GW2005




「うっ、ダルイ。体の節々が痛い。もの凄い倦怠感」
 これはまさに昨年夏の北海道ツーリング前半と同じ症状だ。

 考えてみれば2,3日前、TV映画を見ながら居間のソファーで朝方まで寝てしまった。それ以来調子が悪かった。そしてGW6連休の初日の朝に最悪の状態となった。

『はっくしょい〜』
 クシャミ、咳、鼻水、涙(つまり花粉症)・・・これらの症状も酷い。

 熱を測ったら
『よ・・・40℃超えてるし』
 ダメだ。フラフラする。布団に入っていよう。でも布団に入っても熟睡できない。なぜか仕事で重大なミスばかりする夢を何回も見てすぐに目を覚ます。

 ここまでが4月30日(土)の状況。

 5月1日(日)夜も高熱は続く。38℃台後半。
『こりゃ、今年のGWは療養生活で消えるな』
 大河ドラマ「義経」を見ながら俺は確信した。

 ところが一夜明けて5月2日(月)早朝は以外に気分が悪くない。むしろ気分がいい。体温を測ると平温の36℃台だ。行けるじゃん。
「あんた、その風邪声じゃ、ぶり返すに決まってるじゃないの」
 女房はガミガミ言い始まったが、俺は構わず作業開始。

 準備が整った。
『じゃあ、行って来る』
 俺は恐る恐る口にすると
「キャンプで凍死しちまえ・・・」
 凄まじい門出の言葉を頂戴し、出撃した。

 少し肌寒いが天気はいい。土湯峠を快走し「道の駅つちゆ」で小休止。GW中ということだけあって道の駅は混み合っていた。

 売店の通路では農作物やその加工品を売るコーナーが特設されていた。その加工品の中で梅干が気になった。実に美味そうだ。思わず手にとって見入ってしまった。

 すると売店のオヤジが
「お客さん、さすがにいいものに目をつけましたね」
 にやにやしながら声をかけてきた。
「この梅干はね。焼酎のお湯割りに最高なんですよ。だからこの時期を過ぎると飲み屋に買い占められて品切れになるんだよねえ」
 焼酎のお湯割りか。恐らく今夜の裏磐梯は冷え込むだろう。そんな中、まさに効力を発揮するのが焼酎のお湯割りだ。なんかオヤジの口の上手さにはめられている気がしないでもないが
『ワンパック、いや2カップくれ』
 ニコニコしているオヤジに千円を支払った。

 道の駅から土湯峠のピーク(土湯トンネル)付近を過ぎるとかなり気温が下がり始め、残雪が道路わきを覆うようになる。このあたり(箕輪スキー場付近)のパーキングで小休止し、画像を撮影する。箕輪はまだ冬だ。 
 猪苗代方面への長いくだりを通過すると農家の直売店が列をなして道路左脇に立ち並ぶ。

 その中の一軒。いつも立ち寄る「万作茶屋」前でマシンを停めた。

 いつもは名物「味噌焼きおにぎり」を購入するのだが、今回は「舞茸ご飯」が美味そうだ。けんちん汁と併せて購入。
 いや〜実に美味い。会津の農家の味だ。歯ごたえのある舞茸と熱いけんちん汁、最高の組み合わせといっても過言ではない。

 すっかり満腹となり、駐車場へ出た。するとあたりにスペースがあるのにわざわざ俺のマシンのまん前にバイクを停めている人がいる。ゼファーの両脇は乗用車に塞がれているので出れないじゃないか。袖ヶ浦ナンバーのオフ車だ。なんでこういう停め方をするんかなあ。嫌がらせ?勘ではバイク乗り同士、仲間なんだからというよくある甘え。話をするためのきっかけづくりというところかな(男じゃなく女にやれ。キモイ)。急ぐワケじゃないからいっか。俺はマシンに跨りながら煙草に火をつけた。

 実は先日、マジェスティにて通勤途中、トイレに行きたくなり、道の駅で慌てて用を済ましてマシンに戻ると荷物を満載にしたロードスポーツタイプの小型二輪へ乗った男がニヤニヤしながら近づいて来て
「旅ですか」
 と話しかけてきた。

 そんときはさすがの俺もムッときて
『通勤の途中だ。遅刻しそうなんだよ』
 つい声を荒げてしまった。見りゃわかるだろ?

『旅人なら少しは場の空気を読めよ』
 と心の底から思った・・・

 なんて考えながらボーっとしていると・・・

 バイク乗りではなさそうだが、かなり年輩のじいさんが
「この季節バイクだと気持ちいいだろう」
 と話しかけてきた。
『はい。でも寒いです』
 空を見ながら俺は応えた。
「やっぱり寒いだろう」
『?????』

 この会話・・・微妙にヘン?

 なんか文脈がヘンじゃない。でも春だし、いっか。
「この連休、県内全部まわってるのか」
 多分、荷物の多さが基準になっているのか。県内一周という想定外の質問だ。
『いえ、裏磐梯にこれから向かいます』
「そうか、そうか」
 とじいさんが得心顔で頷いている頃、
「すいません。バイク邪魔でしたね」
 ようやく俺の眼の前へ停めたオフ車乗りの小柄なおっさんが現れた。
「凄い、重装備ですね」
 恐らく俺自身の旅のなかで、最大の過積載になっているのは間違いない。
『はあ・・・』
 なんで俺のバイクの眼の前に考えられない駐車をしたのかを聴きたい側面もあったが、病みあがりで応えるのが面倒な状況にもあるもんでつれない返事をしてしまった。それでバイク乗り同士の連帯感のある旅の話題を期待して進路妨害までしたオヤジは完全に失望して
「じゃ、失礼します」
 サッと消えてしまうのであった・・・想像に難い出来事を想像して書いているので支離滅裂になって来たぞ。つまり俺はバイク乗りである前に旅人なのだ(余計分からなくなりそうか)

 とにかく俺も先刻のじいさんに手を振って出発だ。

 あれ?どうでもいい出来事をつらつらと書いているうちに第1話が終わりだよ。なんかキャストがオヤジ(俺も含めてだが)ばっかりなんだよな。文章に切れ味がない。盛り上がりもねえなあ。

 でも福島ってさ。なんか全国的に見て微妙に半音階ずれてねえか。そのアバウトさがまたいいんだけんどない?

 まあ、俺自身も心身共に半音階、いやそれ以上にずれていると思う。

 つまり病みあがり当初の自分に感情移入して描くとこういう展開になる。次章からは徹底的に極寒のキャンプ旅の模様を描写していく所存。

 押忍!




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