北海道ツーリング2013








知内町ファミリースポーツ広場キャンプ場PAにて







 とりあえず海岸沿いの豊浦町に出たい。いったん山沿いに戻り、ショートカットでR37の海沿いへぶつかった。天気は曇天だが、相変わらず気温が高く蒸し暑い。北の大地の夏は、たとえ気温が高くても湿度が低く過ごし易いのだが、なにかが狂っているような気がした。

 ガスがかった豊浦海浜公園、森林公園を抜け、礼文華も過ぎた。このあたりは昨年のアンビのツアーで訪れた海岸だ。じっくりと散策すると思いがけない発見があるポイントである。

 やがて長万部に到達。一応駅前の”かにめし弁当屋”を覗いたが時間が早いせいか開いてなかった。というより本当に営業しているのだろうか?

 国縫あたりで、海岸ルートのR5から内陸部方面のR230へ右折した。なんだか急にえらい山の中に入り込んでしまった気がする。

 目指すは”奥美利河温泉山の家”だ。

 美利河ダムあたりで右折し、さらに奥地に。最初は牧場とかあったが、次第に人跡未踏の雰囲気が漂い出す。

 細い道だけで、周囲から人の気配が消えていた。この先に本当に温泉宿なんぞあるんだろうか?かなり不安な気分だった。 
   愛機と共にどんどん細くなっていく道を突き進んでいくと、ようやくログハウスが見えてきた。あれが奥美利河温泉山の家か。

 温泉施設は手前に湯小屋があり、中からオヤジの騒ぐ声がする。

 とりあえず山の家のおにいさんに料金300円を支払った。 
 なんでも電話回線もつながらず、携帯電話も圏外だそうな。こりゃ本当に秘湯中の秘湯だ。

 脱衣所で着替えていると、騒いでいたオジサンたちがあがってきた。どうやら虻に襲われていたらしい。

 筆者はさっさとまっぱになり内湯に浸かる。
 
   単純温泉源泉37℃とかなり温いが、暫し内湯を堪能し、混浴の露天風呂に移る。

 人は誰もおらず貸切状態だった。本当に広くて心地よい露天風呂である。

 時折、虻野郎がやってきて、嫌がらせをするが山奥の露天風呂ってこんなもんだ。
 男性用の内湯から露天に出たあたりに源泉があった。近くにいくといくらか温かい。加熱とか一切手を加えない、まさに源泉かけ流しというやつだ。この温泉の歴史は古く、金鉱を探し求めていた人が1910年に偶然発見したそうだ。存分に温泉を楽しみ、山の家PAより愛機のスロットルをあげる。  
 再びR5に戻り、函館方面に向け南下していく。

 国縫あたりのドライブインで昼食を摂る。ここは2年ぐらい前にも立ち寄り、ラーメン・カツ丼セットのボリュームに仰天した店だ。今回は警戒してチャーハンのみをオーダーしたのだが、かなりのボリュームにお腹がパンパンになる。

 またも強烈な陽射しの中、南下しているとK’sデンキを発見。実はデジカメのバッテリー容量の終了サインが出ていた。カーナビの方はホルダーに差し込めば自動充電できる。つまりもうひとつの充電装置シガーソケットは使わずに残っていた。デジカメバッテリーの充電装置は家庭用の電源なんで、シガーソケットから家庭用電源に変換できる装置があればよいわけだ。

 暫し店内を物色すると「あったどー」、ちょっとでかくて重いうえに代金は3千円近い。でもこれさえあれば充電のための宿泊を免れ、走行中の充電が可能なアイテムとなる。躊躇わず購入した。

 その後、道の駅「YOU・遊・もり」へトイレ休憩に立ち寄った。ゼファーのエンジンを切った刹那、筆者の横に過積載のハーレーが停まる。こんなに広いパーキングなのにわざわざ筆者のすぐ横に密着して停めなくてもいいのではないか?

 真っ黒に日焼けした顔・腕、ドカヘル、サングラス、肩から切ったジージャン、白髭もまばらに生えていて、かなり不気味だ。マシンから降りると意味不明なセリフをぶつぶつ言いながらトイレ方面に向かっていった。声をかけられなくて本当によかったと胸を撫で下ろす。

 濃い。筆者は淡白というか正統派のライダーなもので、あういうアブラギッシュなタイプがとっても苦手だ←えっ、自分とあんまり変わらないって?勘弁してくなんしょ!

 R5を南下していく。大沼付近を通過。このあたりの東大沼キャンプ場をかねてから利用したいと思っているのだが、いつも時間的に早すぎる。先に進むことにした。尚、バッテリー充電中につき、このあたりの画像をまったく撮影できなかった。

 やがて函館新道〜函館江差自動車道へ入る。基本的に無料の高速道なのだが、空白地帯の海岸道路を走りたいので、R22へ降りた。いわゆる福山国道というやつだ。のんびりと走るうちに木古内町へ到達する。このあたりはぼくにとって、空白エリアだが道南の普通の海岸線のルートだ。でもそれがよかったりする。

 知内町に入った。そろそろキャンプ場を見つけたいが、うまく見つからなかった。逆に知内川付近の農道で道に迷う始末。そんなこんなしているうちに道の駅”しりうち”に辿りつく。

 町内地図の看板を見ていると、パトカーがやってきて年配の警官が降りてきた。やばい、また職質かい?

「どうしたの?」
『実はキャンプ場を探しています』
「この先を左に曲がると農村公園というキャンプ場があるよ。無料だし静かだよ」
『わかりました。いってみます。ありがとうございます』

 筆者と愛機ゼファーは粛々と農村公園キャンプ場へ進んでいった。

 ここかよ。いや悪くはないが本当に山の中の谷間のキャンプ場だ。そして誰もいない。人里離れた山の中で筆者独りで幕営なんて勘弁だ。実は羆の被害は道南が一番多いのである。

 途方に暮れているとさっきのオジサン警官が運転するパトカーがやってきた。

「やっぱり、ここじゃ寂しいでしょう。街の中のキャンプ場に案内するから後ろからついて来てください」
 なんて親切なお巡りさんなのだろう。筆者はパトカーに連行されいく。くれぐれも悪さをしてしょっぴかれたわけではない。念のため。

 案内してもらったのは、街の中、知内川河川敷にある”知内町ファミリースポーツ広場キャンプ場”だ。

「ここはコンビニも近いから便利ですよ。ゆっくり休んでいってね」
『ありがとうございました』
 ぼくは深々と頭を下げ、謝意を表明する。まさに警官の鏡だ。
 よく手入れされた芝の美しいサイトだ。これで無料なのが素晴らしい。道南もとてもいいキャンプ場があるではないか。

 しかし、やはりまったく人気がない。誰もいないキャンプ場って心理的に気が滅入るのだ。
 
   でもまあ、気を取り直してビールを飲みながらテントを設営した。

 鯖缶をおかずにご飯を食べようと、クッカーに火を入れると、ガス切れ。

 なんてこった。缶詰だけをつまみながら焼酎のウーロン割を飲んで夕食とした。

 周囲が暗くなると昨夜と同様に小型の旅テーブルをテント内に持ち込み簡単な旅の記録をつけた。

 酒をちびちびと飲みながら、プロ野球日ハム対楽天だったかな?ラジオを聴きながら意識が消えていく。

 今宵は多分、奇跡的に雨にやられなかった稀有な夜だった気がする。 




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