北海道ツーリング2008
13
EOC穂別2008その2
画像:AOさん提供 |
翌朝は心地よく起床。昨夜とうって変わって、きっぱりとした好天だった。 夜は夜、朝は朝で、まるっきり状況が違う様相に変貌するのもEOCだ。既にMSRさんやまささんは、炭を熾して肉を炙っていた。 『おはようございます』 「どうも、おはようございます」 |
誰もがすっきりさっぱりとしていた。 「おはようございます。いやあ、キタノさん、会えて本当に嬉しい」 しかし、アベさんだけは、まるっきり昨夜の乗りで起き出し、キタノへ握手を求めてきた。昨夜から何度握手したことだろう? 「キタノさん、このコーヒーのパック、みんなに配ってください。お湯もお願いします。それとこんな時にこそ、昨夜差し上げたカウボーイハットをかぶるといいですよ」 派手なことは苦手だが、基本的に素直な性格?である俺は仰せの通りにカウボーイハットを頭に載せながら、長年愛用しているガスバーナーとポットで湯を沸かし始めた。 「おっ、随分、使い込んだバーナーですね」 MSR氏がにっこりと微笑みながら呟く。実はこのバーナーは1999年以来、北海道で数限りなく利用している差込式のものだ。やがて湯が沸騰し、コーヒーのいい香があたりに漂い出した。朝から肉を頬張りながら、コーヒーを楽しむ。まさに馬賊・・・いや騎馬民族EOCのスタイルだ。 「アベさん、オレにもカウボーイハットとウエスタンブーツください」 なんてMSRさんが冗談をいいつつ、ほのぼのとした会話で盛り上る。 そして、皆さん、テントやシュラフなどをのんびりと乾し始めた。昨日、俺が購入したさっぱり系のおつまみは売れ残ってしまい、もったいないけど廃棄処分決定。昨夜のうちに袋から出しておけばよかった。 「キタノさんて、俳優の伊武雅刀に似ていますよね」 サトちゃんが俺に呟く。 『そうかあ?』 あれ、昨夜も誰かが言っていたぞ。まささんだったかな?確かに髪の毛の薄さは似ているかも知れない。でも俺はトム・ハンクス似だと勝手に勘違いしていたりする。 刻々と時間だけが確実に経過していった。やがて本日仕事のあるアベさん撤収。カウボーイハットありがとうございました。北海道での滞在期限が迫ってきたくらさんも撤収。どうもお世話になりました。 「永久ライダーというホームページ、帰宅したら必ず拝見します」 と、いいつつシミズくんも出撃。来年もまた遠慮せずにEOCにおいで! |
『しかし、テント、なかなか乾かないな』 俺はサトちゃんへ囁いた。 「そうですね。昨夜の雨はかなり強く降りましたからね」 残ったメンバーは、とにかくテントなどのキャンプ道具を乾しまくることに没頭していた。 「今年は、キタノさんの撤収の動きが早いですね」 |
画像:yasupaさん提供 |
残ったメンバーで |
温厚をまるで絵に描いたような好人物、yasupaさんは穏やかに笑っていた。例年、キタノのEOCでの撤収の遅さには定評があったりした。 本当に昼近くまで、まったりとBBQや会話を楽しんだ。二日酔いもすっきりと抜ける。 らん丸さんが樹海温泉”はくあ”から帰って来たのを見計らって一気にサイト撤収。 |
管理棟へ挨拶して、残ったメンバーで集合写真を撮影する。皆さん、お世話になりありがとうございました。 しかし、穂別キャンプ場のこの場所で集合画像を撮るって4年ぶりか?本当に久しぶりなもので、少し込みあげるものがあったぞ。 EOC穂別2008、これにて爽やかに解散! これ以降は有志で、東千歳バーベキューへと向かうことになった。しかし、昨夜も今朝もBBQで、さらにまたこれからまたBBQへ突入する。残った皆さんは、とてつもなく強靭な胃袋をお持ちかも知れない。 |
快晴の中、道道3号から夕張を抜け、R234を左折して東千歳バーベキューへ向かう。俺が初日向かったルートとは逆方面だったのだが、特に渋滞もなく順調に辿り着いた。 ちなみに現時点のメンバーは、MSRさん、AOさん、yasupaさん、サトちゃん、そしてキタノの5名である。 店は大変混みあっており、外で暫し待った。 |
”東千歳バーベキュー”画像:AOさん提供 |
KZKさん |
その頃、札幌よりKZKさん(MSRさんの奥さん)到着。 『どうも初めまして』 KZKさんは、穂別キャンプ場がペット持ち込み禁止なのでEOC参戦を断念し、自宅でわんちゃんの面倒を見ていたそうな。しかし彼女は、大型マシンを駆る素敵な女性ライダーだった。さっそく永久ライダーのステッカーを差し上げるととても喜んでいただけた。 |
後日、KZKさんは永久ライダーの熱心な読者となり、少しずつではあるが当サイトの作品を実によくご覧いただいている。特に小説”タンデムシートは指定席”の衝撃のストーリーには本当に感動し、号泣してしまったそうだ。ありがとうございます。外のテーブルでまったりと会話を楽しんでいると、 「どうぞ中に入ってください」 店員さんから声をかけられる。店内では既に準備が整えられていた。 |
”まさに焼鳥”画像:AOさん提供 |
一人前鶏半分ぐらいの分量のお肉を炭火で炙る。鶏の香ばしい匂いが周囲へ漂っていた。看板娘の90代のおばあさんの姿は今日は見えない。おばあさんが大量の塩を振りかけている瞬間を是非、見たかったのだが。さらにキャベツの千切りも頼んだ。これも塩味がよく効いていて、とても美味しい。 「そろそろ食べれますよ」 店員さんから、促され箸を進めた。 |
しかし、真夏の昼間から炭火の熱風を浴びると凄まじい暑さになる。大汗をかきまくりながらチキンにかぶりついた。たくさんの塩をふりかけているとのことだが、脂と一緒にそれなりの塩分が落ちていくので、思ったより塩辛くはなかった。 コーラも購入し、ごくごくと喉を潤しながらチキンを食べた。これがコーラじゃなくて、ビールなら、どれほど至福の瞬間を味わえたことか。 |
背後の老人は部外者:画像AOさん提供 |
yasupaさん、KZKさん、MSRさん:画像AOさん提供 |
喰った。喰った。腹一杯。もう当分、鶏肉は食べなくてもいいや。腹をさするようにしながら外へ出た。 外でも暫し歓談する。サトちゃんは、今夜、新千歳空港からスカイツーリングというやつで帰還するそうだ。まだ楽勝の時間帯だな。空港近くの売店でお土産などの買い物を済ませても充分楽しめるだろう。 さて、そろそろ札幌へ向かうか。 |
KZKさんが、俺の三脚で集合画像を撮影した。セッティングはご主人のMSRさんが済ませている。おふたりは本当に息の合ったご夫婦だった。 | 画像提供:KZKさん&MSRさん |
画像:yasupaさん提供 |
『お世話になりました。また来年お会いしましょう』 なんだか、寂しい気分に浸ってしまう。北海道の皆さんとは、地理的に年一回しか邂逅できない。 一期一会、だからこそ、EOCという”ひとり旅派”の集いを大切にしなければいけないと心から思った。 どうか皆さん、またお会いできる日までくれぐれもご自愛ください。 |
ネットが媒介した、ほとんど偶然の集いかも知れないが”人こそ財産である”という言葉を俺は信じている。 サトちゃんは新千歳空港へ向けR234を右折。俺とAOさんは、札幌方面へ左折した。 陽は燦々と輝いているが、空気が乾いているので夏の北の大地らしいとても心地よい陽気だった。やがて札幌へ近づくにつれ、渋滞気味になった国道をひた走る。 「このあたりで、私は右折しますね。この道をまっすぐ行けば札幌の市街地へ出れます。ではまた来年」 『お世話になりました。また会いましょう』 途中、AOさんとも別れた。 再び、ひとりぼっちになっちまったが、俺の長い北の旅はまだ続いていくのだ。しかし、本当に今日はお日柄がいい。抜けるような青空の下、快調に札幌市内に突入する。 白石で昨年も立ち寄った秀岳荘へ入店する。やはり品揃えが半端じゃない。店内を物色しているとTHE NORTH FACEのベースキャンプダッフルXL(140L)が割引価格で並んでいた。XLもあるんだ。X(90L)は所有している、というか現時点でもこの頑丈な防水バックを使用していた。 XLが欲しい・・・ でも送料とか考えると地元のアウトドアショップで購入するか発注しても同じだろう。このときはそう考えたのだが、実は今シーズンのベースキャンプダッフルの製造は既に中止されていて、メーカーへの発注は失敗してしまう。まあ、それでも諦めきれずにネット検索して楽天ショップから執念で手に入れたが。 再びマシンに跨り、今夜泊まるホテルのある大通公園を目指した。しかし、ホテルはどこだ。道端にバイクを停めて、釧路のJTBの窓口でもらった地図を眺めていると、 「こんにちは。このあたりでバイクを停めたままにしていると最近はバイクでもすぐに駐車違反の切符をきられますよ。向こうの通りにバイクも停めれる駐車場があります」 若い旅人風の男だった。そういえば昨夜、AOさんが、そんな話をしていたような気がする。 『そうですか。ありがとうございます』 一応、礼をいうと彼はにっこりと微笑んで、 「そろそろ旅も終わりですか」 と、呟いた。 『そうですね。でも、もう少しだけ日程があります』 「ぼくも去年はバイクだったんです。やっぱり北海道はバイクの旅が似合いますね。どうかいい旅をされてください」 『ありがとな』 薄手のジャンパーの襟を立てた青年は、人ごみの中へと颯爽と消えていった。なんだか俺の若い頃に似ているような気がした? その後、通りすがりの人にホテルの場所を尋ねてもにべもなくわからないと断られてしまうので、ホテルに直接電話しておおよその位置を確認した。 ホテル着。チェックインを済ませホテルマンに駐車場まで案内してもらう。 「お客様、凄い荷物ですね。北海道一周とかされてるんですか」 ホテルマンは驚愕していた。 『いやあ、ちょっと道東の方へ行ってきただけだよ』 俺は軽く噴き出した。 |
シングルルームへ入り、さっそくシャワーを浴びてこざっぱりした格好へ着替えた。 さて、これから酒を飲みにくりだすか。仕上げは札幌ラーメンで締めよう。楽しみだなあ。 ベットにごろんと横になり、札幌在住のIWAさんへ携帯で連絡したのだが繋がらなかった。美容室の経営者の彼は、まだ仕事中なのだろう。 |
ホテルにて |
しかし、ここで取り返しのつかないミスが・・・ なんとベットの上で服を着たまま爆睡していた。ふと気づけば明け方の3時半。しっかり7時間も寝ていた。もう、どこの飲み屋もやってねえよ。 結局、俺はなんのために札幌でホテル泊したのだろう。まさに楽しみから絶望へ急転直下。腹はぺこぺこだし、札幌入りがまるっきり徒労に終わってしまった。 楽しみにしていた俺の札幌の夜を返してくれ! |