北海道ツーリング2008
穂別キャンプ場
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穂別キャンプ場
R234を快走する。 湿度が低くとても爽やかな空気だ。天気も良好。途中、セルフのスタンドでガソリンを給油したが原油高騰のおり、本州より若干安いような気がした。 早来、安平を過ぎで追分に入る。そろそろ東千歳バーベキューがあるかなと思いながら左手に注意しながら、牧草地帯を駆け抜けた。 すると見つけた。”東千歳バーベキュー”の看板だ。農家の納屋を改装したような建物も確認した。それにしても昼時のわりに駐車場(というほどでもない)へ車が停まってない。玄関らしき付近までいくと・・・ 定休日! が〜ん・・・思い切り空振り三振という心境だ。 これから、どこに行こう?4年ぶりにEOCの会場(8月15日決行)となる穂別キャンプ場へ下見をかねて行ってみるか。ここからそれほど遠くもない。ゼファーは、まるで踵をかえすごとく旋回し、紅葉山方面へ機首を定めた。 好天のなか、ふわふわと道道462〜R274へアクセスし、夕張紅葉山に到着。ここで、ごく普通の食堂でカレーライスの昼食を済ませた。お客はほとんど営業風のサラリーマンばかりだったがオジサンライダーもやってきた。まず間違いなくライダーはライダーのいるところへ引き寄せられる。俺の持論(俺はこの弱い犬ほど群れたがる習性を疎んじる)である。 ついでに向かいの郵便局で金を下ろした。俺は長旅の際は、郵便貯金を利用する。なぜなら日本全国どこでもどんな田舎でも手数料なしで引き落としが可能だからだ。 近くのセイコマで、米や食パン、酒、その他諸々の野営用の物資を調達した。やはり、バイクに乗ってないと陽射しがかなりきつい。汗を拭いアクセルをあげ、石勝樹海ロードを駆ける。キャンプ場へ行く前に一風呂浴びてさっぱりしておくか。ということで、広大な芝のサイト”穂別キャンプ場”を横目に樹海温泉”はくあ”へ向かった。 |
トップケースからお風呂セットを出していると、明らかにキャンプ場利用者と見られるオートバイが入ってきた。やはりご年輩のライダーさんである。どうやら先にキャンプ場で受付を済ませると割引券がもらえるしくみになっているようだ。
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踵を返して、穂別キャンプ場へ戻る。 『8月15日にオートサイトでお世話になるキタノと申します』 受付の親切なおばさんに申し出る。 「ああ、先日お電話をいただいた福島のキタノさんですね。遠いところから大変ですね。確かに予約を承っておりますよ。今日は下見ですか」 『まあ、そうですね。4年ぐらい前にもオートサイトでお世話になりました。あの時はフリーサイトだったんですが、空いているからという理由でオートサイトを使わせてもらいました』 「そうでしたか。じゃあ、今夜も空いているからフリーの料金でオートサイトを使用してください」 『ありがとうございます』 というわけで、オートのB5へ向かおうとしたら、ペットの持ち込み厳禁の貼り紙が。確かEOC参戦予定の札幌のMSR氏はワンちゃんを連れてくるといっていた。こいつはマズイ。 すぐにMSRさんの携帯へ連絡を入れた。 『こんにちは。キタノですが穂別キャンプ場、ペット持ち込み禁止でした』 「穂別キャンプ場のホームページを見て、わかっていました。今回は妻を札幌に残してEOCへ参加します」 『すいませんねえ』 「いえ、なんもなんも」 彼はそんなに気にしてない素振りである。 『小型犬なんでご迷惑はかけません。なんとかなりませんか?』 無類の犬好き(動物好き)の俺は、管理人夫妻へ一応相談してみた。親身になって応じてくれたが他のキャンパーの手前もあり、やはり犬連れは許可できないそうだ。 |
オートサイトはバイク乗り入れ可なので、そのまま直進しサイト入口に愛機を停めた。そして、ビールを飲みながら、ちんたらとテント設営開始。なんだかテントを立てているうちに酔いがまわってきた。張り終える頃にはかなりヨッパに。 スノピのトレイルトリッパー2って、ビルディングテープをベースにフレームを組み立てていくので少し面倒くさい。重いし。でも前室の広さはツーリングテントとしては、とても魅力的である。 |
さて、次はチタンクッカーで米を炊くか。俺の飯炊きのやり方は、過去に何度も書いているので詳細は割愛する。ただキタノ流に失敗はない。研いだ米を充分に水へつけてから炊く。焦らず慌てず水気が抜けるのをゆっくりと待った。 ラジオもつけてみた。孤独なキャンプの場合、ラジオと単行本は大切なアイテムである。ラジオから懐かしいフォークソングが流れていた。80年代初頭の曲だった。当時、俺はまだ高校生だったか。バイクの免許もその頃取得した。 |
なんてもの思いにふけっていると飯が炊き上がった。手前味噌だが完璧な仕上がりである。牛缶や海苔の佃煮をおかずにほくほくご飯を食べる。質素だが実に美味しい0.6合炊きだった。1合では少食の俺にはキツいもので。 冷えてきたのでテントの中に入り、ウイスキーをお湯割りにして飲んだ。ラジオからはまた懐かしのフォークソング。どうやら特集らしい。昔のことばかりがオーバーラップしてくる。ネットも携帯もなかったのだが、のんびりとしつつも熱い時代だった。 |
いったん醒めかけた酔いが心地よく全身にまわっていく。明日は道東へ入ろう。ふとそんなことを考えているうちに今宵の意識が消えていった。 早朝に起床。今朝も天気がよい。キャンプ場内を目覚ましに軽く散歩した後、朝食だ。旅で夏バテしない方法は3食きっちりと食べること。トーストにツナとマヨネーズを乗せ、トラメジーノで焼き、ホットサンドにした。 |
弱火で数分ほどで、こんな具合にこんがりと焼きあがる。インスタントコーヒーを飲みながら食べるとこれがまた実に美味い。 トラメジーノの弱点はサイズのわりに重いことだ。俺はロングツーリングでは今まで持参することを敬遠していたのだが、今回はなぜか荷物の中に加えてしまった。こういう行為のひとつひとつが過積載に繋がっていくのだろう。ロング・キャンツーでは、なにかを得るためには、なにかを失うことになる。 |
食後の一服を終えれば撤収だ。テントの荷物を全部外へだし、フライシートとインナーテント、シュラフ・エアマットを天日干しにする。この夏の北海道は、通常の気候で朝夕は正しく冷え込み、朝露が容赦なくテントを濡らしていた。 荷物をひとつひとつ丁寧にバックに収納した。まだ完全に乾ききっていないテントもたたんだ。そしてマシンへのパッキング。しかし、かなり時間がかかりすぎる。もう何百回もやっている作業なのに。 |
マシンを暖気しながら管理棟へ向かった。 『お世話になりました。15日もよろしくお願いします』 受付のおばさんに挨拶をする。 「はい、ありがとうございました。お気をつけていってらっしゃい」 優しい笑顔で答えてくれた。真夏の陽射しが激しく照りつける外に出ると、 「キタノさん、犬の件、ほんとにごめんね。なんとかしてあげたいんだけど他の利用者にばれると示しがつかなくなるんだよ」 管理人のおじさんが追いかけてきて本当に申しわけなさそうな顔をしていた。 『もう、その件は参加する方に連絡がついているから大丈夫です』 と、答えるとおじさんは安堵した表情で、 「そうですか、それならいいんだけど。15日、お待ちしてますね」 これまた、なんともいい笑顔で頷いていた。なんて親切な管理人夫妻なのだろうと俺は嬉しい気持ちになった。 空は一片の雲もない青空だ。俺は日高方面へ向けスロットルをあげた。 そして、いよいよ運命の日勝峠へ。 |