北海道ツーリング2012



後志




エサヌカ線にて



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 持病の薬10日分を紛失したのは痛かった。でも、くよくよ悩んでいても致し方あるまい。とにかく前に進む、それしか活路はない。

 たとえ力尽きても北の大地なら本望ではないか。

 と、半ばヤケになりながら、前向きな気持ちでスロットルをあげた。
   途中、宗谷国道から逸れて、海岸線を走るエサヌカ線という道に入ったら、これが凄い大陸的な道路で驚いた。

 本当になにもない一直線だった。今までこれほどの道を知らなかった自分はなんだったのだろう?
 エサヌカ原生野園のあたりもまっすぐな緑の植物の中を突っ走った。対向車すらない。

 北海道ツーリングの良さは、毎回新たなる発見があることだ。その秘訣は国道から外れて走ることだと思われる。
 
 なんて、悦に浸りながら雄武町に入る頃、首筋に激痛が走る。頸動脈あたりに蜂がとまり、思い切り刺された。

 いくらなんでも頸動脈を刺すなんて・・・

 死んでまうだろうがあ!

 とりあえずサロメを塗って応急措置をしたが、もの凄く腫れてきた。

 今宵は久々に呼人あたりでキャンプにしようかと思ったけど、すっかり戦意を喪失しましたわ。

 網走駅前のビジホに泊まることにした。
   そして、かねて是非一度いってみたいと思っていた食事処(夜は居酒屋)いしざわへ飲みに出た。

 実は蜂に刺されたのを口実に網走で飲みに繰り出したかった・・・

 決してそのようなことはございません。せっかくだから、有名な”いしざわ”を訪ねただけでありんす。
 イカ納豆が、とても美味しかった。福島県民は日本で一番納豆が好きなんだぜよ。

 このまま網走に連泊して明日も、この店に来たいぐらいだ。

 そうは、イカナットー!
 
   この店でね、食べたかったのはこれなんです。メンメの煮込みだ。以前はリーズナブルな値段で食べれたのだが、近年はすっかり高級魚になってしまった。

 でも、オホーツクで食べるメンメって本当に脂が乗っていて美味しい。
 先代のマスターは第一線から退いているらしいが、うまく接客をこなしておられた。

「福島から来たのかい。本当に大変な目に遭ったねえ〜」

「まったく、原発問題ってひどいもんだ」
 飄々とした人柄であった。
 
   そんなに遅い時間じゃなかったけど、かなりヨッパだったのでタクシーでホテルに戻り、あっという間に爆睡してしまいました。

 サービスの朝食バイキングをがんがん食べて、知床方面に向け出発。いいペースで走っていると意外に早くオシンコシンの滝まで到達。網走から知床って、やっぱり近いねえ。
 知床峠も無事通過し、過去にも訪れたことのある羅臼の“知床倶楽部”に到着する。ここで、昼食にするかと思いきや、登山用のメインザックを入れた袋がない。無念なり、ここからメインザック捜索の旅に引き返すこととなる。なにやってんだよ筆者は。  
   いつまで経ってもメインザック入りの袋が見つからぬのう。延々と戻り、斜里の市街地まで来て、ようやく道端で発見回収する。まあ、ヘタに警察に届けられて面倒になるより自ら見つけることができてよかった。過去にいろいろあり、キャンプ場に延泊せざるを得ない状況になったもので。
 斜里の中心部から、羅臼の知床倶楽部までまた引き返した。トータルすると凄い距離になってしまった。また400キロ越えは確実だろう。知床峠2往復なんかも絶対にやりたくなかっただけど、結果的に達成してしまう。2012年夏の出来事であった。  
 10年ぶりぐらいで、知床倶楽部で簡単な食事を摂り、コーヒーを飲んだ。

 旅の間は、なるべくネット環境から離れるようにしているのだが、PCがあったので自分のHPやブログなどを確認する。特に異状はない。お天気も当分は大丈夫のようだ。

 さて、今夜の宿なのだが漁師さん(現在は引退された?)が経営されている一部ではかなり有名な民宿を予約していた。

 とにかく凄い量。

 オイボレ?ロートル?薬切れ?な自分で大丈夫なんだろうか?

 あと10年若ければ完食できたやも知れない?

 その真相は次章にて、じっくりと描きたいと思います。




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