和式ナイフ







レッドオルカ”霧隠”剣鉈1尺甲伏せ造り山秀限定モデル

 なかなか手に入らないレッドオルカの甲伏せ造り、しかも1尺の大業物をラッキーなことに入手できました。尺ものだけあり、ずしりとくる持ち応えだが、通常の角鉈のような重みは不思議と感じない。長時間の藪漕ぎや伐採作業でも有効であろう。これは見事だ。刃紋の霧状がなにより美しい。それだけでなく、山行で実用にもがんがん投入してもらいたいというような激しい主張が滲み出ている。耐久性、切れ味も申し分のないマニア垂涎の一振りである。甲伏せ造りとは、日本刀と同じ製法で、かなり高度な技術力と熟練の経験がないと造れないそうだ。基本的に和式ナイフは、一本一本手造りなので、それなりのプライスになる。ましてや甲伏せ造りとなるとかなり高額だ。興味のある方は、ネットで検索されてみてください。刀剣趣味の筆者ではありますが、”霧隠”をもって生涯最強最後の愛刀とする所存です。ちなみに群馬のランボーさんのレッドオルカ土田モデルにもかなり魅かれたけど、僕はやはり磨きの剣鉈が好みなので、”霧隠”を選択した次第なんですよ。
キタノモデル

 うちの土佐打ち剣鉈磨き8寸”無銘”を研ぎに出した。ひと月後、ようやく仕上がったので回収に行った際に店主から、この剣鉈は刃のバランスが悪すぎる。そのまま使用すると危険なので修正した。つまり、剣先を5ミリほど詰めたそうな。さらに磨きに残る白い刃紋はかっこいいんで、できれば残してほしいと依頼したのだが、この霧状の白いものは刃紋ではなく吹き付けた白い飾りなので意味がないそうだ。続いて、刀身全体に残っていたコーティングも綺麗に落としてもらった。それでも重さで薪をたたき割る通常の角鉈ではないのだから、激しい使用は控えて欲しいそうだ。ふ〜ん、なんだか問題だらけだけど、すぱすぱに切れる和式ナイフに仕上がっているではないか。なにより、がんがん使うにはもったいないぐらい妖艶な輝きを放っている。無銘だけど、非公式に名づけよう。土佐剣鉈『キタノモデル』と。
  土佐海宴刀”京紫”

 まあ、和式ナイフ(渓流刀)です。アウトドアにふさわしいというのが、売りなんだが使用するのがもったいないぐらい美しい。

 後に専門店に砥ぎに出したら、驚異の切れ味となる。
狩猟用土佐剣鉈”無銘”磨き上げ八寸

 表面は磨き仕上げである。狩猟では刺したときに抜けやすいように磨き仕上げが適しているそうだ。刃先の背側(持ったときにくる側)にも刃のような角度をつけているため、刺したときスムーズなくい込みが得られる。高い硬度を誇る、安来鋼の白紙が使用されており、切れ味に定評があるらしい。東北だと熊対策に山中へ持参する方も多いようだ。
 
   実際に筆者が山行に携行し、藪漕ぎで抜群の威力を発揮した。ただ、八寸だと長時間の登山だと流石に重さが負担になった。七寸、いや六寸ぐらいがロングな山行には適しているやもと思う。 

 新撰組局長・近藤勇が使用していた真剣”虎鉄”は、本物の虎鉄ではなく実は無銘だった。無銘ながらも、その抜群の威力は本物の虎鉄を凌駕するものがあったという。この無銘の土佐剣鉈も飾り気はなく地味だが、まさに実戦主義の無言の迫力が漂う。 
影法師300

 日本刀を意識して制作されたという一尺・和式ナイフです。伝統工芸士・佐治武士作だ。和式ナイフの世界では凄い人気である。もしかしたら第一人者?ダマスカス紋様、白紙多層鋼というツクリが美しい。ただね、切れ味はレッドオルカに遙かに劣ると思った。砥げば問題ないレベルだが。
 
   実戦のレッドオルカ・・・

 繊細美の影法師といったところか・・・

 なんて悦にひたっていたら、こんなにはものばかり集めてどうするのって家人に怒鳴られる。
銀龍270

 すっかり、和式ナイフファンになった筆者の手元に秋友義彦(レッドオルカ)作、”銀龍”9寸がある。この美しさの素晴らしいのなんのって。切れ味も抜群だ。
 
   やはり実戦で使用するのがもったいない。けど、山中で熊に襲われる場面を想定すると必要不可欠かなと?また、長さのわりには剣鉈の重量が軽くて、ぶんぶん振り回しても苦にならない。

 刀身全体が清冽に磨き上げられており、滲み出るような圧倒的な迫力が見る者を魅了する。まさに9寸ものの大業物だ。あたかも銀色の龍が天に向かって駆けあがっていくが如し。
叉鬼山刀(マタギナガサ) 片刃7寸

 実際に叉鬼が山中で使用するという万能型小刀。枝を払い、藪を切り開き、薪も割る。猟で仕留めた動物の解体、また山中での包丁代わりに調理もできる。使っては研いでを繰り返すうちに真の刃が現れ、さらに切れ味が増すといわれる。画像は、僕が所有する「木の柄ナガサ」。柄が刀身と一体となり、筒状になった部分に棒を差し込み手槍にできるものが「フクロナガサ」と呼ばれる。これで熊を仕留めるとか。
フィッシングナイフ シースナイフ300

 「これ1本で、荒い作業から繊細な作業までこなせる」がキャッチフレーズだ。ステンレス製だが、よく研ぎが入っている。確かにいい切れ味だが、鉈ではないので薪割とかは無理だ。ナイフショップが香港から輸入したものらしい。現在は取り扱ってない。なんとなく昔の着剣ぽいところが気に入っている。
肥後の守

 青紙割込、肥後の守特大、永尾駒製作所製の逸品です。とはいっても肥後の守は鉛筆気削りの道具として広まった。ところが1950年代ぐらいに子供に刃物を持たせるなという機運やカッターナイフの普及とともに衰退していく。近年は、中高年の男性から結構支持され、密かなブームになっているようです。和式ナイフなんで、手入れとか大変そうですが、ある程度砥ぎの知識さえあれば長く使えるらしい。軽量コンパクトだし、コスパも優れているので、アウトドアをやる人なら料理、切断など用途は広いと思われる。就中、切れ味が鋭い。
 
  鬼神270

 関兼常作 狩猟刀”鬼神”である。筆者が初めて手に入れた和式ナイフだ。数百年にわたって、マタギに重用されてきた伝統の狩猟刀に現代の技と知恵を加えて造り出された業物だ。日立安来鋼青紙2号を折り返しながら、丹念に鍛えた31層のダマスカス紋様が異様に美しい。しかも、この剣鉈の切れ味も秀逸だ。まさに実戦向けの和式ナイフである。 
京紫を磨きに出してみた

 マニュアルにはいろいろ書かれていたけど、実は切れ味がイマイチだと思ったので刃物の専門店へ研ぎ出したら、グレーゾーンである中間の灰色の研がれてない部分にも磨きがかかり、ピカピカな仕上がりとなった。この異様な輝きをごらんいただけますか。さらに切れ味の素晴らしさ。裏面の輝きも白眉だった。こうなると、京紫の切れ味は素晴らしいものとなる。段ボール等、スパスパと両断してしまう。刃物店からの注意書きでは、鋭利な刃付けをしてあるので、使い始めは硬い物は避け刃慣らししながら使ってもらいたいとのこと。そうしないと刃が欠けたり、切れ味が著しく落ちたりするらしい。
 





2013初冬の安達太良山中(沼尻ルート)にて
腰の剣は勿論”京紫”



ナイフについて(2012以前の記録)







 いつの間にか和式ナイフマニアになってしまった。

 一番手前から、正義作”山鉈7寸”。野営、登山などで非常に実用的だと思うし、片刃の切れ味は出刃包丁、いや日本刀のような感覚である。

 通常の剣鉈より、重心が前になっているので、普通の角鉈に限りなく近い。したがって薪割りにも有効だ。

 重さが気になるという意見があるが、筆者が腰に差した感じでは、それほど不自由ではないと思った。東北の山深い場所で生活する”マタギ”の刀に近いといわれる。
 
   葉人「正義」。値段もリーズナブルなので大人気の一振りだ。ただ、筆者が最後の1本を取り寄せてしまったので、当面、再販売はないかと思われる。実際に枝払い作業で使用してみた。破壊力、切れ味共申し分なし。
 手前2本目は、先日、当ブログで紹介した関兼常”鬼神9寸”の剣鉈だ。

 31層がおりなすダマスカスの刃紋が美しい。もちろん髭も剃れるほどの抜群の切れ味なのだが、使うのがもったいない。高価だし、ほとんど芸術品の域に達しているもので。
 
 正義も鬼神も一撃で猪のとどめを刺すぐらいの業物である。

 手前3本目は、メイドイン・ブルガリアのアーミーナイフで山行の藪払いにちょうどよい。
’99年の北海道ツーリングに同行したヨッシーくんから頂戴したものだ。

 4本目は、小さいながらも土佐打ちの和式ナイフ、小型の鉈で細かい作業になかなか重宝。目釘もしっかりしていて頑丈だ。先日、砥ぎを入れてみたら、カッターナイフのような鋭い切れになる。

 最後の5本目は、ホムセンで売っている通常のサバイバルナイフだ。和式ナイフと違ってそれほど手入れは要らないが、それなりのことしかできない。当然ながら鱒の鱗はぎとか無理だった。
   料理に関しては、包丁に優るものはございません。できれば鞘がついていると安全かな。画像は野営用のマイ包丁。ちなみにキャプテンスタッグからお手頃プライスで取り寄せました。 
 最後に我々バイク乗りは、バイクを見れば人柄がわかるといわれています。

 同じようにナイフを見れば人柄がわかると、なにかに書いてあった記憶があります。

 そして、密かに風呂場でナイフを砥いでいる筆者の姿は、家人から相当怪しいと思われているらしい?




    HOME