北海道ツーリング2015
7
ニセコ入り
フライシートに凄い雨音がしている。ほとんど、その音で目覚めたといっても過言ではない。もの凄い豪雨だった。最早、これでキャンプ旅を続けるというレベルではないと思う。ラジオからは、盛んに台風接近の報道が流れている始末である。 せめて函館方面まで行って、久々のアバウト北海道一周キャンプツーリング完了としたかったのだが、この雨では無理だ。強引に雨の中をキャンツーしても少しも楽しくないもの。 ここらが潮時だな。連日、流れるように道東・道北をキャンプしながら転戦してきた。もう充分に北のサムライの旅の面目は果たせただろう。 |
朝食は、やはりマルちゃんのしょうゆ味ラーメンにした。かなり手抜きだけど、冷えた体が温まる。 なんだか食べ足りないので、あまり上品ではないが、残ったスープに適量の米をぶち込んで炊き込みご飯にしてみた。これが、ぞんがい美味い。生卵とか投入したら、至高の味になると思う。いろいろやってみるものだねえ。 食事中、たくさんカラスが炊き込みご飯の匂いを嗅ぎつけ、集結してきた。あまりにもウザイので、小動物追いピストル(音だけで弾はでない)を数発乱射したら、カラス野郎どもは全部逃走していった。 ちなみにこのアマゾンで購入したピストルで金融機関に乱入し、筆者の生活向上を図ろうだなんて、まったく考えておりません。飽くまで、登山やトレッキングをした際の熊対策です。お天気さえよければ、いつでも山に入れる装備は全部整っている。テントも優れた山用だし。 |
五徳コンロで湯を沸かし、ゆっくりと熱いコーヒーを飲んだ。食後のコーヒーは美味いねえ(欧米か) ずいぶんとのんびりとした朝になってしまったが、これからどうしよう。こう、完膚なきまでに雨から叩きのめされると、完全に心が折れてしまった。天候が安定してくるまで、もう野営は無理だ。そろそろ、ニセコのアンビにお世話になろう。 「はい、ニセコアンビシャスです」 村長の声だ。 『福島のゴロウですが、凄い雨にやられて心が折れました。今夜からお世話になってよいですか』 「おお、ゴロウさん。大丈夫だけど、今どこ?」 『モラップキャンプ場です』 「そうなんだ。気をつけて来てね」 心なしか村長の声がいつもの元気がないような気がした。 |
いくら雨でも少しはテントを乾かしたいので、旧管理棟の軒先に入れて横にした。反対方向で、ご夫婦のキャンパーが筆者と同じ作業をしていた。雨の中だと、誰もが考えることは一緒だなあと思うなり。 それでもあまり乾く兆候がないので、フライやテント本体をタオルで拭ってから撤収し、マシンへパッキングを済ました。そして、ゴミ捨場へ向かう。 こちらのサイト、天気が悪いのと大量のカラスの鳴き声で当初はよい印象をもてなかった。でもきちんとゴミが捨てられるではないか。これだけで、ずいぶん評価があがった。昨今では、たとえ無料のキャンプ場でもゴミが捨てられないのなら敬遠してしまう傾向がある。 モラップキャンプ場、いつの日かお天気に恵まれた日に再訪させていただこう。 愛機のスロットルをゆっくりとあげ、キャンプサイトの外側の道をゆっくりと走る。支笏湖がガスで霞んでいる。そして、合羽を着た筆者が強い雨に叩きつけられているという状況が続いていることは言うまでもない。 |
支笏国道を雨に打たれながら南下していく。なんかシチュエーション的に落武者を連想してしまうのだ。 やがて、きのこ王国大滝本店に到着した。ここ何年かで、きのこ王国の支店というかチェーン店というか、あちこちに店舗が出来て、急速に業績が伸びているらしい。 一杯100円の名物きのこ汁は、なんと年間60万食も売れているそうだ。確かに100円であのお味なら飛ぶように売れるだろうなあ。 さて、筆者の昼食は”きのこ天ぷらざるそば”にしてみた。以前にも食べた記憶もあるのだが、結構なボリュームで腹パンパンになって苦しい。ここの料理は、カツ丼・カレーなど全体的に爆食系である。しかもなかなか旨いと来たもんだから、レストランはいつも混雑していた。 ついでに宿の土産に”なめこ”を購入した。このなめこが実に大きい。天然のなめこを裏磐梯で採取したことがあったが、それに近いものがある。養殖でもこれだけのなめこを作る技術があるんだ。きのこ王国、恐るべしっ! 腹一杯の状況でスロットルをあげ、R276へ突入した。 |
羊蹄のふきだし公園付近まで到達した。ここは久々に京極温泉で温まっていくか。昨今、なかなか訪れる機会がなかったのだが、筆者のお気に入り温泉施設のひとつだ。 こちらの温泉は京極町営で利用料は500円だ。以前、隣接するキャンプ場”スリー・ユー・パーク”で幕営した際などに利用していた。 大風呂・泡風呂・打たせ湯・サウナ風呂・露天風呂と設備が素晴らしく充実している。 |
京極町、京極温泉、そんな名称を聞くと京都府となんかの関わりがあるのかと連想してしまうが、実は人名に由来しているそうだ。明治時代にこの地を開拓して牧場を造った方、旧亀岡藩主・京極高徳公からきている。きっと町名になるほどの功績があったのだろう。 泉質・ナトリウム-塩化物・硫泉塩泉、源泉温度41.3℃、湧出量60L/分である。 広々とした休憩室があり、ひと風呂浴びた後、仮眠させてもらった。そして、もう一度、温泉に浸かり終えた頃、時間もずいぶん押してきたことに気づく。 温泉室から出ると、まだ雨がザーザー降っている。今日で、キャンプを切り上げて正解だった。 なんて思いながら、ニセコに向けてスロットルをあげた。 |
ニセコアンビシャス着。雨はニセコ町に入ったら小康状態となっていた。しかし、予断を赦さない状況だ。お盆までは天候が悪いという天気予報は聴いていたが、盆を過ぎても一向にお天気は回復傾向にならない。 「ただいま」 『おかえりなさい、ゴロウさん』 ユミさんに出迎えてもらう。 「部屋は、いつもの大部屋(本当は名前があるけど忘れてしまった)ね」 『了解しました。お世話になります』 荷物を大部屋にどんどん運び入れた。 どうやら、村長はお盆時期の忙しさの疲れ?あるいは夏風邪をひいて、寝込んでしまったらしい。どうりで、今朝の電話越しで元気がなかったんだ。 |
「ご飯ですよー」 ようやく村長の声が聴こえた。 「ゴロウさん、お久しぶり。お盆の時期にゴロウさんがいないから、みんな寂しがっていたよ。来年はもっと早く来てね」 と言っている村長だが、やっぱり体調があまりよくないみたい。 つい先日まで、ヤタロウやノブロウくん、マスミさんなど懇意にしていただいている皆さんが、こちらの宿の渓流ツアーをしていたんだと、乾してある長靴を見て連想できた。 さて、夕食だと思い、隣におられる皆さんを見ると、なんとキーボーさんファミリーではございませんか。 そう、3年前に一緒に無人島ツアーをされたファミリー・・・ これは懐かしい。お子さん達も大きくなって本当になによりでした。 上記画像の右手のファミリーの皆様です。 無人島ツアー(制作;2012ニセコアンビシャス) ちなみにこの無人島の存在は、極秘ポイントなので具体的な場所は絶対に言えねえなあ(謎) |
話は前後するが、夕食のおかずはチキンソテーだった。とても美味しくいただきました。ユミさんの料理は、本当に多すぎず少なすぎず、とてもバランスがよい。 21時ぐらいから、ワインの宴会。 キーボーさんのお子さん達は、筆者のことは覚えてなかったみたい。それでも無人島ツアーの話をすると、なんとなく思い出したようだ。そう、3年前、キミたちはぼくと一緒に無人島を一周歩いたんだぜよ。 時代は幕末の江戸だった(嘘) 鹿の骨とか途中にあったよね! 画像は、お盆中の渓流登りの図なので、筆者は入っておりません。アンビでは昨年から渓流登りツアーに力を入れており、多くの皆さんがハマっている次第なんです。 今宵は、村長の体調もよくないので、早めに宴会はオヒラキとなりました。 何日ぶりだろう。お布団で寝れるなんて。若い頃は半月ぐらいなら平気で連続キャンプしていたけれど、もう無理だ。北のサムライの体力は徐々に弱体化している。ふかふかの布団があまりにも心地よ過ぎて夢も見ずに爆睡してしまう。 |