後記 無限軌道



和琴キャンプ場にて

   

 今年も北野の長編旅のストーリーを読んでいただきありがとうございました。

 例年通り、画像を眺めながらサクサクっと仕上げてしまうつもりでしたが、公務多忙と遠距離通勤の影響で平日の勤務後の更新作業には正直辛いものがありジレンマを感じていた次第です。頼みの週末まで休日出勤が続くはで泣きそうになっていたし。

 しかし、この夏の怒涛の連続キャンプで鍛え抜いた「北のサムライ」は負けません。毎日のUPは無理としても僅かな時間を見つけては下書きを作成し、一節でも書き上げようと奮闘努力の毎日でした。筆が乗ると寝食を忘れるタイプなので、妻から白眼視されたり夫婦喧嘩になったこともあるくらいです(笑)

 そんな渦中の中から誕生した北海道ツーリング2003「北のサムライ」なので、じっくりと旅の出来事や人間模様を描くことができ過去に類を見ない力作になったと自負しています。はっきり言って、実際の北海道ツーリング3回分くらいのエネルギーを消費してしまったと思います。作成期間実に2ヶ月以上。時間に換算すれば200時間以上は軽く突破している根性ものの長編旅のストーリーです。ちょっと濃過ぎて赤面するシーンもありますが、困難な中での制作ということに免じご容赦ください。

 さて天気。本当に雨ばかりで苦しかったですね。本編のなかでも書きましたが「過ぎ去りし過去は美しい」ものです。でも誰になんと言われようが、どんなに悪天候でもやるべきことはすべてやった。自分の置かれている立場のなかでは最大限に旅を昇華できたと思います。今はすべてを賭けて戦い抜いたサムライのような妙にすがすがしい気分がしています。

 昨年までの旅では天候が悪いと無理してまでは野営を決行しようと思いませんでしたが、今回は怒涛の14日間連続テント泊が命題でした。なぜこれほど野営にこだわったかというと、負けそうになっていた日常にロングツーリングを投影してみたかったのです。

 最初に明言しておいて途中で路線を変更してしまうような自分なら日常でもただのダメな男なんだろうと、つまり痩せ我慢してみたかったんですよ。男北野の意地です。よく言えばサムライの論理かもしれません。

 そして旅を終えて別人に変わった・・・

 なんて人間は単純な生き物ではありません。未だに日々疲れてます。しかしながら大きな自信、希望のような確かな手応えを掴んだことは断言できます。

 忙中に閑あり。今回の旅の後も僅かな休みがあればキャンプツーリングは続けています。来年以降は、もうこれほど連続して休暇が取れなくなる可能性が高いのですが、しぶとく野営にこだわりたいと思います。

 今回学んだことは結果よりも行動することです。大変だからといって何もしないで簡単に諦めるよりもとにかく行動してみる。多少のリスクがあっても体を張ってガンバってみようという気概です。まさか野営中に猛烈な台風に直撃されるなんてことまでは、まったく想定の範囲外の展開でしたけど。

 若者たち。70年代の「カニ族」全盛の頃の方々が年輩となり、北海道の旅に復活しているそうです。それはとても素晴らしいことだと思います。ただ中には「今の若い者の旅は綺麗過ぎる。ユースホステルを利用しない」とYHの談話室あたりで豪語している輩も存在するとか?

 それなら一度、道東や道北のキャンプ場を是非見学してもらいたいと思います。お世辞にも綺麗とは言い難いけど多くの心正しき若者が、元気に雨にも負けず風にも負けず真摯にテント泊を謳歌しています。そんな場面を目にして同じことを発言できたら北のサムライが月に代わってお仕置きよ(笑)

 ちなみに北野も若者です?いつまでもちょっとだけ歳をとった若者です。オヤジと呼ばれることを否定する永遠の若者です(爆)

 そしてこの旅ではあくまでも自力型のバイク旅にこだわるという野営好きな旅人諸氏との交流が特に印象に残りました。就中、若者たちの中にもキラ星のように永久ライダーの後進が育ってきていることも充分認識した次第です。

 最後に俺は、いつまでもキャンプツーリングを続けていきます。そう無限軌道の風に乗って・・・

 この旅の記録をご覧になってキャンプ旅に興味が湧いたという言う方はまずは行動されることをお薦めします。旅人北野はいつだって相談に乗りますよ。

 ご覧のすべての皆様へ・・・

 いい旅を!




記事 北野一機




男の背中(画像提供:ラッシャー)