翌朝は、まあ、普通に目覚め、朝食を食べた。
いよいよ、本日からキャンプツーリングライダーへと戻る。なんかわくわくするなあ。
村長は、沖縄からいらしたという若き女性の方のガイドで、日本海側へと出かけていく。
「ゴロウさん、また冬にでも来てね」
『了解しました。どうも長い間お世話になりました』
村長に別れを告げ、大部屋に戻った。バイクが戻ったら郵便局でお金をおろして、まずは宿代の精算をし、荷物をパッキングしたり、いろいろ忙しくなるのう。
ところが、お昼を過ぎてもバイク屋からなんの連絡も来ない。
今日は、宿の娘さんであるスミちゃんが札幌からニセコに帰省する日だ。お母さんのユミさんも楽しみにしておられるはずである。筆者は早くふたりにしてあげたい。
とうとう筆者は、某駅前のバイク屋へ携帯からTELした。
『あの、ぼくのゼファーイレブンのあがりはまだでございましょうか?』
「すいません、お客さん。エンジンの発火装置のブースターを取り寄せたんですだが、うんともすんといいません。朝からなにも食べずに粘っているのだが、どうにもならん。もう少し待って、というより、最悪の事態を考えた方がいいかも知れません」
ガ〜ン ガ〜ン ガ〜ン
北のサムライの士気は、一気に落ちたでござる。
もう、ゼファーイレブンの廃車の手続きをする段階に入っているやも知れない。
「ゴロウさん、スミちゃんが帰って来たから、ちょっとミルク工房まで行って来ますね」
『はあ、しっかり留守番をしておりますので、ごゆっくり』
ユミさん母娘にお応えした。
けど、我が愛機ゼファーイレブンよ、永遠なれ状態!
これから、筆者はどう行動したらよいのだろう?
本当に”翼の折れたエンジェル”状態に陥ってしまう・・・
某駅前のバイク屋から、ゼファーイレブンのほとんど死の宣告を受けてしまった。
選択その1 現地でゼファーを廃車にして単身仙台までフェリーで帰る。
選択その2 ゼファーを陸送して、地元で処分する。
うっ、どっちにしても絶望的な選択をするしかないようだ。
まだ、この北海道ツーリングでは、キャンプすらしていないのに・・・
「ゴロウさん、どうしたの?キャンプ道具が入口にあるから、驚いたよ」
夕刻にガイドから帰宅した村長もびっくりドンキーであり、直後に噴き出した。
すっかり、意気消沈した筆者であったが、夕食の時間となった。
ご飯を食べている最中に携帯が鳴る。
「お客さん、ゼファーのエンジンがかかりました」
『マジっすか?』
バイク屋のおっさんの言葉に筆者は狂喜する。
「メーカーにも何度も問い合わせたら、イグニッションキー(エンジンの点火スイッチ)に盗難防止装置(直結防止の米粒大の装置)が誤作動していました。これは流石に気づけませんでした。明日の早朝には、ニセコにお迎えにあがりますので、お待ちくださいね」
『ありがとうございます』
よかった。残り4泊の予定が、3泊に減ったけど、高速道路を使用すれば道東当方面のキャンツーは可能となるだろう。
というわけで、ファミリーでいらしているおとうさんから、夜のミーティングで芋焼酎をがんがんご馳走になり、したたかにヨッパになった。そして宴が12時過ぎまで盛り上がったが、あまりに遅いのでユミさんに叱られて強制終了となりました。
ともあれ、ゼファーが廃車にならなくてよかった。
しかし、その修理代が(TT)