北海道ツーリング2012



後志




有明の滝にて



17




 今朝は結構寝坊かな。とはいえ7時には目覚めた。旅が長くなり、ぼくのカヨワイ体も相当ばててきているみたい。

 以前のように2週間連続キャンプツーリングをする気力も体力もすっかり消えた。ただただ、ニセコに帰って来たという安堵感と布団から出たくない心地よさがなんともいえぬのう。

 7時半からの朝食をTVを見ながら美味しくいただいていると、ロケ現場がなんとニセコ駅近くからだった。

 さらに驚いたのは、南相馬から避難してきた女性が映っている。彼女(旧姓Sさん)はぼくの知人、いや厳密にはキタノ塾の塾生だった。結婚されて、子供さんも小学生ぐらいになっている。ご主人が宮城で仕事をしているので本日をもって、ニセコを離れ旦那さんのところへいくそうだ。

 ニセコの皆様にもずいぶん親しくしていただいたらしく、涙のお別れシーンだった。

 原発20キロエリア内で、初めて解除になった南相馬市O区なのだが、水も電気も通ってない、つまりライフラインが復旧してない状況だ。そんなところへ簡単に戻れるはずもないだろう。

 とにかくS、生きていてくれたか。よかったなあ。ぼくは心から嬉しかった。家が海岸の方だったのでずいぶん心配していた。それに小さな子供を抱えて各地を転々と避難を続けた苦労は筆舌にし難いと思われる。そして、ぼくは心底温かいニセコの皆様へ深謝するばかりだ。

 当時(10年以上前)の自分は、現在のかなり丸くなったぼくと違い本当に短気で、彼女たちのことも些細なことで叱ったり怒鳴ってばかりいた記憶がある。まさに鬼軍曹さながらだった。

 ただ、ある程度の年齢になってからはよく地元の居酒屋などで再会し、一緒に痛飲していた飲み仲間でもあった。あの時、一緒におられた青年が多分今の旦那だと思うが?

 そんな奇跡の映像を食い入るように眺めながら、朝食を終えた。村長さん夫妻も、ずいぶん驚かれていたようだ。

 S、またなにもかも元通りになったら南相馬で飲もうぜ。それまで、どうか達者でな!

「ゴロウさん、今日はどうする?」
 村長さんから訊かれた。
『流石にツーリングで疲れたので、少し休みたいです』
「その方がいいかも知れないね。出かけるのは午後からにしよう」
 村長さんもHPなどの更新作業が急がしそうだ。

 洗濯や荷物の整理などをしているうちにお昼近くになったので、出発することになった。どうやら本日やってくるお客さんのお迎えに千歳に向かうようだ。
   R276で支笏湖方面へ向かう。お天気はまあまあ晴れだった。

 途中、喜茂別の”きのこ王国”で昼食とする。ぼくはキノコのてんぷらザル蕎麦にしたが、結構なボリュームだし、なかなか美味しい。しかし、村長さんがオーダーしたかつ丼の量の凄まじさよ。
 美しい青の支笏湖を過ぎ、道道16に入る。ずいぶん前に訪れたことにのある”名水ふれあい公園”が眼に入った。ここの湧水を飲んだのは、もう十年以上前か。時の過ぎゆくのがあまりにも早い。

 サーモンパーク近くのホムセンへ立ち寄る。この頃、アンビシャスの建物の一角にスズメバチの巣ができていたので、駆除用のアイテムを入手するとのこと。その後、千歳市内の百均の店を回りつつ、新千歳空港へ到着。

 千歳空港。かなり久々だ。あいかわらずドでかいショッピングモールである。村長さんと待ち合わせ時間を決め、エリア内を散策する。横浜を出てから四半世紀、すっかり田舎の人になった自分がうかつに遠くへいくと迷い人になる可能性が高い。そんなことを考えながら同じところをぐるぐると回った。そして諦めて書店で立ち読みを始める←イクジナシ

『初めまして』

 やがて約束の時間となり、本日飛行機でいらしたお二人(女性)と合流する。千葉のイトウさんと九州のカワベさんだ。イトウさんは登山中足を骨折されても自力で下山したという豪の者である。カワベさんは、なんとも癒される素敵な笑顔をされるレディだ。

 まず向かったのは先日も訪れた”滝野すずらん公園”だ。 
 10日も過ぎると、またずいぶん植生が変わるものだと感心してしまう。

 レンゲショウマというお花が満開の時期を迎えていて、大変綺麗だった。

 ついでに黒テンが走っているのも発見。黒猫かと思った。
 
   続いて”有明の滝”まで歩く。小雨がパラパラと降っている中、意外と歩いた。

 すると・・・

 おお、見事な滝よ。滝に打たれながら、修行するのにピッタンコじゃないの。

 と、さっそく行動に移す単純な筆者でした。
 名瀑を堪能し、帰路に着く。

 しかし、村長さんとカワベさんって本当に仲がよい。

 村長さんが、なにか仕掛けるとカワベさんの反応というかアクションが迅速で、見ていてとても面白いのだ。
 
   夕食は札幌市内の”ラ・フランス亭”で摂る。先日はランチを堪能したのだが、今宵はディナーのコースだ。あれ以来、本当にフランス料理にハマったので再訪できて嬉しい。

 まずは海の幸の前菜。

 おっ、おいしいねえええ〜(田中邦衛風)
 確かニセコさんのトウキビを使用したコーンスープだ。味に絶妙の旨みがあり、あっという間に平らげてしまう。  
   魚の方のメイン、国後産のソイ。身がとてもしっかりしていて食べやすい。ソースを絡めて食べるとさらによし。

 ぼくはどちらかというと魚料理より、お肉の方が好きなのだが、これはイケルと思った。
 仔羊のロースト。お肉料理のメインだ。この繊細な美味しさはなんだろう。ほっぺが落ちるような絶妙のお味であった。

 やっぱりソースが違う。いや、こだわり抜いた洗練された香が漂っていた。
 
   メイン料理の後、いろいろな種類のチーズが出てきた。この中から、好きなチーズを2種類チョイスしてよいとのこと。

 もう、どのチーズをセレクトしたかは流石に記憶がない。ただ、生まれて初めて本物のチーズを味わった。
 デザートは、桃のタルトであった。これまた絶品の美味しさでである。

 素材の桃の美味さが、充分に活きていた。あっという間に完食する。
 
 いやあ、お腹いっぱいです。こんなに美味しいフランス料理をこの夏に2度も味わえるなどなんとラッキーなことか。ご馳走さまでした。

 そして今宵も”北の国から”ネタが炸裂し、爆笑が湧き上がる。マミさん(ママさん)は前回ランチで訪れたぼくのことを覚えていてくれたし、彼女自身も大ウケされていた。

 楽しいディナーを終え、ニセコへと戻る。ワインでほろ酔い加減のぼくは車中で完全に爆睡しておりました。

 なんとも申しわけござらん。

 ところで、この夏の北海道滞在も残すところあと一夜となった。

 就寝前、うっ、ドラマ”JIN”の終盤の南方仁のように突然頭痛が襲ってきた。

「帰るぜよ、あん世界へ?」

 嫌だ。北海道から帰りたくない!

 動画:ニセコアンビシャス制作




HOME  TOP  18