北海道ツーリング2015
8
地球岬
7時起床。宿泊だと撤収や炊事がないので、すっかり油断してしまって、起床時間が遅くなってしまう。あと悪天候の中での連続キャンツーの疲れが、じわりじわりとボディブローのように効いてきているのかもしれない。 朝食のおかずは秋刀魚の塩焼きだ。なんだか秋刀魚を久しぶりに食べた気がする。脂が乗っていて本当に美味しかった。ご馳走様でした。 さて、本日の行動なんだが、村長の体調がおもわしくないので宿主催のツアーは中止となる。無理をせず、ごゆっくり休んでください。ぼくの場合、昨年みたいに愛機が故障で動かなくなったわけではない。自力でツーリングを楽しめる。 天気はあまりよくないけれど、室蘭とか長万部方面なら今のところ好天だと村長がネットで調べてくれた。それなら、久々に室蘭の地球岬方面に行ってみるか。彼の地には16年前に訪れたっきりだ。 キーボーさんファミリーは長万部方面に向かうそうだ。 「おっ、ゴロウさん、ライダージャケットを着ると硬派に変身ですね」 キーボーさんが言うと皆さん爆笑していた。 そんなあ、それじゃ、普段のぼくはただのエロオヤジみたいじゃないの。 まあ、とにかく行ってきます! |
ルートは基本的にナビに任せっぱなしだった。喜茂別〜洞爺湖をかすめて壮瞥〜伊達まで到達。途中、山間部で少し雨に打たれたけれど、雨雲の下をくぐり抜けると、また晴れ間がやってくる。海岸部に出ると完全に晴天になった。 画像は白鳥湾展望台前のPAにて。ここでお手洗いなどの小休止。喉も渇いたので自販機で缶コーヒーを購入する。気温が高くなってきたので、冷たいコーヒーが美味しい。ここのPAはきちんと分別したゴミ箱があったので助かった。近頃は、自販機で販売はするけど、ゴミは勝手に持ち帰れという風潮になってきて、ツーリングライダーは大変迷惑を被っているのだ。 |
せっかくだから展望台に登ってきることにする。ちょっと階段はしんどいけれど、上まで登るといい眺めだ。 白鳥湾が綺麗に見渡せる。ただこの展望台は、白鳥大橋と製油所を望む夜景スポットとして人気があるらしい。どうりでこの時間帯だと誰もいないはずだ。 |
「おーい、旦那あ〜」 下から愛機が叫んでる(なわけないじゃん) ゼファーがポツンとしている。本日は過積載じゃないから、ずいぶんと楽に走れるだろう。いつも無理をさせてすまねえなあ。灼熱だろうが冷夏だろうがゲリラ豪雨だろうが関係なく、20有余年の歳月も筆者から酷使され続けてきた。なんて健気な愛機だろうねえなんて思ったら、またウルッときてしまう。歳をとるとどうも涙腺が弱くなるもんで。 とにかく荷物が少ないので、本日の愛機は軽快そのものだ。颯爽と白鳥大橋を渡っていった。 |
相変わらず、くねくねとした細い道を上っていくと地球岬のパーキングへ辿りつく。駐車場もかなり埋まっているし、結構な数の観光客で賑わっていた。 ところで売店の看板にある地球岬名物”炎の毒まんじゅう”ってなんだ?調べてみたらまんじゅうに毒は入ってないらしい。だが、その恐ろしさはある意味毒以上。6つ入っているまんじゅうのうち、1個に強力な辛子が入っていて、もの凄い激辛のようだ。話題作りにどうぞとか書かれているけど、顰蹙を買いそうな気もする。 ここでマシンを停めて、地球岬まで歩く。 |
正確には”チキウ岬”。名前はアイヌ語の「ポロ・チケブ」(親である・断崖)に由来するそうだ。そこから地球岬と呼ばれるようになった。 やっぱり、ここも観光客で溢れていた。その中で目立ったのが、熟年のカップル?夫婦?なんとこの暑いのに肩を組んでラブラブで歩いているではないか。なんと素晴らしい。周囲の人たちも苦笑いしていた。 牧歌的な光景だと思う。 |
実によい景色だ。空の青、海の青、白亜の灯台、絵になっていると思う。 チキウ岬灯台は、1920年に初点灯し、日本灯台50選にも選定されている。周辺は渡り鳥のルート上にあり、それを狙ったハヤブサの営巣地としても知られているそうだ。 ちなみに地元の福島駅前では、ムクドリが異常繁殖して夕刻はヒッチコック状態になっている。そのムクドリを狙って福島駅前にもハヤブサが住み着くようになった。 暫くぼんやりと海や灯台を眺めていたが、キリがない。出発しよう。 |
“金屏風”、地球岬からバイクで数分ぐらいの所に位置する絵柄半島東側の海食崖である。崖面が赤褐色で、あたかも金の屏風を連ねたように見えることからこの名がついた。 その他、まだまだ景勝地が存在するようだが、このあたりで室蘭から出発しよう。というのは筆者の腹がかなり減ってきて耐えられなくなってきた。 |
室蘭からR36で苫小牧方面に向かう。登別を過ぎて虎杖浜に入った。ここで昨年も入れなかったカニ料理専門店”かに太郎”にチャレンジしよう。 14時ぐらいには閉店してしまうので、ギリギリの入店だった。外観は廃墟、店内は結構綺麗という感じである。 「かにめしでいいよね」 メニューはたくさんあるけど、ほぼオジサンの一声で確定してしまう。 かにめしが運ばれてきた。卵焼きとかカンピョウの下にびっちりとカニの身が敷き詰められている。味付けは濃い目だけど、カニの味がしみていてとても美味しい。それなりのボリュームだったけど、あっという間に完食してしまった。またシイタケの吸い物もダシが効いて大変旨い。すっかり満足した。 この内容で、ワンコイン5百円だ。あんまり商売っけがないというか、目立ちたくないような節のあるご主人なんだが、お勧めである。 「お客さん、オートバイでどこから来たんだい?」 出がけにオジサンから声をかけられた。 『はあ、福島です』 「震災以降、いろいろ難儀なことが続いて大変だったねえ」 気難しいご主人だと訊いていたのだが、ぞんがい温かい感じのご老体だった。 「気をつけて、旅行を楽しむんだよ」 オバサンからも出がけに言われる。 『ご馳走様、とても美味しかったです』 ぼくはそう言い残して店を出た。 |
かに太郎の外観。どうです。この荒れっぷり。どう見たって廃墟にしか見えない。店の裏側には産業用廃材が山積みされていた。目立たないようにわざとカモフラージュしているとしか筆者には思えない。 もしかしたら筆者は30年近く前の学生の頃から、こちらの店は廃墟だと信じて疑わず、何度も付近を通り過ぎてしまっていたような気がした。あの店がまさか営業しているとは最近まで思わなかったという地元の人の証言すら存在する。 「うちの店、どうして知ったの?」 『お友達から訊きました』 女の子ふたり客にご主人が 帰りがけ、虎杖浜のお気に入りの温泉施設”ホテルほくよう”に立ち寄ったのだが、この日、点検・整備のため日帰り入浴が休みだった。ここは本当にいい温泉なだけに残念である。でもまた来年あたりも再訪してみよう。 |
ちょっとショートカットして、登別からオロフレ峠を通ってニセコに戻ろう。と思っていたのだが、倶多楽湖の湖畔になぜか出てしまった。そして細くて寂しい道をグルグルと迷い、元の道に出てしまう。何者かがオロフレ峠は通るなと暗示しているのかもしれない(謎) 結局、室蘭〜伊達〜壮瞥と基本的には往路と同じような道を辿ることになる。なんとも芸がないのう。その後もナビの通り、ニセコへの近道とかにも入ってみたのだけれど通行止めになっていたり、ガス欠になりそうになったりする。まあ、波乱の展開に陥りながらも、ようやくアンビに到着する。あたりはもう、うす暗くなっていたし。 |
夕食はユミさん手作りの”爆弾コロッケ”だった。これが筆者の大好物なのであった。ソフトボール並に大きくてボリューミーである。 食の細かった筆者も北ツーをしている間にかなりリハビリが進んできた。爆弾コロッケをバリバリと平らげた。 キーボーさんファミリーは二股ラジウム温泉に行かれたそうだ。あの温泉の効能は素晴らしいのだが、東京の会社が買収して以来、評価が非常に下がった。ツーリングマップルにも掲載されなくなった。それでも湯自体はよかったそうだ。 今宵は、村長の体調不良につき、夜の宴会はなし。筆者は大部屋にひとりなので、ラジオを聴きながら、ウイスをちびりちびり。 21時には、布団に入り爆睡してしまう。 |