北海道ツーリング2011
きたの細道
竜飛岬にて
3
旅の中の筆者としては珍しく寝坊した。昨夜の虻の集中攻撃のダメージは大きい。つうかお尻が痛すぎる。 ぶつぶつ文句をいいながら、米を炊きレトルトの中華丼をぶっかけて食べた。しかし、インスタントには飽き飽きだ。明日は、納豆定食にしよう。 |
食後、のんびりとパッキングを済ませ、R101を北上していると噂のババヘラではないか。まだ、食べたことがないので話のタネというか、朝から暑いので賞味させていただこう。 「どこから来たんだい」 『福島市内からです』 「放射線で大変だねえ。福島って、白虎隊とか放射能とかで本当に酷い目にばかり遭って難儀だこと」 |
ババヘラのオバサンが涙ぐんでいた。 いっ、いや、あの、そんなに同情の涙を頂戴するほど悲惨なわけではございません? ちなみにババヘラとは、バアサンがヘラでアイスをよそるから、その名がついたそうな。最近は若い女性もババヘラアイスを売っているそうだが、そちらはギャルヘラと呼ばれているらしい。 そして、美しいが単調な北東北の海岸線に沿ったR101を淡々と北上していると青森県へ突入していく。 |
白神山地の山々を一望しながらスロットルをあげ続けていると”不老ふ死“温泉の看板が見えた。これが噂にきく有名かつワイルドな露天風呂か。いくしかないでしょう。海岸に左折し、じっくりと効能がありすぎそうな湯を楽しんだ。ただ、凄い人気の湯らしく次々とお客がやってきて、やがてキャパをオーバーしそうになった。というわけで、筆者は、このあたりで退散することにした。 |
不老ふ死温泉周辺では、雲が多く比較的過ごしやすかった。しかし、R101を北上していくと、再び酷暑となり、筆者の体力をどんどん奪っていく。たまらず鰺ヶ沢の道の駅で休憩。なにげに買ったホタテのバター焼きが美味い。やはり確実に北の大地が近づいているとホタテの食感で感じた。 | |
このあたりは、通称「焼きイカ通り」とよばれ、多くの焼きイカの店が並んでいる。筆者もワンパック購入してみる。マヨラーである自分は、たっぷりとマヨネーズをつけてイカをがぶっと食べた。いや〜、美味い。やわらかくてマヨネーズがよく絡む。イカそのものの味も絶品だった。 | |
そろそろ出発するかとナビの電源を入れようとしたショッキングな出来事に気づく。カーチャージャーの一方の端が加熱されているエンジンに接触し、一部が溶けてしまっている。そして使用不能に。なんてこった。このツーリングでは、毎日何かを失っていく。 | |
R101をぼうっとしながら北上していくとなんか変?どんどん内陸に入っていくような気がする。そんなことを考えていると右手に道の駅”もりた”が見えてきたので水分補給のため小休止とする。ちなみ左画像は道の駅内に建っているお蕎麦屋さんだ。おそらく民家を改装したもであろう。 |
『竜飛崎へいくには、この道をまっすぐにいけばよいのですよね』 よく冷えたりんごジュースを飲みながら、店員のおねえさんに訊いてみた。 「とんでもございません。信号2つぐらい戻って右折されてください」 TMをよく見るとR101は内陸部に入り、青森市の方角いってしまうみたい?なんだか筆者の方向音痴は、どんどん加速しているようだ。 言われた通りやや戻り、屏風山広域農道という道を駆ける。日本海と岩木山の眺望が見事。まさに快走ルートだった。やがて十三湖の絶景が右手に広がった。素晴らしい! 十三湖中の島ブリッジパーク向かいのパーキングで、またしても小休止。どうやら、しじみの産地らしく、しじみ汁やしじみラーメンとかも売っていた。筆者は、なんだか満腹状態だし、喉がえらい渇いている。ということで、メロンシェークのみを平らげてまた出発。 道路が、いつの間にかR339となっている。日本海側の海沿いをひたすら北上しているのだが、めまぐるしく道路のナンバーが変わっていく。 そして小泊と竜飛崎を結ぶ”日本海シーサイドライン”へ突入。もう、筆者はワインディングを楽しもうなどという気力はまったくない。穏やかにささやかにツーリングを楽しめればそれでよいのだ。だが、風雲急を告げる。そんなぼくの甘っちょろい考えなどふっ飛ばすような激しい峠のローリングルートだ。 凄い高低差の登りの右コーナーが喰いこむように奥へと曲がりくねっていく。そして、高い崖の上のラインなので、高度恐怖症気味の筆者は、顔面蒼白状態。しかも距離が長いし、はからずも左ステップを二度もこすってしまった。どうやら俺を本気にさせてようだな? 本当に疲労困憊の状態で、竜飛崎手前に到達する。 |
あれほどあらぶっていたR339シーサイドラインもついに日本唯一の階段国道と化してしまった。 しかし、人気がなさすぎる。確か今日は日曜のはずだ。家を出て3泊めのキャンプは、竜飛崎シーサイドパークの予定。 海岸に降りていくとキャンプ場が見えてきた。管理棟には誰もいない。 |
ただ入口に連絡先の電話番号は貼られていたので携帯からTELしようとしていると、軽自動車が停まり、オジサンが降りてきた。 「今夜、キャンプすんのかい」 『ええ、よろしくお願いします』 渡された用紙に必要事項を記入し、使用料の五百円を支払った。 「今夜のキャンプ場の利用は、あんただけだから、どこでも好きなところにテント張ってもいいよ」 うっ、ぼくひとりっすか?最果てのキャンプ場にひとり?素敵だ? |
さっさとカヤライズを立て、夕食の準備を始める。飯炊きキタノに失敗はない。おかずはレトルトカレーのみ。もう少し、なにかおかずを増やしたいけど、このあたりにお店は皆無のようだ。というより、さっきから人を見かけないんですけど。 キャンプ場にたったひとり。眼の前は海。ロケーションは絶妙だと思う。ということで冒頭の静かに日本海に沈む夕陽を撮影した。 |
食後、東屋でラジオを聴きながら、ウイスをちびりちびりと飲んだ。久々にミルキーウエイも拝めるかなあと期待したが、今宵は無理だった。でも、いくつもの願いが一斉に叶ったら贅沢だろう。美しい落陽が見れただけでもよしとしよう。 そんなことを考えているうちにほど良くヨッパになって、テントに入った。 |