北海道ツーリング2015
4
てっぺんにて
6時半に起床。そろそろ疲れが溜まってきたのか、実によく眠れた。タープの外はまたも小雨が降っていた。なんだか士気が落ちるのである。 お湯を沸かし、パンとコーヒーの簡単な食事を摂る。朝食は、どうしても食欲がでない。やっぱり歳なんだなあ。食がどんどん細くなり、真の男よ!北のサムライよ!と絶賛された旅人キタノも中高年となり、ただのオッサンライダーになりつつあった。 |
このキャンプ場のよさは、夕陽の美しさとコインランドリーが付いていることだ。朝もはよから、せっせと洗濯を済ませた。 「今日もずっと雨なんですかねえ」 同年代ぐらいのライダーから話かけられた。 『お盆が開けるまで天気が悪いと天気予報で言ってました』 ぼくが、そう答えると、 「そうですか。今日も合羽を着て行動かあ。嫌になりますね」 そういいながら、とぼとぼとマイバイクの方へ歩いていった。 |
クッチャロ湖の看板付近で朝食を摂っていた知らないオジサン。ラジオ体操でもしているのかな?その先は、ガスで湖がまったく見えなかった。 ファミキャン、キャンプライダー、チャリダーでごった返すサイトもほとんどの皆さんが起き出して活況を呈してきた。多分、この1年で、この日前後の数日間のみが、最も人口密度の多い時期だと思う。 しかし、小雨が降っているという現状は、まったく変わらないのが悲しすぎるぜい! |
タープ・テント等を丁寧にたたみ愛機にくくりつけた。パッキングは完璧だ。よし、朝7時から営業している”はまとんべつ温泉ウィング”で久々に朝風呂を浴びていこう。ちくと温めだが、ここの温泉のレトロさにぼくは好感を持っていた。 ところが、行ってみると、AM11時から営業と記されているではないか。これでは待ち時間が長すぎる。というより、そんなに待つのは無理だ。 小雨を突っ切るように泣く泣くスロットルをあげた。まあ、旅の中にはこんなこともあるさ。って、あんた、日常非日常問わず、いつもこんな目に遭ってばっかりじゃないの?と悔しさのあまり、自分にツッコミを入れるキタノさんでした。 |
オホーツク国道に入り、すぐに右折するとエサヌカ線だ。2012年以来、3年ぶりに突入する。霧雨の中、一騎駆けの北のサムライがいつ尽きるともしれない直線を疾風怒涛の如く激走していく。 アドレナリン、ドーパミン、エンドルフィンが、ぼくの全身の中で一斉に暴れまくっていた。エサヌカ線の長大なストレートはチキン肌が出るほど素晴らしすぎる。 まあ、せっかくだから画像を1枚ぐらい撮っておくか。でも筆者しかいない。誰もいない。人気がぜんぜんない。こういう不思議な空間が北の大地にはいくつも存在するのだ。 |
エサヌカ線を抜け、宗谷国道をひた走る。ずっと小雨が降っていて、少し肌寒い。さるふつ公園を過ぎたあたりで、道道1077から山間部に入り、久々に内陸から宗谷岬に出ようかと考えていた。しかし、この荒天では、眺望がまったく期待できない。それどころか苦痛ばかりの走行になるような気がした。 ここは諦めて、素直に宗谷国道を北上した。でも寒いし、雨も止まないんで、宗谷岬手前の名もないPAで、メッシュジャケットの上に合羽を着た。 |
日本のてっぺん、最北端宗谷岬着。 忘れてください。 AM10:00ぐらいだった思う。悪天候の中、観光バス、家族連れ、ツーリングライダー、チャリダーとほんと多くの人たちで賑わっていた。最北端は、北の大地有数の人気スポットだと思う。 筆者も三脚を出して、自分の画像を撮影しようと思ったのだが、面倒になって止めてしまった。写っているのは、見知らぬ観光客の方たちでした。 すぐ横のトイレで、お手洗いのみを済ませ、スロットルをあげた。 |
漁村の集落が点在する宗谷湾沿いのR238をひた走る。寂しい光景だけど、なんだか哀愁が漂っている気がする。この雰囲気は28年前にCB750Fで初めて、このあたりを走った頃とあまり変わってないロケーションだ。 稚内の市街地に入ったら、陽が出てきて気温が上がってきた。駅前を通り抜けノシャップ岬に着いたら暑さに耐えきれず合羽を脱いで、フリースもインナーも脱ぐ。気候がころころと変わる北の大地の夏だ。 画像はノシャップ岬にて。写っているのは見知らぬライダーさんたちでした。 「どこから来たの?」 地元の方なのかな?年配のご夫婦の奥さんから訊ねられた。 『福島です』 「福島のどこですか」 『福島市内です』 まあ、こんなやりとりがあったけれど、なんの脈絡もございません。 |
漁師の店。何年か前、NHKかなにかのドキュメントで放映されていた。ライダーハウスを兼ねているというか、ついでにやっている。1泊2食付きで、2千円で泊めてもらえるそうだ。なんと夕食が”うに丼”とか。 ご主人は、冷たい雨に打たれながら野宿している若いライダーを見て、札幌に就職した自分の息子の姿が重なる。そして、放っておけなくなり、自宅に泊めてあげた。それがきっかけで、ライダーハウスを始めたそうだ。 「夕べ遅くまで酔っ払って騒いでいたのは誰?うちは住宅地なんだから、近所に迷惑をかけるような奴は出入り禁止にするよ」 映像では、ご主人が烈火の如く怒っていた。 怒られていたのもオッサンライダー2名である。この光景には思わず噴き出してしまうというか呆れてしまう。おじさんよお、ライハぐらいは、金の無い若者に譲ってやりなさいよ。というより、いい歳をしたオッサンがライハに泊まって騒いで怒られるなんてなにを考えているのだろう。 |
ここは食堂があり、以前から利用したいと思っていた。左側のお魚屋さんでオーダーし、右側の食堂で食べる仕組みだ。 つぶ貝100円。宗八カレイ300円ぐらいだったか。自分でコンロで焼いて食べるシステムが斬新で素晴らしい。 バイトなのかなあ?がっちりとした青年が、懇切丁寧に焼き方を説明してくれる。上手くお魚をひっくり返さないと皮が網にこびりついてしまうそうだ。まあ、こういう作業なら、筆者の専門分野だ。 つぶ貝が沸騰した音がしたところで、秘伝のタレを入れて味わう。実に美味い。宗八カレイもモチモチ感たっぷりで、味わい深い。これは昼間から一杯やりたくなるところだが、バイクの運転があるので却下。 |
おお、うに丼が出てまいりましたぞ。1600円。この値段、この味、本当に文句なしだった。採りたてのウニの味だ。ミョウバンとかのごまかしが一切ない。ストレートで濃厚な海の香がする。 まさにCP満点の漁師の店でした。往年のツーリングライダーの矜持として、これからもライハに泊まることはないが、食事だけなら是非立ち寄りたいと思う。 会計の時、おばさんにここからまっすぐ憧夢(日本最北端の温泉)を抜け、抜海に向かったらガソリンスタンドはあるかと訊くと、まったくないそうだ。 というわけて、いったん稚内駅前方面に戻って給油する。だって、これから向かうサロベツ原野でガス欠になったら、洒落にならないもの。愛機のスピードメーターのワイヤーが壊れて走行距離が、まったく読めないという爆弾を相変わらず抱えているしねえ。 |
オロロンラインに入る。利尻山はあいにく拝めなかったけれど、どうですこの景色。電柱もガードレールもまったくない。まっつぐな一本道だ。 ただサロベツ原野が、原野じゃなく、かなりの範囲で牧草地となっているのは気のせいか?以前は、もっと荒涼とした雰囲気があったような感じもするけど、まあ、それでも素晴らしい眺望であることには変わりはない。 また、これだけお天気に恵まれない北ツーだと、この瞬間の陽の光を本当にありがたいものだとつくづく思った。 |
天塩に入る。本日のキャンプ地は、この町の鏡沼海浜公園キャンプ場にしよう。昔は、よく利用していたサイトだ。 本日はというか、昨日からお風呂に入っていない。キャンプ場入りする前に”てしお温泉夕映”で汗を流していこう。ここの温泉は2階にあり、眺めといい、泉質といい文句なしなのだが、露天風呂に浸かっているとき・・・ ドカーン! 大きな雷鳴が響く。 嫌な予感がした。これから幕営するのに、ドカンと一発ゲリラ豪雨かい?今宵もタープを張っておかないといけないなあ。 キャンプ場に入り、受付をしていると、ここのキャンプ場でビニールの分別袋さえ購入すればゴミが捨てれるというではないか。 昔は、サイトの利用が無料だった。さらにゴミが捨てれるし、シャワーはただで使用できるし、理想郷のようなキャンプ場だった。ところが10何年か前から、利用料を徴収されるわりにゴミ捨てができなくなる。 キャンプライダーがキャンプ場でゴミを捨てれないなど旅の死活問題だ。というわけで、利用を見合わせていた時期が長かったけれど、ゴミが捨てられるなら、またお邪魔させていただこう。 そして、テントを設営している最中にまた雷鳴がとどろき、ゲリラ豪雨となった。 テント設営中という筆者の最も無防備な状態の時に意表をつく土砂降りにやられた。せっかく温泉に入ったばかりの筆者のバディを始め、シュラフとかキャンプ道具もずぶ濡れだ。士気が激しく落ちまくる。そしてタープを張り終えた頃に雨がやんだ。 |
テントさえ張れば、今宵の酒と食料の買い出しだ。ああそうだ。2年前にここ天塩でお世話になった”ゆうみん”さんには挨拶をしていこう。 というわけで郵便局近くのゆうみさんのお店に伺う。アイスコーヒーや道産のスイカをご馳走になった。とっても美味しかったです。いきなり、訪問してしまい失礼しました。 ステッカーやら瓶詰めの果実酒やらとたくさんのお土産まで頂戴してしまい本当にありがとうございました。 帰りがけ、セイコマで買い物を済ませてサイトに戻る。あたりはずいぶん暗くなっていた。今宵は天塩町のお祭らしい。 |
タープの下でビールを飲みながら缶詰とご飯の簡単な食事を済ませた。う〜ん、あまり美味しくない夕食だ。でも筆者のキャンプツーリングって、昔から結構このスタイルで粗食に耐え凌ぎながら頑張ってきた気もする。昼は、比較的贅沢に外食。朝夕は粗食。ただし、夜は酒をがぶがぶと飲む! HBCラジオからは相変わらずファイターズ戦が流れていた。野球が嫌いなわけではない。むしろ経験者だったりするのだが、ここはミュージックを聴きながらアルコホールをチビリチビリと飲みたいところだ。 ゆうみんさんから、頂戴した果実酒が実に美味い。すいすい飲んでいたら、けっこうヨッパになっちまいました。 |
ヨッパになり、うつらうつらとしていると・・・ ドカーン、ドカーンと夏の祭りの風物詩、打ち上げ花火がガンガン夜空を染めていた。日本の夏だねえ。 外に出て、暫し見とれていたけれど、なんだか肌寒いんで、早めにテントに入って寝たはずが・・・ シュラフがひゃっこいぜよ・・・ 夕方のゲリラ豪雨で、シュラフがビショビショになっていた。濡れたシュラフで寝るくらいなら本当に死んだほうがマシなくらいショックである。28年前の初北海道ツーリングのとき、油断して濡れたシュラフで寝たら、思い切り発熱してしまった。そして日程を大幅に繰り上げ、帰路に着くという残念な記憶がある。 やむなくフリースとか合羽を着て、マットの上に横になる8月15日の夜の出来事であった。 ヤタロウ(鹿児島のイワサキくん)から、ゴロウさん今どこですか的なメールが携帯にいくつか着信していたので道北だよって返信する。 いつものメンバーがニセコの宿に集結しているらしい。みんなに再会したいけど、今シーズンはまったくキャンプツーリングをしてなかったので、もう少し流れるような野営の旅を続けたいなあ。 |