北海道ツーリング2015















ゴロウさん?



 というわけで、天塩町鏡沼公園キャンプ場6時起床。雲は多いが、今のところ雨の心配はなさそうだ。

 お隣のチャリダーさんも奥のファミキャンさんたちもまだ爆睡中のようだ。まずはバーナーで湯でも沸かそう。この頃になると、ほとんど一日の行動がパターン化されてくる。ようやくキャンプ旅に脂が乗ってきたようだ。





 湯が沸騰してきた。熱いコーヒーとトーストで簡単な食事を済ました。近年の旅の途中のブレックファーストでは、米よりもパンの方が食べやすい。う〜ん、欧米か!(古い)。

 テントの撤収作業を開始してもよいのだが、昨日、隣接する温泉施設”夕映”の割引券をキャンプ場の受付で頂戴してしまった。百円引きか。朝7時から営業しているとも書かれていたので、徒歩でとぼとぼと向かった。





 夕映周辺もオートキャンプ場になっていた。ここなら温泉が近くでいいかもしれない。まあ、フリーのサイトから歩いても7、8分ぐらいか。

 施設内は、泊まりのお客さんで結構、賑わっている。もう少し、歳をとってバイクに乗ったり、テントを立てるのが困難になったら、こういう施設を利用しながらでも旅をしよう。それもそんなに遠い未来の話ではなくなってきているような気がする。

 露天風呂の水は抜かれていたけど、内湯は実にいい湯であった。じっくりと浸かって汗を流す。なんだか朝から体力を消耗しそうな気がしたけど、体勢に影響はなかろう。

 テントサイトに戻り、タープ・テントなどの無防備な撤収作業中にまたもゲリラ豪雨にやられた。今、温泉に入ったばかりなのに。慌てて荷物をパッキングし、キャンプ場から逃げ出した。

 とにかく天塩町を抜けるまで、天売国道はずっと豪雨。雨に叩きのめされながらオロロンラインを南下していった。





 遠別町にてようやく天候が回復する。たちの悪い雨雲がいくつか、道内各地を暴れまわっているという印象だ。

 初山別村や羽幌町は好天のまま無事通過。苫前町でまた雨が降り出すも39機の風力発電が見えるようになるとまたも天候が回復してきた。実に不安定なお天気である。合羽を着たり脱いだり、着せ替え人形のような状態になっていた。

 そういやあ昔、北海道ツーリング好きの方たちが集う、とあるオフ会に参加したら自作のドール(某ゲームのヒロインがモチーフのようだ)をお持ち方が何人かいて異様な雰囲気だった。ドールの服の着せ替えもしている。まあ、趣味は個人の自由だと思う。皆さん、いい人ばかりだったけど、ずいぶん凝っていて遠近法で人間とドールの等身大の画像も撮影していた。あの人たちはいったいどこへ行ってしまったのだろう?





 風力発電の少し先にて暫し休憩をとる。これから留萌方面に針路をとるつもりなのだが、彼の地も大雨洪水警報とか出ているし。

 今はお天気がよいのだが、なんだか気候が不安定なんだよねえ。現在の筆者は、煙草を嗜まないのだけれども、この一瞬だけ吸いたくなっていたりした。まあ、我慢したけれど。

 とりあえず海だけは荒れておらず、穏やかに凪いでいた。





 道の駅”おびら鰊番屋”でトイレ休憩。PAの入口で漁協の人たちだろうか?炭焼きのホタテなどの魚介類を格安で販売していた。また、商工会の婦人部の人たちだろうか?ハッピを着たお姐さんたちが茹でたてのトウキビを販売している。

 どちらも美味そうなんだが、この先、留萌で食べたいものがあるので、ぐっと堪えた。でも香ばしい匂いがぷんぷんと漂う道の駅だった。





 ライダーさんの姿も数多く見かけた。立ち話で、旅の情報交換をしているみたい。インターネットがない時代って、これが大きな情報源だったと思う。現在はとても便利な時代になったけれど、なにか非常に重要なことを置き忘れてしまったような気がするのは筆者だけか?

 一台のハーレーが爆音をあげながら出発していった。いつも思うのだがハーレーの排気音って、どうしてこうなにもかもぶち壊すようにバカデカイのでしょう。手前味噌になるが、ゼファーのヨシムラサイクロンが格調高き音色に聴こえてしまう。

 しかし、ここの道の駅ってずいぶん綺麗な建物だ。新しく建て替えたのだろうか?本物の国指定重要文化財の鰊番屋はこの先(隣)にそびえ立っている。

 お手洗いを済ませ、格調高きヨシムラサイクロンのエキゾーストノートを鳴り響かせながらオロロンラインを南下していく。 





 留萌入りした。留萌といえば”蛇の目寿司”でしょう。ここで寿司が食べたくて市街地に入ったといっても過言ではない。しかし、まだお昼前なのに凄い混雑している。30分ぐらい待ちますよと言われ2階の部屋の相席に案内された。お盆中だから致し方なし。

 前回は蛇の目寿司スペシャル21貫にチャレンジして、あまりのボリュームで終りの方は満腹で結構きつかった。そこで今回は極特上握り12貫にする。

 30分後、上記画像の握り寿司が出て参りました。上寿司の内容に鯖とシャコがトッピングされてくるのが嬉しい。相変わらずネタが新鮮で旨かった。余は満足じゃ。店を出ると待ち時間が30分じゃなく1時間という張り紙が出ていた。

 さて、これからどうしよう。増毛方面に向かうか。でも気候の荒れている日本海側を走るよりも旭川方面、つまり内陸部に入るのもひとつの作戦ではないだろうか。それがいいかも。彼の地(旭川)ならキャンプ場もたくさんある。

 深川留萌自動車道(留萌大和田IC〜深川西IC)は無料ということなので利用させてもらうことにする。しかし、高速に乗る手前ぐらいからまた無情の雨が降り出した。モンベルのゴアの雨具を着た筆者は、水しぶきをあげながら高速道路をひた走る。






 深川西ICを降り、旭川の市街地を目指す。幸い雨はあがって陽が出てきたけど、中心部へアクセスするR12は凄い渋滞だ。これは久々に富良野方面に目的地を変更するか。なんだかころころと行先を変える優柔不断な男になってきたぞ。

 花人街道に入る。すると美瑛町の手前から渋滞が始まっていた。やはり美瑛や富良野は道内屈指の人気エリアだし、さらに盆中だからなあ。今更引き返すわけにもいかないので、すり抜け出来るところはどんどんして先に進み、ようやく上富良野に入る。

 画像は”かんのファーム”にて。遅咲きのラベンダーなど、数十種類の花々を栽培している。いつ来ても美しいロケーションだ。画像を1枚だけ撮影し、スロットルをあげた。ヨシムラサイクロンの低音で格調高きサウンドをあげながら(クドイって)。






 勢い余って、上富良野を突破して中富良野に突入してしまった。すると”サンタのヒゲ”の看板を発見。あれ?ここだったっけ?以前はもっと手前、上富良野側だった気がしたけど。よし、入ろう。

 せっかくだから「サンタ・デ・メロン」をオーダーする。メロンの上にメロンソフトが乗っている。食べれば食べるほど、メロンからは濃厚な果汁がたっぷり湧いてくる。そしてメロンの匂いがあまりにも香ばしいソフトクリーム。これが不味いわけがない。マ・イ・ウ!綺麗に完食いたしましたぞ。

 いいぞ!ポプラファーム!応援してるよ!






 富良野は盆地だから、夏は朝夕の寒暖の差がとても大きい。この寒暖の差というやつが農産物に甘みを出すのに重要なポイントになっている。当然、富良野メロンも例外なく甘いというより、本当に美味しいのだ。そのメロンにソフトクリームが乗るんだからたまったもんじゃございません。垂涎の甘味だ。確かサンタのヒゲのメロンソフトは商標登録されていたと思う。

 ところで今宵はどうしよう!

 もう夕方だ。こんな時間にダッチオーブンの宿に連絡してもとても泊まれないだろう。またこんな状況でも、もう少し、流れるようなキャンプ旅を続けたい。

 星に手のとどく丘キャンプ場とか少し興味があるんだけれど、ここは久々に上富良野日の出公園キャンプ場にしてみるか。もう十数年も利用してないし。

 というわけで、日の出公園キャンプ場に入る前に温泉で体を温めていこう。夕方になると夏とは思えないほど、気温が低くなってきた。






 フラヌイ温泉もお気に入りの湯なんだけど、ずいぶん久しぶりだ。フラヌイって、どうやらアイヌ語で富良野の地の語源になる言葉のようだ。

 宿泊客も多いらしく歓迎の看板もたくさんでていた。受付を済ませ、脱衣所へ向かう。途中、おもしろいというか興味深いポスターを発見。さっそくデジカメで撮影してみたりする。その内容は内緒だ。

 温泉は常連っぽい方が何人かおられるだけで、思ったより空いていた。






 ナトリウム・炭酸水素塩物泉。源泉温度34.2度。飲料可だけど無味。ちょっと鉄臭い。上記画像の通り、やや褐色。源泉のままの掛け流しの方が冷泉。加温掛け流しの湯の方と交互に浸かるととても心地よし。

 フロンティア フラヌイ温泉は、平成2年開業というけれど、昭和の温泉のようなレトロ感に溢れていた。このひなびた雰囲気がたまらない味を出している。






「いいっ、湯っだねえ〜」
 どこかで聞いた声がした。

 まさか・・・

『黒板五郎さんですか?』
「しー、今はねえ、オフレコでフラヌイ温泉に来ているんだよねえ。キタノさんも久しぶりだっねえ。あんたオイラのモノマネ、ずいぶんしてるんだって?というより、オマエがやったんだな」
『出過ぎたことをしてすいませんでした。でもやったのは、正吉でして』
「いや、いいんだよ。逆にオイラ、とってもー、うっ、れっ、しいーねえ〜」

 おお、この不肖キタノ、本物の五郎さんとお会いできて感慨無量でしたぞ!(謎)

 ごのお話を信じるかどうかは、ご覧の皆様のご判断にゆだねます(謎)

 すっかり興奮し、お風呂からあがると・・・

 ゲッ!思いっきり雨が降ってるし!現実は過酷な運命を与えるものよのう・・・






 雨が小雨になった頃、フラヌイ温泉を出発する。ここから日の出公園キャンプ場まで、そう遠くはない。セイコマで酒食料等を調達し、13年ぶりぐらいに日の出公園キャンプ場入りを果たした。

 ファミキャン、ツーリングライダーでずいぶん混雑していた。駐輪場へマシンを停めると、
「あのキタノさんですか?」
 同世代ぐらいかなあ?ライダーさんから声をかけられた。
『はい、キタノです』
「私がオートバイで北海道ツーリングをしようというキッカケを作ってくれたのが、永久ライダーさんのホームページです。ありがとうございました」
『いやはや、拙い当サイトをご覧いただき、こちらこそどうも』
「ゼファーを見て、すぐにわかりました」
 それはそれは恐縮です。

 彼は左右衛門さんという方で、”NC700XLDで気ままな旅”というブログを運営されているそうだ(頂戴した名刺にそう書かれていました)。どうやら凄い長期間、北海道ツーリングを決行されている方らしい。筆者も魔除けの”永久ライダー”ステッカーを進呈させていただきました。

 さて、受付だ。ライダーさんは、このあたりのサイトを利用してもらいたいということと、このキャンプ場を経営している会社が吹上温泉白銀荘らしく、同温泉の割引券を頂戴した。

 さあ、暗くなってきたぞ。早くテント、及び天気が悪いのでタープも設営しないと。通路側のサイトはテントで埋まっていた。致し方ないので、リヤカーに荷物を積んで奥の方のサイトへ移動した。

 移動中、荷物の上に置いたアライのヘルメットが落ちてシールドが外れてしまう。それを直すよりもテントとタープを設営するのが先だ。小雨の中、ようやく作業が終了する。

 その後、シールドを修理する作業に没頭したけど、なかなかハマらない。去年もニセコで外れたけどすぐに直ったんだけどなあ。しかし、筆者もずいぶん不器用なものだ。隣のテントのライダーさんと少し目が合ったので、すいません実は・・・

 他力本願な筆者は、お隣のライダーにお願いしてみた。

「ぼくはショーエイなもんでできるかどうか。う〜ん、やっぱり無理ですねえ」
 と、いいながらの周囲のライダーさんたちにアライのメットをお持ちの方おられますかと訊いてくれてるではないか。ウッ、なんていい人なのでしょう。

 そのうちアライのメットをお持ちのご夫婦ライダーさんのご主人さんが一瞬で、直してくれた。本当にありがとうございました。旅先で親切にしていただけると、とてつもなく嬉しくなる。日常で苦労ばかりしているからなおさらだ。「よかったねえ」と周囲のライダーさんたちも心から喜んでくれた。

 いろいろ便宜をはかってくれたお隣のライダーさんと直してくれたご夫婦ライダーさんには、魔除けの”永久ライダーステッカー”を粗品ながら進呈した。

「わー、永久ライダーって凄い。いただけるんですかあ。本当に嬉しい」
 特に奥さんライダーは、大喜びだった。

 日の出公園キャンプ場、まるで昭和のような義理人情をお持ちの方々が集っておられるサイトだと思う。

 なんだか、とても感激してしまって、お酒がことのほか美味しく感じられた夜になった。

 うっ、れっ、しいねえ〜(黒板五郎風)

 ちなみに昨夜の濡れたシュラフは、管理棟の乾燥機で充分に乾かしたので、ふかふかになり快適だったことを付記しておこう。




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