試練の房総半島ツーリング

2000.5.9 初回UP


常磐高速道SAにて

 5月4日 前日、手下の若者たちとのバーベキュー(私は炭奉行と呼ばれ焚き火のプロ)の最中、ヨッシーが房総半島へツーリングに行く話しをしていた。「俺も行けたら行くよ」と気のない返事をしたが確約した訳ではない。しかも安らかに寝坊。ヨッシーは私がこないものと思って早くに出発したことだろう。「行くべきか行かざるべきか」悩んだが、永久ライダーは悩んだら即行動するのだ。11:00遅れ馳せながら自宅を出発。

 時間を短縮するため途中から高速道路に乗る。一気に北茨城のパーキングエリアまで走った。ここからヨッシーに携帯電話で連絡をとる。やはりかなり先を走行していた。日立北インターで高速道路を降り、海岸線の道路に向かう。途中から雨が降り出してきた。気が滅入るがカッパに着替え気合いを入れて発進。

 大洗付近で雨があがってきた。鹿島町で時間の都合上海岸線を走り犬吠埼を目指すルートを断念。小見川町から千葉の山間部のルートをとる。千葉の山中は不気味なほど田舎なのね。決して嫌いなシチュエーションじゃないけど。干潟町、八日市場市、野栄町と慣れない土地を順調に走行し、九十九里海岸に到着。「やった外房だ」。蓮沼村にて携帯でヨッシーにTELすると野栄町にいるとのこと。海岸線の犬吠埼ルートから来たそうだ。どうやら間道を走るうちに彼を追い越してしまったらしい。ヨッシーの地図によると付近にNというキャンプ場があるそうなので引き返し合流する。携帯って便利なものだ。時間は18:00。

 Nオートキャンプ場に行ってみると「なんじゃこりゃ」、住宅地の中の空き地じゃないですか。しかもびっしりと家族連れらしいテントが並んでいる。管理棟と言ってもただの民家である。管理人に泊まれるか聞いたところ、「何とかする」そうだ。後から来たスクーターの若い男が料金を聞いたら1人5千円だって。途中、1泊2食付きで4千8百円の民宿の看板ゴロゴロあった。「高い」とクレームつけたら、「トイレもお風呂も管理棟にあるから安いよ」と管理人の細君が言っていた。テントサイトに電気・ガスの設備もないオートキャンプ場なんて認めないよ。しかもお風呂は別料金じゃないですか。コンコンチキめ!我々は、バーベキューもせずにただ寝るだけの旅の途中なのだよ。3千にまけると言われたけどお断りして撤収。とんでもオートキャンプ場だ!

 と言っても何のあてもない。するとヨッシーが、ここからさらに戻るけど飯岡町の海水浴場にいい場所があると言うではないですか。来る途中チェックして来たようだ。さすがキタノの従者、成長したなあ〜

 迷わず飯岡町向かった。


 飯岡に到着すると既に2・3テントが張ってあったがガラガラだった。時間は19:00で周囲が暗くなっている。一応、隣のキャンパーに挨拶して手早くテント設営。道路を挟んで向かい側にコンビニがあるのがうれしい。コンビニで食料及びアルコールを購入し、星を見ながら酒を飲んだ。この雰囲気昨夏の北海道以来じゃないですか。懐かしい。ヨッシーは「寒い」と言ってガタガタ震えている。この時期のキャンプの夜は、いくら房総とはいえ外は冷え込むものである。若い頃から充分過ぎるくらい苦い体験をしているので覚悟の上だ。だから俺は寒さが気にならない。というより酔っぱらっているからかも知れないけど。(爆)キャンプツーリングに夜更かしは禁物。10:30には寝袋にもぐり込み爆睡した。

本日の走行305キロ

 5月5日 5:00に起床する。子供の日なのに倅には何もしてやれなかったので心が痛む。ヨッシーはまだ安らかに眠っているようだ。コンビニでコーヒーを飲んで写真を撮る。テントを撤収し終わる頃、やっとヨッシーが起きてきた。ゴミとか丁寧に拾い、訪れる前よりもきれいにして6:00出発。半島の突端「州崎」を目指す。 

 早朝で天気もよく交通量が少ないので快適である。景色も美しい。白子浜で休憩をとっていると老人が話しかけてきた。この付近に別荘を持っているとか。GW中は動かず、連休明けから東北方面へ旅に出るとのこと。既に退職して悠々自適の身らしい。昨夜は海岸でテントを張って寝たと言ったら驚いていた。昔は外房の海岸の治安が悪くて、そんなこと考えられなかったと言っていた。

 8:00 小湊ウオポート到着。海の幸の朝ご飯でも食べようと思っていたのに物産館には魚介類やその加工品などしか置いてなかった。悔しいから試食品の瓶詰め、ガンガン食いまくったら腹一杯になった。従業員に怒られそうな雰囲気なので撤収。あっ何も買ってなかった。しばらく走ると大きなドライブインがあり、そこでも焼き魚の試食があるじゃないですか。もちろんゴチになります。何も買ってないのにマジで満腹っス。ヨッシーは、かなり呆れていたようだが永久ライダーは体裁にこだわらないのだ。ドライブインから国道に出ようとするとヨッシーのDSの前輪がスリップしてZEP後部に衝突。被害は無かったが集中力に欠けるヨッシーである。

 しばらく走り、道の駅オーシャンパークに入る。綺麗な施設だった。千葉の地ビールが販売されていて飲みたいと思ったが瓶だけ撮影して我慢した?その後快調に州崎を目指す。アウトライダーに出ていた根元キャンプ場はついに発見できなかった。フラワーパークで菜の花ソフトクリームを食べた。「美味い」、俺はヨッパライダーだから甘いものに弱いけど少年のようにアイスクリーム系だけは大好きなのだ。時間は12時を過ぎている。釣り船営業も兼ねる魚料理屋で刺身定食をオーダーする。鯵のタタキ・サシミ等、なかなかのものだった。

 いい天気でボーっと走っていると房総半島の突端「州崎」を通り過ぎてしまった。なんの変哲もない岬だったらしく見落としたようだ。このあたりにくるとさらに景色がよくなる。美しい海の色、点在する岩礁、いいところじゃないですか。気候も温暖だし。知り合いの年輩の方からこの当たりに移り住んだという手紙をいただいたが、なるほどと思った。内房に入っても順調に景色を堪能しなが走行した。

 あんまり景色がよいのでバイクを停めて海岸を撮影した。今度はゆっくり来てみたいなあ。ところが館山を過ぎ、富浦に入ると大渋滞、道が狭いので得意のすり抜けが出来ない。ヨッシーもイライラきているようなので山間部の道へ入った。ウソのように空いている。ローリングを楽しみながら1時間くらい走るとまた渋滞。すり抜け開始、いったいいつまで渋滞が続くんだと思うくらい混んでいた。原因は、おっさん同士の接触事故、「接触1回迷惑千台」。やっと渋滞を抜け成田を目指す。それにしてもこの渋滞でかなり時間を浪費してしまった。

 成田に到着したのは18:00頃。しかも標識が分かり難く、迷ったかも。ヨッシーが自暴自棄になりかけていたが、ミニストップの店長などのご協力で、何となく分かりかけてきた。俺もゆっくり地図帳を見直すとおおよその位置感覚がつかめた。ようやく成田を抜け、さらに2時間やっと高速道路のインターに到着。ここまで来れば大丈夫。ところがむしろここからが地獄なのだ。

 SAで夕食をとった。20:00を過ぎている。今朝6:00からバイクに乗ってるんだよな。いったい何時間乗ってるのだ。夜になり急に冷え込んで来た。寒い。我慢して出発。私はあまり夜目が効かないので夜の長時間走行は避けている。仕方ない。まさか俺より目の悪いヨッシーを先に走らせるワケには行かない。ライトはできるだけ遠目で使用したが見えないと言うのは本当に恐怖だった。体の冷え方も半端じゃない。耐えきれず次のSAでカッパを着込んだ。かなり楽になったが、体のあちこちが痛くなってきた。試練だ。

 高速道路を降りたのは11:00過ぎ、ここからまた数10キロ走らないと帰れないのかと思うと気が滅入る。ミニストップで熱い緑茶を飲んだ。冷えた体が内側から暖まるようだ。うまい。途中、ヨッシーと別れ、最後の力をふりしぼって自宅到着。12:30、と言うことは1泊3日ではないか。こんなハードなツーリング、最初で最後にしたい。

本日の走行 610キロ

総走行距離 915キロ




記事 北野一機