北海道ツーリング2006
クッチャロ湖畔キャンプ場にて
5
5時起床。まだ気温は高くない。 早朝から多くの旅人たちの喧騒が始まっていた。このキャンプ場の利用者は早寝早起きを励行する健康的なライダー諸氏が多いらしい。 俺はパーコレータで湯を沸かし、コーヒーを飲みながらパンを胃へ流し込んだ。 そして、することもないのでダラダラと撤収。目覚めた時間が早いので比較的早出となる。この時間帯になると、まるで計ったかのように気温が急上昇してくる。今日も暑くなるのか。憂鬱な気分だ。 網走を抜け、オホーツク国道を北上し、常呂(現北見市)へ突入すると右手にサロマ湖の眺望が広がってきた。この頃になると、なぜか肌寒くなる。ジーンズ生地のジャンパーでちょうどよい心地である。 サロマ湖の水面がいっぱいの陽光を浴びキラキラと輝いて見える。 |
やがて北勝水産へと辿り着く。ずいぶん早い時間からやってんだなあ。また既に何台ものバイクが停まっている。客もかなり入っているようだ。 さっそくホタテのバター焼きを頼んだ。1枚100円。安いねえ。 この値段のワリには、本当に美味しいと思う。3枚ペロッと平らげてしまった。 |
コーヒーをのみながら、暫し、くつろがせてもらう。なにせ早起きだったもんで、まだ目が覚めてないような気分がしたからだ。 涼しい環境で、パワーを充電したので、そろそろいくか。 愛機に跨り、スロットルをまわした。空は抜けるような青空、道は交通量も少なく実に爽快な気分だ。 直線、クランク、ガラガラの道・・・ そんな湧別を疾走し、意外な渋滞に巻き込まれながら紋別を駆け抜ける。 やがて日の出岬「オホーツク温泉」の看板が見えた。そういえば昨夜は風呂に入ってなかった。ここでオホーツクを見ながら湯に浸かろう。 3年ぶりに入るオホーツク温泉は、本当にいい湯だ。丹念に体を洗い流し、オホーツク海を眺めながら、じっくりと露天風呂を堪能する。 そして休憩室で泥のように眠る(早出した意味がまったくなくなる) いや〜いい湯だったし、よく寝たぜ。 ハツラツとした気分で、さらにオホーツク国道を北上。 今夜の幕営地はクッチャロ湖畔キャンプ場にするつもりだが、昼食を大ボリュームのドライブイン「マウントピンネ」でとりたいがためだけに乙忠部から道道1023へ左折。やはり内陸部へ入るとまた蒸し暑くなってきて困ったもんだ。 シールドにビシビシと虫が当たり、視界の狭さに難渋している頃、歌登へ入る。 え〜と、ここを左折して、さらに右折するんだっけ?ダメだ。停車して、ゆっくりMAPを確認しよう。 すると・・・ |
停車している俺のマシンの横にもう一台、バイクが停まった。車種はBMのR100GSだ。 「キタノさん?」 『はい、そうですが?』 見覚えのないライダーだが? 「北九州のくらさんです」 『あ〜思い出した。何年か前、うちの掲示板へよく投稿していただいた”くらさん”ですね』 しかし、よくすれ違いざまに気がついたもんだ。 |
以下、後日、くらさんによる北のサムライBBSへの投稿を引用させていただくと・・・ 「歌登ですれ違った際、一瞬”あれ”と思い、数秒考え引き返した次第ですが、何せお互い北海道速度で走行していましたので追いつくか自信がありませんでした。しかし、相対速度○○○km/hですれ違っても一瞬で北野さんのオーラが伝わってきましたよ」 とのことでした。 ここで、くらさんと、これまでの旅の経緯をお互いに話した。 くらさんは、間もなく旅も終わりになるそうだ。今日は紋別のライハに向かうとか。釣りにハマっているので、釣り道具でいっぱいで、キャンプ道具を掲載するキャパシティがないらしい。阿寒湖では大物のレインボーフィッシュを釣り上げたとか。 暫し歓談し、画像を撮り合って別れた。いつの日か、ゆっくりとEOCでお話しする機会を楽しみにしています。 北海道2006のステッカーありがとうございました。 再び道北内陸部の寂しい道を30分ほど走らせると中頓別に入り、ドライブイン「マウントピンネ」が見えてくる。 バイクがたくさん並んでいた。店の前にマシンを停めると中から客の騒ぎ声が外まで漏れていた。混んでるのかな。 店に入ると奥のほうにライダーの団体さんがおり、その方たちの騒ぎだった。 |
手前側のテーブル席は比較的余裕があったので、そこへ腰を下ろした。 バイトらしいおねえさんの説明だとお子様味噌ラーメンなるものが、通常のサイズで、普通の味噌ラーメンは普通じゃないとか。 『まあ、とりあえず味噌ラーメンにしてくれ』 とオーダーした。腹が空いているから大丈夫だろう。 |
やがて運ばれてきた味噌ラーメンのボリュームは凄い。野菜から麺までなかなか辿り着かない。味はちょっと、いやかなり濃い。俺は田舎の出なので、全然平気だが、薄味好きの方にはきついかもしれない。 この上のランクになるとライダー麺(超大盛り)、さらにチャリダー麺(体調を整えてから挑戦すべし)という信じられないぐらいの展開になるらしい。 とにかく今夜も夕食はなしでいい。 |
次回はライダー麺に挑戦したかったのだが「マウントピンネ」は、残念ながら、今シーズンをもって閉店になるそうだ。長い間お疲れさまでした。 腹パンパンで頓別国道を北上する。 |
道路脇には水溜りがあった。何時間か前には雨が降っていたのだろう。この旅は、なぜか雨を奇跡的に回避しているようだ。 牧歌的な風景の中をつき抜け、やがてクッチャロ湖畔キャンプ場へ到着。売店で受付を済ませ、駐車場横に素早くエアライズを立てた。 やがて、凄い夕陽のシチュエーションが広がってくる。 |
美しい。いつ来てもクッチャロ湖の落陽は見事だ。湖面が金色に輝いていた。 暫し、見入っていると 「あの、隣にテント張らせてもらっていいですか」 俺よりもひとまわり近くは年長であろうライダーが声をかけてきた。 『どうぞ、ここは駐車場の横だし、トイレも近いんでなにかと便利な位置ですね』 と答えるとにっこり頷きながらおじさんはテントを立て始めた。 |
「さいたまのシュナと申します。北海道ツーリングは初めてなんですよ」 『そうでしたか。俺はキタノです。初めまして』 テントの横にあったテーブルでシュナさんと飲み始めた。 「キタノさんは、自衛隊の方ですか」 『いえ、よく間違えられるのですが、普通のサラリーマンですよ』 「これは失礼、なんとなくそんな雰囲気に見えたもので」 ビールを片手にシュラさんは気さくに笑みを浮かべながら話していた。 「北海道は凄いですね。とにかく道、景色が雄大ですわ。今朝、小樽に上陸したばかりなんですが、驚いてばかりです」 こういうストレートな表現が、見事に肩へ力の入らない自然体なムードを醸し出している。 やはり年の功。人間が練れておられるのだろう。 俺もグランブルーをスイスイと飲み、ほどほどの時間まで歓談した。 シュナさんが 「じゃあ、お先に」 と言い残しテントへ入った。 今宵は涼しい。俺は、もう少し夜風にあたっていたい気分なので、残りの酒をゆっくりと煽った。 明日は、いよいよ利尻島へと渡る。 もう後戻りはできない。 利尻山・・・ 俺のこの旅の約束の地だ。 そして、いつの間にかシュラフにくるまり、熟睡していた。 翌朝、比較的早い時間に起床。 |
はまとんべつ温泉北オホーツク荘は6時から営業を開始しているので、さっそく朝風呂に浸かる。 昭和の匂いがした。 この温泉のひなびた雰囲気が以前から気に入っている。 湯はヌルめ。じっくりと湯船でくつろぎ、ウィングを後にした。 |
テントサイトへ戻るとシュナさんは、既にパッキング終え、次なる目的地「尾岱沼」へと向かうところだった。 「夕べは相手になってくれてありがとうございます」 俺のような、ずっと若輩の男に対しても本当に慇懃な物腰である。 『いいえ、こちらこそお世話になりました』 「じゃあ、失礼します」 がっちりと握手を交わした。 『いい旅を!』 |
シュナさんは、にっこりと頷き、意気揚々と独特のハレー音を立てて走り去った。 俺もやや遅れてパッキングを済ませる。 宗谷上空は曇りだ。でもまあ、雨にはならないだろう。 とりあえず稚内まで向かおう。ここからだとどのぐらいかかるのだろう? そんなことは・・・ ワカンナイ? ワッカンナイ? ワッカナイ! とキタノオヤジはブツブツと呟いていたんだとさ! |