北海道ツーリング2012



後志



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 この日は、冒頭に持ってくるほど目玉になる画像はございませんでした。あしからず。まあ、旅が長くなるとこういう日があるということでご容赦願いたい。

 というわけで昨夜は21時に寝たので、翌朝は5時に目覚める。昨日、管理人のオッサンから厚岸の駅前にいけばコインランドリーがあると聞いた。ずいぶん、洗濯物が溜まったので名物牡蠣弁当でも食べながら処理しようと思うなり。

 テントを畳み、わっせわっせとパッキングを済ませた。それでもサイト内はまだ静まりかえっている。コーヒーを沸かしてちびちびと飲み終えた。そして出発。海岸線の観光ポイントをまわるのがセオリーなのだが、さすがにこのルートは飽きていた。

 R44、つまり太平洋シーサイドラインではなく、やや内陸部の根釧国道を南下していく。早朝なので、交通量のほとんどない糸魚沢付近を通過していく。圧倒的な緑の原野に花咲線の線路が連なる。もう8年も経つか、真冬にこのあたりを汽車で旅したのは。”光陰矢の如し”月日が過ぎるのが早すぎる。

 R44から、少し外れて厚岸駅近くのコインランドリーへ到着した。大型の洗濯専用らしく、やたら料金が高かった。洗濯のみで700円もする。でも仕方がないので、溜まった衣類をかたっぱしから洗濯した。

 待ち時間、駅前に行ってみた。できれば久しぶりに名物の牡蠣弁当を食べようともくろんでいたのだが、キヨスクも駅近くの弁当屋も時間的に早すぎてまだ開店していない。残念だなあと思いながら、コインランドリーに引き返していると、もの凄い勢いで軽自動車が左折してきた。危うくぼくは轢かれそうになる。

 道内の学校では2学期が始まっていて、息子を駅まで送ってきた母親の運転であった。ぼくはかなりムッときたのが、その後の母親の言動にも驚愕する。

 息子はぎりぎり汽車に乗り遅れて戻ってきた。

「てめえ、なにやってんだこの野郎、ふざけんなよ馬鹿、早く乗れ」
 絶叫し、ホイルスピンしながら発進していった。

 息子を学校まで送ることにしたらしいけど、なんと凶暴で下品なオカンなのだろう。 
   ランドリーに戻り、漫画本などを読みながら時間を潰していると、旅の老夫妻とか地元のオバサンとかが結構洗濯しにやってきた。

 乾燥も済ませ、衣類をバックにしまって再び出発する。
 延々とひた走ると、やがて釧路を過ぎ白糠も通過した。この頃になると、気温がどんどん上昇してきて猛暑日となる。

 日影が恋しくなり、JR直別駅(無人駅)の日影で暫し休憩する。

 チェーンソーで除草作業をしていたオジサンから挨拶をしていただく。
 
   ナウマン国道を南下していく。久々に晩成温泉に立ち寄ることにした。

 朝食も摂ってないので、ここでお昼ご飯を食べる。しかし、オーダーしたカレーライスの味は微妙だ。

 晩成温泉は黒褐色の湯というイメージが強かったのだが、色が薄まった気がした。尚、キャンプ場は再開している。
 えりも岬はパスし、天馬街道に入る。このルートも本当に久々だ。トンネルが多いのだが、途中の翠明橋公園Pでは美味しい湧水がある。こんな酷暑の日に冷たい湧水をガブガブと飲めてラッキーだった。

 ぼくのバイクの近くに停めた道内のご夫婦ライダーから北海道ツーリング何日目ですかと聞かれたので、上陸以来12日目ですと答えたら驚愕されていた。
 
 天馬街道を越えて浦川入りした。すると天気があまりよくない。ガスっている状態だ。構わず海岸沿いのR235をどんどん南下していった。

 三石海浜公園の売店で、アイスクリームを舐めながら休憩する。そろそろ時間的にかなり押してきた。あたりが暗くなりかかっている。というより今にも泣き出しそうな曇天だ。

 早く野営地を決めないとと思いながらスロットルをあげる。

 静内へ到達する頃には18時近くになっていた。今宵の宿泊はどうしよう。それよりも腹が減ってきた。
   とりあえず眼に着いた札幌味噌ラーメンのチェーン店で夕食をとる。オーダーした辛味噌ラーメンの辛いのなんのって。

 でもなかなか美味しかった。セットの半チャーハンも好みの味だ。

 腹いっぱいで店を出ると、とうとう雨が降り出していた。
 慌ててカッパを着込んでアクセルをあげた。ここから一番近いキャンプ場は、お馴染みの判官館森林公園キャンプ場がよい。

 キャンプ場に辿りついた頃には、ほとんど土砂降りになっていた。こんな晩こそ宿泊にすべきだったのだろうが、今更遅すぎた。

 カッパを着たままテントの設営作業を終える。
 
 いやもう、雨でぐしゃぐしゃになった。テントに入りタオルで室内を拭きまくった。ここのキャンプ場を利用するときって雨にあたる確率が高いような気がした。

 それよりも蚊を筆頭とする虫の量の多さには辟易とした。あいにく殺虫剤を切らしていたもので、えらい目に遭う。それでも、ある一定の時間帯になると虫の行動が収まるようなので非常に助かった。

 今宵もラジオでミュージックを聴きながら一杯やろうと思ったら、野球ばっかし。ぼくも中学までは野球少年だったから嫌いじゃないけど、どこもかしこも野球放送だとがっかりする。

 諦めてラジオを消し、「あなたへ」という小説を熟読した。久々に高倉健主演の映画になるそうだ。というより間もなく公開される。

 そして、ぼくはいつの間にか爆睡していた。




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