GW2005
3
ワイワイ、ガヤガヤ・・・・・ 外は明るいが、まだ6時前後だろう。たくさんの人の話し声や足音で目覚める。ファミキャン軍団の喧騒が始まっていた。 結局、俺は寒さで熟睡することが出来ず何度も目覚めた。そして、意を決し、ふらふらしながら結露した参天から這い出した。 『うっ、日差しが眩しい』 でもそのわりに寒さが身に沁みた。 地面を見ると 『ガチガチに凍ってるよ〜』 |
テントのまわりの地面がまさに凍土と化していた。これは間違いなく昨年のマイナス4℃より気温が下がっていたに違いない。マイナス4℃で同じ装備で寝たときは楽勝だったのだが、そのときより倍以上は凍えた。最低気温マイナス10℃というところか? 俺はGWの裏磐梯でこれほど苦戦を強いられているというのに厳冬期に北海道をキャンプツーリングしているライダーって本当に超人に思えてくるのだが。 |
陽が高くなり、ようやく気温が上昇し始めた。俺はコットを外に出し、もう一度寝転んだ。するとすぐに眠りに落ちる。深夜から早朝にかけての寒さとの戦いで完全に睡眠不足だ。 どのぐらいウトウトしたろうか。俺の頬をなにかが舐めている。コロか?目を開けると愛犬のコロが居た。なぜ?おまえがここに。よく見るとコロと同じ柴系の雑種だ。ファミキャンが連れてきた犬なのだろう。俺の顔を見ながら猛烈に尾を振っていた。 |
「すいませ〜ん、うちのダイがご迷惑をかけちゃって」 隣のファミキャンのおかあさんが現れた。 『いや、俺は無類の犬好きなんで気にしないでください』 彼女はニコニコしながら「ダイ」を連れて行った。 そろそろ朝飯にするか。 |
取り出したのはスノピのホットサンドクッカー「トラメジーノ」だ。以前はキャンプの朝食といえば納豆とクッカー炊きしたご飯が俺の定番だったのだが、トラメジーノで焼くホットサンドの美味さにすっかりハマってしまった。 トーストにコンビーフとマヨネーズをたっぷり挟んでバーナーで暫し焼くとホクホクのホットサンドが焼きあがる。 |
パリッとした食感と加熱されたマヨネーズがいい味出してるし。 熱い珈琲を飲みながら、ホットサンドをむしゃむしゃ食べていると・・・ 尾を振りながら、またもダイくんがやってきた。 『おすわりするのよ』 どうも朝からファミキャンのおかあさんとしか話してないもんで、女言葉になっていたわ・・・ じゃなくて・・・ 『座れ!』 というと素直にダイは腰を降ろす。 『ようし、いい子だ』 俺はトーストを千切り、地面に落とした。するとダイはトーストは食べずに中身のコンビーフだけ飲み込んでいた。贅沢なヤツだと俺は苦笑いしているとまたもおかあさんが平謝りしながら現れダイを連れていった。 さて、出かけるか。昨夜、木炭を使い切ってしまったので、喜多方の街へ出て調達せねばなるまい。防寒着を着込んでマシンを暖機する。 そして売店でおばさんに連泊する旨を伝え、アクセルをあげた。 裏磐梯山中を縫うように走った。朝のR459は凛とした空気で冷え込んでいたが、交通量が少なく心地よいワイディングを楽しみながらクリアしていく。標高が下がるほど山桜の花が鮮やかに咲き乱れてきて、グングンと気温も上がってくるのも体感できる。 『暑い・・・』 喜多方市街に入ると冬から一気に夏になった気がするくらいの陽気になった。道路わきにマシンを停め、サッとジーンズ生地のジャンパーへ着替え、また走りだす。とにかくマメに停まってマメに着替えて体温調節をする。気温・気候変動の激しい北海道ツーリングで自然に身についてしまった。 暫く走るとホームセンター発見。ゼファーは孤を描くように右折し、駐車場へ入った。しかし、このジャンパーでも暑いのでTシャツ姿になり店内へ入った。 |
『えーと炭はと・・・』 暫く物色しているとあった。 3キロ195円也。 195円?いくらなんでも安過ぎねえかい。まあ、でも有難く購入しよう。安ければいいという俺の安易な考えが、後々、悲惨な展開をまねく結果になろうとは、このときは知るよしもない。 |
その後、ヨークベニマル(スーパー)で今夜の食材や酒を手に入れるなどしながら、喜多方市内を走り回る。 せっかく喜多方まで来たんなら、やっぱり「喜多方ラーメン」だな。今日は美味しい店の新規開拓でもするか。ふと目に入った店なんだが確かチャーシュー麺が美味いと雑誌で読んだ記憶がある。ここ(店名は伏せておく)にしよう。 |
店に入ると開店したばかりらしく、まだお客が誰も居ない。三瓶ちゃんのような店員にチャーシュー麺をオーダーした。 その頃から、お客が次々と来店し始めてきた。そして満席に。 ようやくチャーシュー麺が運ばれてきた。ツウはまずスープからだ。美味いんだけど・・・ |
なんか変・・・ いい味出してんだけどなあ。でもなあ・・・ スープがぬる過ぎる・・・ 職場でとる出前のラーメンより遥かにぬるい。せっかくいい味出してるし、チャーシューもまあまあだが台無しだ。店の人はこの事実を知って客に出しているのか?スープが熱くないラーメンはラーメンじゃない(北野談) 930円の価値なし。がっかりしながら店を出た。 R459へ戻り、裏磐梯に向けてワイディングを走るとソロや団体のツーリングライダーがほとんど鈴なりになって走っていた。今日は絶好のツーリング日和だ。 ラピスパ裏磐梯が見えてきたので温泉に入ることにする。ここは以前、735円も入浴料をとるので暫く敬遠していたが、525円(税込み)に値下げされていた。この事実を昨年秋の裏磐梯EOCの帰りがけに知り利用を再開したのだ。 まったりと温泉に浸かり休憩室でごろんと横になるとすぐに爆睡・・・ 夕刻、尋常じゃない騒ぎで目覚める。GWなもので家族連れで、いつの間にかごったがえしていたのだ。ママキャンに戻ろう。 マシンに跨り、アクセルをあげると気温がかなり低下していた。 裏磐梯の陽がゆっくりと大きく西の方角へと沈んでいく。 |