人に疎いと妻から言われる近頃の筆者としては、どちらにしても苦手なシナリオだった。
マックでコーヒーだけ飲む計画を潔く断念し、近くのコーヒー専門店で好物のキリマンジャロをオーダーする。酸味の効いた味がなんともいえない。
ようやく時間になり、宿の送迎バスに無事回収してもらう。
それ〜
なんだか凄い勢いで、十勝川温泉へリターンした。
宿の今宵のメニューは、海鮮バーベキューをメインとした大変なボリュームだった。もう、ぼくは食傷を通り越して、過食症になったようだ。
腹がぱんぱんなので、ビールを飲む余力などない。佐々木譲の”警官の血”という小説を熟読しながら熱燗をちびりちびり飲んで22時にはベットに入った。
なんてリアルなタッチなんだろう。とてもフィクションとは思えないぐらいの臨場感に今宵もチキン肌が立った。伏線の数も半端じゃない。ひとつのなんでもないアクトが、後年にいくつも重大な繋がりを帯びてくるなど、まさに大河小説である。
窓の外からは、うなるような吹雪の声が聴こえた。