北海道ツーリング2015















再会の朝



 5時前には目覚めたと思う。周辺を散策しながら、眠気を覚ました。深夜未明に雨が降ったらしい。テントはびしょびしょであった。

「おはようございます。早いんですね」
 ファミリーテントの年配のご夫妻だ。
『おはようございます。なんだかわからないけれど、早起きしてしまいました』
 ご夫妻は、噴き出しておられた。

 朝食は、クッカーで炊いたご飯と納豆だ。あんまり食欲はないが、無理矢理詰め込んだ。

 そして、だらだらとテントなどの撤収作業を開始した。もう面倒くさいなあなんてぼやきながら、フライシート、本体、ポールなどをたたんでいく。





「あのう、永久ライダーのキタノさんですよねえ。バイクを見て気づきました」
 昨夜遅くにサイトに入ったご夫婦ライダーから声をかけられた。
『ええまあ、福島のキタノですが』
 別に隠すつもりはない。正直に答えた。

「2008年に和琴湖畔キャンプ場でお会いしたクッシーです」
『ああ、思い出しました。愛知のクッシーさんご夫妻ですね』

 本当にご無沙汰しておりました。2010年には福島県双葉郡楢葉町で開催するはずのEOCに参戦予定だったのに季節外れの大雪で会が中止になってしまった。せっかく福島県内まで来ていただいたのに申しわけなかった。この不肖キタノ、ずっと胸を痛めておりましたぞ。

「今年の北海道は、ゲリラ豪雨とか凄い大変でした。チョビチョビ雨が降っていたのが、あっという間に豪雨なってしまうのですよ。旭川や中標津でもえらい目に遭いました」
 貴重な情報を頂戴しました。おふたりには、魔除けの永久ライダーステッカーを進呈し、再会を期しお別れしました。またお会いできる日を楽しみにしております。





 百人浜オートキャンプ場から旅立つ。ところがすぐに弱い雨が降り出した。クッシーさんの奥さんが、「弱い雨でもすぐに豪雨になります」という言葉が気になり、道路脇でモンベルの雨具に着替えた。

 画像は”フンベの滝”前で撮影。当サイトでは過去に幾度か紹介してきたが、改めて解説します。フンベとはアイヌ語で鯨という意味である。この先の浜に鯨が打ち上げられていたことから、この滝の名がついたそうな。





 風雨の中、疾風怒涛の如くナウマン国道を突っ走る。そして、道の駅”白糠恋問へ到達する。ここは名物の豚丼かあ、とか思ったけれど、あいにくまだあんまりお腹が空いてない。というより、まだ午前中なのだ。

 トイレ休憩のみに済ませ、スロットルをあげた。そして勢い余って釧路の市街地まで突破してしまう。おい、和商市場ぐらい立ち寄らなくてよかったんかい?

 でも筆者は馬上の後ろ姿となり、疾風怒涛の如く厚岸方面へ駆け抜けていた。 





 厚岸駅着。あわよくば名物の駅弁”かきめし弁当”を食べたかったのだが、キヨスクには置いてないし、氏家商店は閉まっていた。

 ここは、もっと早朝に来ないとかきめし弁当にありつけないのかもしれない。

 いったん、合羽を脱ぎながら、とぼとぼと出発した。





 琵琶瀬展望台PAへ到達。霧多布湿原を流れている蛇行する川が相変わらず見事だ。というより迫力満点だと思う。

 お天気がよければさらによし。






 ここの売店、以前はお婆さんと娘(といってもおばさん)さんがやっていた気がするのだが、代替わりしていたみたい。物産店「ふじ」と記されていた。

 お客は、それなりに多いし、フード類を買って、車に持ち込んでいる人も見受けられた。 






 お客のひとりが、ラーメンをオーダーしていた。ぞんがい旨そうだ。ラーメンは600円。牡蠣ラーメンが千円、1日限定10食で先着順だってさあ・・・

 ぼくは、せっかくなんで千円の牡蠣ラーメンにしてみた。

 600円で普通のラーメン、大きな牡蠣が3つ入って千円。これは牡蠣ラーメンが断然オトクだと思う。






 ゼファーは疾風怒涛の如く、落石を突破する。根室の市街地か花咲港近くの専門店で、花咲ガニを食していきたいのは、山々川々谷々だが、あいにく時間が押している。市街地には入らず、風蓮湖方面へ機首を定めた。

 雨に加え、風も出てきた。というより、かなり寒い。これは夏ではない。もはや晩秋のツーリングと化してきた。野付温泉浜の湯で体を温めようかと思ったのだが、周囲が暗くなってきた。

 久々に尾岱沼ふれあいキャンプ場に入った。高校生のような少年に受付を済ませ、サイト内へ入る。盆中だけあって、本当に混雑していたが、PAの奥の片隅に奇跡的に空いていたエリアを発見!

 ここをキャンプ地とする・・・

 もう時間的に遅い。早くテントを設営しないといけない。慌ててエアライズ2を組み立てていた。

「ここにテント張ってもいいの?」
 ハーレーに乗った太った老人が、いきなり上から目線で話かけてきた。
『いいと思います』
 かなり筆者はムッとしたけど、まあ普通に答えた。

 確かに年長者かもしれないが、赤の他人に物を訊ねる態度ではないべさあ。

「受付とかあるの?」

 ノシャップ!

 間違えた・・・

 シャラップ!

「やかましいわ、ハーレージジイ」
 と思わず言いそうになった。

 けんど、なんとか堪えて、入口の左側の建物ですと答えると、ああそうといいながら戻って行った。これだけの規模と施設がいきとどいたキャンプ場に管理棟がないわけねえじゃん。どんだけ、キャンプ素人なんだ?

 その後ハーレー老人は、ここには現れなかったので、違うエリアで幕営したんだろう。ここに引き返して来なくて本当に胸が、スーッとした。まあ、もう2度と会うこともあるまい。






 テント設営後、管理棟で洗濯する。ついでに自分のバディもシャワーを浴びてすっきりとした。昔、ここに日中、洗濯だけをするために立ち寄ったことを思い出した。あれはいつのことだったか?過去のツーレポのどこかに記載されていると思う。

 夕食は、餃子を焼いたり、いなり寿司を食べたり。ビールをがんがん飲んで、焼酎もがぶがぶ飲んで、それなりにヨッパになった。

 そして、またも雨が降ってきたので、慌ててテントに避難した8月13日の夜のことだった。






 テント内では、残った焼酎をちびりちびりと飲みながら、本日の日記をつけた。このツーリングでは、ぞんがいマメに旅の記録を書いている。これは久々にいいツーレポが期待できるかもしれない。

 うっそー・・・



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