北海道ツーリング2011



きたの細道




早朝の竜飛崎にて







 ほどほどの時間に起き、米を炊き、その上にインスタント牛丼をぶっかけて朝食を済ませた。歯磨きや洗顔も旅の中とはいえ欠かすことない。そう、ジェントルマンは身だしなみも大切なのだ?

 ひとりで寂しかったけど、ここのキャンプ場もロケーションもよく設備も整っている。シャワーまで完備だし。ただ、ツーリングライダーにゴミ持ち帰りは痛い。ぶつぶつ言いながら、パッキングを済ませ、ネットにゴミ袋を絡ませて、竜飛崎に向かった。本当に本日も天気がいい。猛暑日になるのは確実だ。

 早朝の津軽海峡を視覚的に楽しんでいると売店の方に駐車していたご年配のライダーがこっちに向かってやってくる。なんで寄ってくるのだろう?

「どこから来た?今日は、どこまで行くの?」

 好奇心の固まりか?やっぱり老害は、”初めまして”も”おはようございます”も言えずに一方的に絡んでくる。

『はい、大間あたりへ向かおうと考えていたところです』
「大間?それは遠いねえ」
『ええ、でもできる限り近づこうと思います。失礼します』
 と、言い残して素早くスロットルをあげた。

 正直、こういう手合いとは関わりたくない。

 津軽半島も陸奥湾側だと道路も穏やかで走り易かった。延々と漁村の風景を駆け続けた。そして、2時間も過ぎると青森市内に入ってしまう。

 あれっ?大間に向かうって言ってた人がなんで青森港のFT(フェリーターミナル)へバイクを停めてるの?なぜ受付に向かっているの?

『すいませーん。函館まで大人1人と大型バイク1台乗れますか』
「はい、12時15分発の高速船なら大丈夫ですよ」
 受付のおねえさんがにこにこしながら応対してくれる。
『ついでに復路のチケットもください。19日函館からで』
「かしこまりました。ご用意いたします」
 これで、北海道ツーリングの準備は整った。

 北海道にいく気はなかったのだが、とんとん運拍子にチケットがとれるとなると話は別だ。いや、全然北海道にいく気はなかったんだけどね?大間にいく前に一応確認でFT寄っただけなんですよ。いやあ、本当に津軽海峡フェリーには一本とられましたな(といいながら尻尾ふっている犬みたい) 
   津軽海峡フェリーのFTで早めの昼食をとる。オーダーしたのは野菜炒め定食だ。値段も手頃だし、なかなか旨い。ぜんぜん北海道までいく気はなっかたんだけどね(くどい)

 食後にツーリングマップル北海道2011を購入して渡道に備える。
 フェリーの中は混み合っていた。ほとんどが家族連れや観光旅行の団体だと思う。原発事故の影響か外国人観光客の姿はほとんどない。

 フェリーの最後尾から、青森市内を見つめていた。帰り(19日)にも寄らせてもらうので、その時は久々に夜の青森で一杯やろう。

 へば!
 
   遠くに見えるのは、下北半島の光景だ。実は今回の旅の目的のひとつが国設薬研キャンプ場で幕営し、かっぱの湯などに浸かってみることだった。

 それは後年の課題として残しておこう。

 それより、今夜はどこでキャンプしようかしら。3年ぶりに北海道で野営できるなんてにやにやしてしまうわん。
 2時間45分ほどで、函館港入港。スロープから愛機に跨った北のサムライが、オートバイでは3年ぶりに上陸を果たした。湯の川に沿って恵山方面へ向かうつもりが、なぜかトラピスチヌ修道院の方へ行ってしまう。

 近年の筆者の方向感覚の無さといったら常軌を逸している。北海道で道に迷うなんて以前なら考えられない現象だ。とにかく空港を目印に海岸線へ向かった。恵山国道は、霧が深くなんだか肌寒い。時間も夕刻に迫ってきた。

 そろそろキャンプ場を探すか。看板に”戸井ウォーターパークオートキャンプ場”と出ているので左折する。やや内陸部へと入ると”ふれあい湯遊館”という日帰り温泉施設があり、その隣がキャンプ場だった。

 受付の前の駐車場へ愛機を停め、建物の中へと入った。

『失礼します。バイクで大人1人、テント1張りなのですが、おいくらぐらいで泊まれますか』
「ライダーさんですか。ライダーサイトなら525円で利用できますよ。ゴミも捨てられるし、温泉施設が隣接していますけど、本日は休館でした。あっ、どうせ空いているのだから、オートサイトをご使用ください」
 感じのいいおねえさんが応対に出てくれた。

 温泉が休みなのは残念だが、綺麗な芝のサイトだし、ゴミも捨てられるんだから最高だろう。コンビニまでの買い出しは遠かったけれど、片道バイクで10分程度だからよしとしよう。でも実は、買い出しの帰路、ガスでキャンプ場の看板を見落とし、戻りすぎて迷ったことは内緒だ。

 まあ、近年の北海道のキャンプ場の利用なのだが、ゴミを捨てれるということが、セレクトの大きな要因になってきているのは間違いない。
 とにかく荷を解いて、カヤライズの設営を開始した。そして、いつもの順番通りにビールを飲みながら、米を炊き、湯を温める。いい加減、レトルトカレーにはうんざりなんだが、我慢しよう。というより、少しは面倒くさがらずにおかずを作るとかするべきだと思う(わかってんならやれよ)  
 このキャンプ場のおもしろいところは、カラスじゃなくカモメが常駐していて、隙あらばキャンパーの食糧を狙って徘徊していることだ。ただカラスほど悪質なことはできない小者である。

 いい加減に飽きたレトルトカレーを食べ終え、ラジオを聴きながらウイスをちびりちびり飲む。そしてヨッパになって眠くなったら寝る。筆者の旅のスタイルは実にシンプル地味なものだ。

 シンプル・イズ・ベストという言葉が昔、流行った記憶がある。



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