北海道ツーリング2006








道楽館前にて(画像ともさん提供)



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 というワケで皆さんをお見送りした後、ソットーさん、おタカさん、お隣のなおさんがスーパーへ買出しに出かけるとか。そこへ同じく連泊のくっしーさんと俺も交ぜてもらうことにした。

 今日もお客さんが満杯だけあって、ソットーさんが購入する物資の量は半端じゃない。

 俺はここで今夜飲むアルコールをしっかりと確保しておいた。
「キタノさんの瞳って、なんでそんなにキラキラ光ってるの?」
 なおさんが唐突に訊いてきた。
『それはね、俺の心が美し過ぎるからだよ』
 というと、なおさんとおタカさんは爆笑していた。

 昼食はどこかで外食しようということになっていたが、なおさんが手料理でご馳走してくれた。ありがとうございます。とても美味しくいただきました。
 その後、俺はすることもなく、ただゴロゴロとして時を過ごす。冬ならば雪掻きとかできるのだが・・・

 くっしーさんは、ビールジョッキ一杯で炭熾しのバイトをしているし。

 俺もなんかしてぇ。 

 するとソットーさんが外で、とうきびの皮むきをしているではないか。

『俺にもやらせてくださいよ』
 と皮むき作業を手伝わせてもらった。

「とうきびはね、その辺の直売店で知らないで買うと地元のじゃなく茨城産のものを買わされるんだよ」
 北海道へ来て茨城産を買わされたらたまんねえな。

「とうきびは、種類がすごく多いから銘柄はなんですかと訊くといいね。いんちきな売店だとろくに品種を知らないから、まず答えられないし」
 なるほど。これはいい情報だ。

 しかし、作業はすぐに終わってしまう。

 俺は、また居間に戻ってゴロゴロと怠惰な時間を過ごしていた。

 すると・・・

 窓がトントン・・・

 外に誰か居るぞ!
 おう、士別のtettさんじゃないか。これは久しぶり、相変わらずお元気そうでなにより。
「さっそくビールを飲みたいんだけど、今夜は泊りじゃないんで」
 明日、約束があるので今日はいったん士別に戻らないといけないそうだ。

 暫し歓談。その後、彼は、羊のなおさんの方へと挨拶しに向かった。
 そしてまたも俺は居間でゴロゴロ・・・

 夕刻近くなると次々に今夜宿泊するライダーが到着してきた。慣れた方は、さっそくサーバーから自分で生ビールを注いでいた。

 気さくな小坊主さんも到着。以前から永久ライダーをご覧になっているらしい。埼玉在住だが、ご実家が福島県内だそうで、次回からは福島のEOCに参戦希望とのこと。

 このあたりで、tettさんが帰るようなので、外へ出て見送りを済ませた。

 陽も落ちて来る頃、外のテーブルに座り、夕食を待った。

 すると、
「旭川から電車じゃなくて、バスで戻りました」
 ともさんが帰還。

 高橋さんご夫妻とまずはR40沿いの食堂「一路」で音威子府蕎麦、続いて有名な音威子府駅の駅蕎麦と食べ歩きツアーを楽しんだようだ。

「しかし、ユウコさんて機転が利きますよね。クルマの中でPCを広げ、俺の帰りの交通手段まで調べてくれました。旭川までは電車、そして旭川から上富良野の道楽館までならバスが便利と教えてもらって」
『へえ〜、それは凄い。俺はそこまで気がまわらず上富良野駅からここまで、真冬に2時間かけて歩いたことがあったよ』
 なんて話していると今夜の料理が運ばれてきた。
 おー「ローストポーク」だ。ダッチオーブンで仕上げたこの逸品、一度食べてみたかったんだよね。

 少人数だと割高になるのだが、お客さん満杯の本日だからこそ口にできたと思う。

 味もこんがりとこげて、ポークの香ばしい匂いが口の中に広がっていくような気がしてとても美味しい。バクバクと平らげた。
 ビール、グランブルー、珈琲酎と酒もガンガン煽ったら、心地よく酔って候。

 ふとテーブルの奥を見るとなおさんもテーブル席へ腰かけていた。
『よお、なおさん飲んでる?』
 と訊くと、
「キタノさん、あなた飲み過ぎてない?」
 何気に軽くご説教!

 隣に座っているおタカさんへ
『何年か前の冬にここへキタノさんがやって来た時、毎晩、ソットーさんとベロベロになるまで飲んで酷かったのよ』
 秘密をばらしたらいかん?
『そ、そんな本当のことをはっきり言わなくても』
 俺はうろたえながら答えた。

 なおさんが、
「実はいろいろと・・・・・」
 今まで見せたことがないような真摯な目で呟いた。詳しくは書けないが、そうだったのか。
『でも俺は、それが一番よかったと思うよ』
 なおさんは静かに微笑んだ。正直、その姿がとても綺麗だと思った。

 やはり1年も経つと人にはいろいろな変遷があることを実感した。

 そしてほどほどの時間になり、屋内へ移動する。
 すると・・・

 TS125乗りのyasupaさんが、大量の牡蠣を差し入れてくださったそうで、酒蒸しをご馳走になる。この牡蠣の美味しいのなんのって。なんとリッチな晩餐なのだろう。yasupaさん、本当にご馳走になりありがとうございました。

 後日、yasupaさんは、実に熱心な永久ライダー読者となり、丁寧に当サイトをご覧いただいている。
 とにかく、この夜も酒を浴びるほど飲んだ。

 ともさんもガンガンに酒を飲み、珍しくかなり酔っていた。

「キタノさん、俺に息子が出来たら、一機と名づけようと思うんですよ」
 ともさんが呟く。
『ゲッ、まじっスか。そんな名前にしたらヨッパライダーでエロオヤジになっちゃうよ。第一、ヨーコさんが納得しないと思うよ』
「いや、俺は決めました」
 ともさんは本当に決めたのだろうか?酔った勢いなのか?

 そしてまわりのライダーへ
「永久ライダーって知ってますか?」
 ともさんは訊いていた。

 うちのサイトは、ごく一部の北海道好きな皆さんに楽しんでもらえればいいんで、そんなに誰も彼もがご存知のワケはない。

 と思ったら・・・

「知ってますよ。普通、北海道ツーリングをするなら、みんな永久ライダー読んでいるでしょ」

「永久ライダー読んでから、バイクを買って北海道に来ようと思いました」

「4年ぐらい前に釧路湿原の細岡展望台で、永久ライダーさんの後姿を見かけました」

「永久ライダーを読んで珈琲酎にハマりました」

「永久ライダーはホームページの印象と実物が違い過ぎますね」

「永久ライダーを見て道楽館に泊りたくなりました」

 ゲッ!皆さん、まじっスか?

 本当にありがたいことだが、これじゃあ、絶対にヘンなこと書けないじゃん。これからは慎ましく、チマチマと読み物を描いていきます。

 なんて、そんなことは俺には不可能だ。
 ただ、少しは謙虚な姿勢で読み物を描いていこうと思うなり。

 ともさんは、にこにこと笑っていた。

「キタノさん、明日はどうされるんですか」
 同じく明日移動するともさんが訊いてきた。
『う〜ん、天気が悪そうだし、札幌でビジホに泊って久々に街へ繰り出そうかな』
 と応えると・・・

画像:ともさん提供
「ダメですよ。キタノさんは永久ライダーなんだから、どういう条件でもキャンプしないと」
 ともさんも永久ライダー・イコール・キャンプツーリングのイメージがしっかりと脳裏に刻まれているらしい。
『もちろん冗談だよ。日本海側に出て鏡沼海浜公園キャンプ場へ向かうつもりだ』
 ともさんはホッとした様子で頷き、

 そして・・・ 
 ついに撃沈。

 ともさんも相当疲れが溜まっているのだろう。

 その後もくっしーさん、小坊主さん、emiさん、チャッキーさん、yasupaさんたちと楽しく宴は続くのであるが、今宵のキタノの記憶も尽きた。

 ただ居間泊なので、皆さんが部屋へ引き上げた後、座布団を並べて就寝したらしい。
 翌朝は、なかなか起き上がれず、居間をゴロゴロと転げまわっていたようだ。頭が痛い。

「キタノさん、頑張って!」
 おタカさんの声に励まされ、ようやく目覚める。

 朝食は好物の鳥粥だった。梅粥もそうだが、鳥粥も二日酔いに実によく効く。もりもりといただいた。

 腹がパンパンで、ソットーさんに精算をしてもらった。

画像:ともさん提供
「居間割ということで、千円引きでね」

 居間割って、なんという粋なはからいだろう。俺は基本的にキャンパーなもんで、どこで寝ても一緒なんだが、凄いサービスをしてもらった気分だ。

 そして、外へ出てパッキングを済ます。

 どさくさまぎれにこの項冒頭の画像、おタカさんとのツーショットをともさんに撮ってもらう。

 すると・・・

「うまいことやってるなあ」
 ニヤリと笑うソットーさんと目が合い、テレパシーで言葉が伝わってきた。

「キタノさん、お世話になりました。10月のEOCで」
『こちらこそ!俺たちは生涯の旅仲間だぜよ!』
 ともさんと熱き抱擁をしながら画像を撮影(注:ちなみにキタノはモーホーではありません)

 皆さんへ礼を言い、キタノは馬上の人となる。

 気候は全道的に悪いらしい。つまりどこへ行っても雨みたい。

 それでも愛機ゼファーの吹き上がりがとても軽やかで、やがて俺の姿は点になる。 

熱き抱擁?
画像提供:ともさん



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