小樽運河



第3話



小樽にて



 少し寝坊。二日酔い気味でホテルの朝食バイキングを食べた。どうしてもバイキングだと食べ過ぎてしまう。というより、旅が始まって以来、食傷気味なのである。
 ホテルから見た札幌市内。部屋が15階なので、かなり眺望がよい。中島公園は凍っていた。

 ゆっくりとシャワーを浴びた。今日は、小樽へ行ってみよう。でも倉庫と運河の街をひとりで、ウロウロするのもなんだなあ。

 と、シャイなぼくは独りごつるのであった。
 札幌駅へ向かう。そしてJRで小樽へと。ところが、かなり手前の手稲駅止まりだった。

 寒空の中、連絡列車を待った。陽が射してくる。天気はよくなり気温も上昇してきた。

 再び3両編成の列車に乗ると小樽が見えてきた。小樽もずいぶん懐かしい。
 
   南小樽駅。

 なんだか大時代的な雰囲気が漂っており、思わずシャッターを切ってしまった。

 JRではなく、国鉄といわれていた頃が、そんなに遠い昔という気がしないのだが←そういう感覚が老化現象だと後日知った。 
 小樽駅を降り、運河まで、ゆっくりと散策しながら歩いた。なんだかあんまり人がいないとか思っていたら、小樽運河の撮影ポイント付近は、もの凄い人だかりであった。たくさんの観光客の皆さんは台湾からやってきたそうだ。

 観光ばかりか、なんと北方領土返還の署名までされていく方も多いとか。
 
   昼食は、花園の”うしお亭”。

 とても洗練された味だった。ネタの旨さをよく活かしているお寿司である。

 お値段も良識的だった。ぼくの地元では食べれない握りだと思う。
 時間も押し迫って来た頃、札幌へ踵を返した。

 かなり歩いたけど、夕食はパス。本当に食傷気味だ。軽くビールを飲み”JIN”の再放送に登場する龍馬の姿へ感動した。

 そして、いつの間にか今宵の記憶が消えていたんだぜよ。
 
  ぼくは、龍馬について思ったことがある。彼は確かに国事に奔走して後世に名を残した。でも、やっぱり明治政府の要職には就かなかった気がする。幕末の世の混迷が収まれば新天地北海道に移住したかった。

 龍馬の手紙、勝海舟の話、仲間たちの回想から、彼は間違いなく蝦夷地開拓を志している。

 そして龍馬を失った土佐坂本家は、一族全員十勝に移住した。

 後年、土佐坂本家のご子孫から、坂本直行という北の大地が誇る偉大な画家が登場し、六花亭パッケージのデザインを手がけたという事実は知る人ぞ知る。



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