北海道ツーリング2011



きたの細道




洞爺湖にて







 早朝に目覚め、テントやシュラフ・エアマットなどの干し作業をすぐに始めるが、北の大地らしく朝露が多い。

 飯を炊いて、昨夜、コンビニで買っておいた納豆2パックをぶっかけて朝食を済ます。久々の納豆ご飯は実に美味しかった。

 洗顔など、身だしなみを整えてパッキング作業も終わらせた。天気はガスが多く湿気が多い。

 チェーンオイルを丹念に吹きつけ、暖機も充分してからスロットルをあげ、キャンプ場を後にした。ここのキャンプ場は本当に穴場であり、お勧めだ。

 海岸線の恵山国道はシェルターが多い。天気が曇りのせいか海の色が灰色に見える。海が荒れ気味なので、水無海浜温泉はどうだろう?満潮時には水没するお気に入りの温泉なのだが今回はパスしよう。

 でも昨日はお風呂に入ってないので、鹿部の間欠泉近くで温泉に入っていくことにした。
   間欠泉を過ぎると”亀乃湯”の駐車場が見えてきたのでマシンを停め、道路を挟んで向かいの温泉銭湯へ向かった。
『すいませーん、お風呂入らせてください』
「はい、420円ね」
 番台のオバサンに支払い、誰もいない風呂をのぞくと石鹸、シャンプーの類がないので愛機に戻ることにした。
『ちょっと、石鹸とってきます』
「あのバイクなんだけどね、こっちに持ってきた方がどちらかというといいよ」
『そうなんですか』
「ああ、どちらかといえばだけどね。この頃はさ、なにがあるかわからないからねえ」
 まあ、面倒だが温泉の入口脇の道路の隅に寄せて停めた。
「そこじゃなくて、もっと中に入れなよ。なにがあるかわからないからね」
『このバイクは重いんだ。このあたりで勘弁してください』
 オバサンは、男子の脱衣場までついてきて、服を脱ぎ始めている最中の筆者にまだブツブツいっていた。

「もう、なにが遭っても責任は取りませんからね・・・」
 え?なによこの人?なんでマッパーの筆者に逆ギレてるの?
『客が眼の前で服を脱いでいるんだ。もう、やめにしないか』
 やや低い声でたしなめるように呟くと、オバサンは煙のごとく消えてしまった。

 温泉自体は、とてもレトロでいい湯だった。やっぱり昭和の香りが漂っている。じっくりと湯に浸かり、体を流し、さっぱりする。なお、帰りには番台にオバサンの姿はなかった。もしかしたら怯えてしまった?しかし、このあたりがそんなに治安が悪い土地柄とは思えんのだが。

 宮浜あたりのホムセンで長袖のシャツを買った。海岸線はガスが多く、メッシュのライダージャケットと半袖シャツだけでは心もとないと思ったからだ。

 このあたりから道道43へ左折し、大沼方面へと向かった。おそらく天候のよいであろう、内陸部で体を温めて長万部方面へ出よう。

 狙いは的中で、大沼付近は快晴だった。新日本三景といわれる大沼公園の景色は秀逸に尽きる。大沼を右手に眺めながらR5に戻り、駒ヶ岳をのぞんでいるうちに森町の海岸線へ戻った。

 八雲〜長万部を走っている頃だった。気温は高い。お盆も近づいているせいか交通量が多く渋滞が始まった。

 前方を走っている軽自動車が、ウィンカーと同時に急ハンドルで左折してきやがった。典型的な左折巻き込まれ事故か。これは間に合わないかも知れん。そう思いながらもフルブレーキングをかけた。異様に強力なゼファーのフロントブレーキの威力だろう。ややロックするも数センチ手前でピタリとストップした。

『こっ、この大馬鹿者め!』
 ドライバーを怒鳴りつけると、
「すいませえーん」
 女の子が泣きそうな顔で謝っていた。
『気をつけるんだよう』
 なんで若い女だと甘いんだと自分でも呆れてしまいました。

 実は8年前だったか?マジェスティで通勤中にも若いOLの運転する乗用車の強引なコンビニ左折に巻き込まれたことがあった。その時は数メートルほどふっ飛ばされたが前回り受け身を鮮やかに決めて、ほぼ無傷。マジェスティはボディを新品とすどっかえになり、前より綺麗になった。もちろん先方の保険全額負担だったけど。それでも巻き込まれたくはない。

 昼食は長万部で”かにめし”かなと漠然と考えていたが、ちょっと餓死しそうになったので、国縫あたりのドライブインに入る。

 「かつ丼セット」なるものをオーダーしたら、かつ丼と小さめのラーメンじゃなくて、大盛かつ丼+普通のラーメンというとてつもないボリュームだった。なんとか完食したが、こんなに食べたの久しぶりだ。もう3日ぐらい食べなくても大丈夫なくらい超満腹となった。

 噴火湾に沿う道を延々と走り、豊浦から洞爺湖方面へ向かう。少し早いが、いつものグリーンステイ洞爺湖でテントを立ててから、いろいろ行動しよう。洞爺湖温泉街付近のPにはすぐに到着し、冒頭の洞爺湖画像を撮影した。真夏の観光シーズンなのに相変わらず人が少ない。
   グリーンステイに到着。利用料700円。ゴミ処分料100円。シャワーやランドリー施設あり。このキャンプ場もレベルが高いとかねてより思っていた。いざとなったらライダーサイトも専用であるので、お盆の時期でもキャンプできないことはないだろう。

 というわけで、H−2の区画へさっさとテントを設営した。それにしても閑散としている。
 まずは風呂だ。キャンプ場の近くの洞爺湖月浦温泉ポロモイへ向かう。入浴料金600円也。とにかく綺麗な温泉施設であった。内湯で汗を流した後、露天風呂に出ると洞爺湖が一望できる。これは素晴らしい。ふにゃふにゃになるまで温泉を楽しみ、ポロモイを出た。

 この後、温泉街に向かうことにした。土産物屋で洞爺湖名物”わかさいも”などを自宅に発送する。
 
   セイコマで久々に珈琲酎とジンギスカンを仕入れた。筆者の旅の基本はこれだ。

 ジンギスカンをガンガン食べながら、珈琲酎をガブガブと飲んだ。これ以上のことはなにも望まん。至福の瞬間であった。

 珈琲酎を飲み過ぎて、気がついたら幕末の江戸にタイムスリップしていたとさ(嘘)



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