北海道ツーリング2008








EOC穂別(画像AOさん提供)



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EOC穂別2008その1



参戦者リスト(順不同)

サト氏@群馬 くら氏@福岡 MSR氏@北海道
yasupa氏@北海道 AO氏@北海道 アベ氏@北海道
まさ氏@北海道 らん丸氏@東京 シミズ氏@強制連行
キタノ@福島
画像提供:AOさん



 雨の中、樹海温泉から2キロ先の穂別キャンプ場へ移動。

 カッパに着いた水滴をしたたらせながら管理棟へ入った。
『こんにちはキタノです。今日はお世話になります』
 受付のおばさんに挨拶をした。
「雨の中、大変ですね。あっ、そうそう、つい今ほどキタノさんは来てますかと尋ねて来たライダーさんがいたんですが、もうオートサイトへ入りましたと間違えて答えてしまいました。すいません」
『いや、なんも。表に俺のバイクが停めてあるから気づくでしょう』
 なんて話していると、
「キタノさん、どうも」
『おお、サトちゃんか。早いんだな』
 彼は和琴からどんなルートでここまで辿り着いたのだろう?

 なんて思っていた頃、
「キタノさん、お久しぶり」
『あっ、小樽のyasupaさんだな』
「違いますよ、北九州のくらもです」
『こっ、これは失礼しました。くらさん、お久しぶりです』
 北海道や九州の方とは年に1回、お会いできるかどうか微妙なもので、ついうっかり見間違えてしまった。

 なんて盛り上っていると、
「キタノさんにお電話ですよ」
 管理人のおばさんから受話器を手渡された。
「初めまして。札幌のアベと申します。雨が酷いのでクルマで参加しても構わないですか」
 恰幅のよさそうなおじさんの声だった。
『キタノです。初めまして。EOCはどのような交通手段をとられても参戦は歓迎ですよ。喜んでお待ちしております』
「ありがとうございます。それでは後刻伺います」
 だいたい、こんな感じの会話をして電話を切った。たまたま管理棟に居合わせたから電話に出れたと思う。簡易オートサイトに移動してからでは連絡がとれなかったに違いない。

 3機列なるようにB5・B6の貸切サイト前まで向かう。本当に嫌な雨が降りしきる中、マシンを停めた。そして、カッパ着用のまま、それぞれテント設営開始。

「キタノさん、とりあえず我々は先に温泉に行ってきます」
 くらさんとサトちゃんが、踵をかえすように”はくあ”へ向かった。雨があがる気配はまったくない。むしろさらに強くなっている。

 煙草をくわえながら、そんなことを思っているとワゴン車がやってきた。
「キタノさん、こんにちは」
 車窓が開くとMSRさんの顔が見えた。
『あっ、これはどうも、MSRさん』
「サイトの隅と車でビニールシートを固定しますか」
 MSRさんと一緒にビニールシートを張る作業をしたのだが、彼は本当に手際がいい。あっというまに固定し、最後に大きなポールまで立てて雨水がたまらない配慮まで欠かさなかった。素晴らしい。

 そして、さっそくキャンプ椅子やテーブルを組み立てて、ビールを飲み始める。

 MSRさんもロゴスのピラミッドグリルを購入したそうだ。
 昨年のEOCでは苫小牧港で素もぐりをして大量のホタテを差し入れてくれたMSRさんなのだが、今年も牡蠣を自ら獲ってきた。毎度、体を張った差し入れには頭が下がる思いがした。

 MSRさんのピラミッドグリルにあっという間に炭火が熾り、網の上に大量の牡蠣が乗せられた。暫くするとなんともいえない海の芳醇な香が周囲に漂い始める。

画像:yasupaさん提供
 その頃、BMにトレーラーを牽引したらん丸さんがやってきた。EOC告知が遅れていたので、今回のオフでは、ずいぶんらん丸さんには気を揉ませてしまったようだ。

 雨の中、彼もまずテントを設営し始めた。らん丸さんは永久ライダーとは違った独特の世界のHPをお持ちだが、実は永久ライダーサイトの最古参の常連さんだったりもする。 
 その後、くらさんが温泉から帰還。AOさん到着。遅いので心配していたのだが、サトちゃんが”はくあ”からようやく帰還。まささん到着。参戦者の皆さんが続々と集結し、閑散としていた貸切サイトがにわかに活況を呈し始めてきた。

 フフフ・・・今宵の役者が揃ってきたぞ。

 そして、周囲が暗くなってきた頃、謎のおじさんが・・・

「いやあ〜、キタノさん、会えて本当に嬉しい」
 年輩の方だったが、もの凄いインパクト。
「札幌のアベと申します。先ほどは電話で失礼しました」
『初めまして、キタノです。参戦いただきありがとうございます』
 がっちりと握手される。
『いや、恐縮です。自分はたいしたことない野郎なもんで』
「なにをいいますか。これだけのオフを毎年仕切れる人物などキタノさん以外は存在しないです。しかも、道内の人間じゃないのにたいしたものです。ワッ、ハッハッハッ!」
 本当に熱烈なお言葉にますます恐縮してしまうキタノさんでした。

画像:AOさん提供

沖漬け
「後で、もうひとりライダーがやってくるので、よろしくお願いします」
 アベさんは、またも豪快に笑っていた。 

 そして、イカの沖漬けやら野菜の漬物やら過分な差し入れをたくさん頂戴した。お気遣いありがとうございます。

 アベさんも大いに酒を飲みながら終始上機嫌の様子であった。
 俺も確かにヨッパになるけど、とてつもないオッサンパワーっていうものへ流石に圧倒され始める。非常に元気なお方だ。

 自己紹介の前から、宴は既に狂喜乱舞の世界に突入し始めていた。

 そしてバイクの音が。yasupaさんかと思いきや見知らぬ若いライダーさんだった。
「初めましてシミズです」
 いささか緊張の面持ちである。果て?俺はネットでもオフでも覚えがない若者だが。

 実は彼、コンビニで偶然アベさんから声をかけられ、急遽EOCへ参戦したようだ。つまりEOC強制連行ライダーだった。

『そういうことだったの。初めましてシミズくん。俺は永久ライダーっていうホームページを運営しているキタノという者だ。その関係のオフ会、つまりEOCってやつよ。北海道では、お盆の時期にEOCを主宰しています。毎年、知らずに偶然参戦してしまう人もひとりぐらいはいるもんだ。気にしないで楽しもうな。EOCって、なぜか女っけはないけど豪快に飲んで喰ってヨッパになるだけのエロオヤジ・・・い、いや、もとい!北海道ツーリングライダーの集いなんだよ』
 苦笑しながら話しかけると、彼もようやく相好を崩し、いい笑顔を見せ始めた。
「はい、よろしくお願いします」
 本来、社交的で明るい若者のようである。

 そしてオオトリで小樽のyasupaさん到着。仕事が終わってからの参戦、いつもながらすいませんねえ。彼も雨なので、車で駆けつけてくれた。

 これで、参戦者全員が揃ったのでEOC恒例の自己紹介が始まる。何気に俺はこの瞬間を楽しみにしていたりした。

「アベさん、10年前に会ったことがありませんか」
 MSRさんがアベさんへ訊いていた。
「もしかしたら、あの時の○ドウさん?」
「やっぱりそうでしたか。確かGLでしたよね」
 MSRさんは思い切り噴き出してしていた。奇遇なこともあるものだ。名づけて”EOCの奇蹟”とでもいうべきかな。

 ひと通り紹介が終わる頃になると皆さん?いや、たぶん俺だけは確実にヨッパになってきたぞ。

 少し、休憩がてら煙草を吸っていると・・・
「キタノさんに会えて私は嬉しい」

 アベさんが俺の横にやってきてまた握手される。
『本当に自分はたいしたことありません。ただの酔っ払いですから。凄いのは今宵お集まりの皆さんの野営の技術なんです』
「いや、読み物、タンデムシートは指定席、私は感動しました。このカウボーイハットは記念にキタノさんへ差し上げましょう。使ってください」

画像:AOさん提供
『いや、こんな高価なモノを頂戴できませんよ』
「そういわず是非」
 とうとう俺の頭に本格的な乗馬用のカウボーイハットが載ってしまった。

 この格好って、昔懐かしいホ○タップのオーナーに似ているかもしれん?

「キタノさんは、おいくつになられた?」
『はあ、4○歳です」
 あろうことか、アベさんが俺の体の臭いをくんくん嗅いでいた。
『わっ!お止めくだされ』
「40代なら、まだ若い。加齢臭もないね」
 なっ、なにすんねん。驚愕してしまったけど、お元気でなによりです。

 俺には男の臭いを嗅ぐ趣味などまったくない。でも女になら多少はあるかも(嘘)

 夜も更けてきた頃、昨年に引き続き、くらさんが懐かしのミュージックを流し始めた。実はBBS上で冗談半分でリクエストしたところ、くらさんは律儀に約束を実行してくれたのである。

 ”大阪で生まれた女”・・・

 いいねえ。我が青春の曲だ。

 続いて”悲しい色やね”

 うっ、懐かしすぎる。

 この”悲しい色やね”のCDがなかなか手に入らず、くらさんは苦労の末、渡道してから入手したそうだ。本当にEOCのためだけに。

「キタノさん、世の中がせちがらくなってきて来年は北海道ツーリングができるかどうか」
 俺と同業者のくらさんは深く溜息をつくように呟いた。
『まったく、俺も2年先の北海道ツーリングが決行できないことは今からわかっています』
 でも先のことより、今の宴を楽しむことがEOCだ。くらさんのカセットから流れる懐かしい昭和のBGMに誰もが酔いしれながらも延々と座談会は続いていく。

画像提供:AOさん
 あらあらキタノの手元になにかアイテムが?らん丸さんのドールを持っているらしい。
『俺にはこういう趣味はないが、他人に迷惑をかけなければ否定はしない』
 まささんやシミズくんたちが、俺のセリフに得心顔で頷いていた刹那、ドールの首がぽっくりと落ちてしまった。

 あれまっ!
 なんて騒いでいると、落ちやすい構造になっているとらん丸さんが解説していた。

 しかし、まささんはまるでシェフの如く実によく働く。最初からずっとスノピの焚き火台で肉を炙ったり、チーズや沖漬けを切っては周囲にオツマミを配っていた。本当にマメな人柄である。お気遣いありがとうございます。すいませんねえ。

 すっかりヨッパになったキタノは、
『北海道の過去のオフ会では、表のキタノ、裏のAOといわれているんです。永久ライダーの多少のネームバリューは確かにあるけど、キタノは、すぐにヨッパライダーになり使い物にならなくなる。結局、実質的に運営を支えてきたのは全部AOさんだったりするのです。思えば炭焼きコンロを最初に投入したのもAOさんだ。あれ以来、EOCの歴史が変わりました。参戦者の旅の装備がオートバイツーリングとはとても思えないほど格段と向上しました。5,6年前までカッパを着たまま雨ざらしで飲み会をやっていたもんです』
 EOCの真相を暴露した。
「本当ですか?」
 誰かがAOさんに確認していた。
「確かにそうともいえます」
 AOさんも特に否定しなかった。テントへの強制収用とかで、キタノはAOさん始め多くの諸氏にどれだけ迷惑をかけ続けてきたことか。

 そして、このあたりから皆さん三々五々とテントに消えていく。

 キタノも例外なくAOさんのテントのタープの下で撃沈している始末だった。

 やっぱり、弱っちいチキンライダーキタノだ。
 またもAOさんたち、残ったメンバーに担ぎこまれるようにテントへ入る。いや、挿入されていく。

 テント強制収用、この夏もやっちまいました。最早、夏の北の大地での風物詩と化しているようだ。

 本当にしょうもない北のヨッパライである。

 雨が絶えることなく降りしきる穂別の夜だった。

キタノ撃沈:画像AOさん提供



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