第2話



札幌にて



 早朝に起床し、朝風呂に浸かった。天気はどんよりとしていて陽射しがない。朝食バイキングを食べたが重い。まだ天下一品を引きずっているのか。いや、近年の食の細さを如実に示しているのかも知れない。

 10時過ぎ、デッキに出てみると遠くに苫小牧の街が見えてきた。ガスで有珠山とかは見えないけど、なんだか胸が熱くなってきた。北のサムライが還ってきたぞ。

「キタノさんは、行く前に北海道を旅してくると宣言するから妨害を受けたりするんですよ。黙って旅行すればバレませんよ」
 という筆者に同情的な意見もあったが、ぼくは陰でこそこそやれるタイプじゃないし、なんにも悪いことをしてないもの。ストレートに年末年始という誰もが公然と休みをとれる時期に堂々と北の旅をするだけだ。

 下船の案内放送が流れ、苫小牧FTへ降りた。
 苫小牧FTから札幌へは北海道中央バスで向かった。天気は曇。時折、雪が舞い散る程度であった。約1時間50分ほどで、札幌市内中心部に入った。

 画像は、正真正銘、この旅で車窓から撮影した時計台である。しかし、札幌、雪が少ない。
 地下鉄南北線に乗り、すすきので降りた。なんとなく暖かい気もするが、それでも気温は零度しかない。”すみれ”すすきの店の看板を見つけたので、遅い昼食がてら入ってみた。オーダーしたのは、もちろん味噌ラーメンである。奥深い辛味噌の表面をラードが覆い、もう絶品だった。ただ筆者の舌は、濃い口仕様なんだが、それでもしょっぱいと感じたのだから、好みは分かれると思われる。  
 すすきのをふらふらしていても以前のようにしつこくポン引きから声をかけられなかった。なんだか条例で厳しく規制されているようだ。

 1回だけ、それらしいオッサンから、
「安くしておきますよ。どうですか?」
 って言われたけど、無視すると、ぞんがいあっさり引き下がった。

 それにぼくは、風俗方面にはまったく興味関心がない。

 まあ、筆者ほど母性本能を刺激しまくる男(あまりにもだらしなさ過ぎて?)になると逆に女性の方が、放っておけなくなると妻が溜息をつきながら申しておりました?

 すすきのから歩いて中島公園へ出た。今宵の宿は、ネット割引で格安プランのいつものホテルだ。なんとなくこの日に札幌入りするような記事をブログに書いた記憶がある。そして札幌のMSRさんから、一杯やりますかというコメントを頂戴した。MSRさんの携帯に連絡したところ、やはり、今朝ほどぼくのPCの方にEメールされたとのこと。彼は翌日仕事なのだが、酒につき合っていただけるそうだ。ありがとうございます。

 南7条あたりで待ち合わせした。

『お久しぶり』
「ずいぶん厚着ですね。顔がわからなかった」
 2年半ぶりに再会したMSRさんは、ネックガードで覆われたぼくの顔半分をみて噴き出していた。

 飲み屋さんの名は”チンパンジー”MSRさん行きつけの店らしい。なんでもマスターともずいぶん古いつき合いだそうだ。

筆者とMSR氏
 マスターとMSRさんの昔のエピソード、北海道の話、すすきのの飲食店の話、歴史関係の硬い話、いろいろな話題で、AM1:00ぐらいまで盛り上がる。あんまり遅いので、途中、KZKさん(奥さん)からTELあり。すいませんねえ。次回はステッカーを忘れずに持参します。
 出がけにマスターとも1枚。なんでも奄美大島出身だとのこと。南の島から北の大地へ移り住むとはなんとも劇的な人生でしょう。  
筆者とマスター
「キタノさんは、キャンプではいつもヨッパで倒れてばかりなのに大丈夫なんですか?」
 先ほど、携帯でKZKさんが心配されておられた。もう遅い時間だが、ぼくは大丈夫だ・・・

 と、思う?

 一応、念のため、ぼくが滞在しているホテルまで、MSRさんがタクシーで送ってくれました。すみませんねえ。

 お世話になりました。また会いましょう!



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