2004.12.22 〜 2005.1.3


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 さて「かみふらの道楽館」といえば、なんといっても美味しいダッチオーブン料理でその名を馳せている。またダッチオーブン料理をメインとする宿は日本全国ここ以外には存在しない。今回はより具体的にオーナー・ソットー氏よりレシピを伝授していただいた。

 今夜のメインは「スタッフド・チキン」だ。チキンからこぼれ出る濃厚なこぼれ汁が野菜に沁みて、また野菜からのダシがお肉にもからむという相乗効果が絶妙な味のバランスを引き出しているようだ。

 材料は、丸鶏1羽、小ぶりの玉ネギ3〜4個、ジャガイモ4個、ニンジン2本、ニンニク4片、オリーブオイル適宜、クレージーソルト(大きなスーパーなら置いてあると思う。素材の旨さをひきだし、料理がなんでも美味しくなってしまう魔法の調味料)。

 丸鳥の腹の詰め物は、パンの耳200グラム。とろけるチーズ、乾燥バジル、ケチャップ等で味をつけオリーブオイルを加えてよく練る。

 この詰め物までは意外に火が通らないので、そのままでも美味しく食べれるようにするのがポイントだ。実際に試食させていただいたが、ビールのつまみにぴったりという感じがした。
 丸鳥はよく洗い、羽と血をきれいに流す。その後、水気は極力とっておく。水気がとれた丸鳥にクレージーソルトを表面はもちろん内部までかなり大胆にまぶし、30分ほど寝かす。

 下味のついた丸鳥の首を爪楊枝で閉じ、詰め物をお尻の部分から押し込んで、ここも爪楊枝で閉じる。そして全体にオリーブオイル丁寧に塗る。 
 ジャガイモ、ニンジンをたわしで洗う。ジャガイモは小ぶりならそのまま、ニンジンは3センチほどの長さで切る。どちらも皮はそのまま。玉ネギは皮を剥いて半分にきる。下部(ヘリ)の部分はそのままがよい。型崩れせずに済むので。
 ダッチをプレヒートし、オリーブオイルをたらしたら、ニンニクスライスを炒め、油に香りづけをする。丸鳥を腹からダッチに入れ、トングで回しながら焼き目を全体につけていく。そして鳥のまわりにニンジン、ジャガイモ、玉ネギの順に火の通りにくや野菜から押し込みフタをする。ニンジンって一番火の通りにくい野菜だったのか。このときまで知らなかった。
 弱火の下火、強火の上火で約1時間焼き上げると出来上がり。一番大きなジャガイモに箸が通ったらOK。出来上がる5分前にフタを少しだけずらし蒸気を逃がすと皮がパリッと焼きあがるそうだ。あと底が焦げるので金属製の落としブタを敷くと焦げないとか。味が薄い場合はダッチの底の煮汁やクレージーソルトで調整するといい。

 ソットーさんによると本に書かれたレシピは簡単な料理をわざわざ難しく表現したり、誤りが多いとのことだ。
 毎日のようにダッチオーブン料理をつくっているソットーさんの百戦錬磨ゆえの話だと思う。道楽館HPに掲載されているレシピの数の多さには本当に驚くばかりだ。とても分かりやすく解説されているので興味のある方はそちらをご覧になられるとよい。

 それにしてもスタッフド・チキン。どうでしょう。この美味しそうな仕上がり。ビールをガブガブ飲みながら。むしゃむしゃとチキンを頬張っていた。もちろん相変わらず絶妙の味だった。
 ソーセージや野菜などを煮込んだ「ポトフ」も登場。寒さで凍えた体が温まる料理だ。今宵はなんと豪華な夜なんだろう。

 俺は料理には詳しくないが、キャンプ旅と同じで創意工夫がいろいろな技を生むと確信している。

 ビールから「珈琲酎」へと切り替えた。心地よい酔いが全身にまわる。そして楽しい晩餐は遅くまで続いていく。

『ところで昨夜はどこに泊まったんだ』
 スーパーカブにスパイクタイヤ履かせて冬の北海道ツーリングをしているラッシャーに話しかけた。
「福山パーキングです」
『やっぱこの寒い中キャンプしてたの。ラーメン屋樹海苑の向かいのキャンプ場だったな』
 ソットーさんも驚いていた。
「はい。樹海苑のおばさんには親切にしてもらいました」
『あのおばちゃんは面倒見がいいからな』
 実際にライダーが立ち寄るとメロンやトマト。さらにコーヒーなどをサービスしてくれる。夏のオフキャンプでもキャンプ場?「福山パーキング」を勧められたこともある。
「でも次の日は声をかけられなかったんですよ」
『なんで?』

「凍死していると思われたようです」

『・・・・・・・・・』
 キタノ絶句。



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