地下のお部屋での出来事でございました。





 翌朝、元気に朝食を平らげ、目指したのは余市岳だ。

 個人的に足を痛めているのだけれども、キロロリゾートのゴンドラでスキー場の上部まで来て、平坦なルートをひたすら歩く。なんとかなりそうな感じだった。

 しかし、今回の筆者の旅は足を痛め、財布を痛め、心を痛めとこてんぱんにやられっぱなしでございました。

 まあでも何にも邪心のないような、この好天に傷つき果てた筆者の心はかなり救われた気分だ。

 空気も高山らしくかなりひんやりとしている。





 余市岳は、ゴンドラリフトを使えば、そう厳しい山ではない。

 リフトの終点から比較的平坦なルートを歩き、短い最後の山道だけが少しきついかなっていう感じだ。

 まあ、それもパーティで楽しく会話しているうちにあっという間に山頂に到達してしまう。





 がっ・・・

 実はここからが見ものだったりした。



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