北海道ツーリング2007















 夕食は、まず手羽先をいただく。いや本当にビールのツマミに最高だと思った。

 今夜、お泊りの”でぬりん”さんと楽しく歓談しながら、もりもりと食べた。彼は遠く香川県からいらしたそうだ。北海道は、もう10数年連続で旅しているというベテランライダーさんで、登山もするとか。また、なんとうちのサイトの読者”えぼらぁ〜”さんともネット上で懇意にされているらしい。世の中は狭い。
 茹で立てのポテトへバターとタラコや塩辛を乗せて食べる料理を初めて食べたが、これが実に美味しい。ばくばくと食べた。

 その他、コーンスープや生で食べれるトウキビ、野菜サラダなどを次々に口に運んでいると、もう本当に腹一杯となる。

 ところで、でぬりんさんもHPをお持ちということで、後日、めでたく相互リンクが成立した。
 でぬりんさんは、早朝から活動していた。どうやら美瑛の”青い池”まで行ったらしい。実は俺もここが気になって仕方がなかった。TMにも出てないし。

 ということで、今日は青い池を見るのみということで、連泊決定。なんだか野営が面倒になってきた。でも明日からは、なにがあってもキャンプ生活に戻ろうとひとりごちながら、白金温泉方面へ愛機を走らせる。
 天気は始めのうちは曇りがちだったが、次第に日差しが強くなり、かなり暑くなってきた。

 ”青い池”、観光地ではない。農業用の貯水池らしく、場所を公表するのはネット上で自粛したい。暫し、迷ったが、どうにか辿り着く。

 不思議な池だった。

 人工物なんだが、そのエメラルド色というか、森の中に蒼の基調がとても冴え、暫し見とれてしまう。

 昼食は、美瑛の街の中で、”美瑛カレーうどん”を賞味した。なんでも小麦粉やら野菜やら、できる限り地元美瑛の素材にこだわったとメニューに記されていた。まさに地産地消。
 味もまあまあかなあ。スープカレーの匂いが香ばしいし、手打ちうどんの食感がこりこりして美味しい。

 食事を終えて外に出ると、この旅初めての灼熱の太陽がうだるように燃えあがっていた。

 だが、夕刻、道楽館に戻ってくつろいでいると、いきなり雷が鳴り、怒涛のような夕立となる。やはり。 
 俺は、今日で北海道に上陸して何日目だろう?雨が降らなかった日は一度たりともない。まさに最強の雨男なのかも知れん?

 そして、今宵の夕食もご馳走の数々が並ぶ。なんだか旅に出て、むくむくと肥えたような気がしないでもない?

 お客さんの面々は、ウニパパさんご夫妻、BM氏、Iさんである。
 もちろん、皆さん初対面なのだが、ウニパパさんやBM氏は、永久ライダーサイトの読者で俺の姿を見てすぐにキタノと看破したそうだ。読んでくださりありがとうございます。またウニパパさんは、昨年、利尻島の北麓野営場で俺を見かけたとのこと。

 ジムニーで旅するIさんは、ジャーナリスト。口数こそ少ないが終始穏やかな笑顔を絶やさないとても素敵な方だ。まさに銀幕の中の女優さんのように。

Iさん
 なんだか今夜はアルピニストの方ばかり。摩周岳はまだ登ってない。というより、この旅で是非踏破しておきたい山なので、BMさんから、いろいろ情報を提供いただく。

 ”灼熱の摩周岳”、後日、キタノがえらい目に遭うことなど、この時は知るよしもない。

画像:ウニパパさん提供
 さて、俺も出発するか。

 皆さんにご挨拶をし、超過積載のゼファーイレブンのスロットルをあげた。エンジンは絶好調である。

 バックミラーで、ソットーさんたちの顔を確認し、左手を挙げて動き出す。

 あっ、そうそう。ウニパパさん、美味しい利尻のウニと画像の提供、ごっちゃんでした。
 曇天の中、延々と花人街道を北上していく。道路脇には水溜りが点在していた。気温が高いというより、やっぱり蒸し暑い。

 旭川に入ると”三浦綾子記念文学館”の看板が見えたので寄ってみることにした。そういえば、このあたり(神楽地区)は小説『氷点』ゆかりの地だ。
 デビュー作「氷点」の舞台でもある外国樹種見本林というすぐれた景観の地に文学館は建っていた。入場料は500円、館内での撮影は禁止とのこと。

 内部は、”三浦文学のすべて”、”作家への道のり”、”『氷点』の世界”など5つの部屋に分かれていた。
 三浦さんは、結核脊椎カリエス心臓発作帯状疱疹直腸癌パーキンソン病など度重なる病魔に苦しみながら、クリスチャン(プロテスタント)としての信仰に根ざした著作を次々と発表。特に『氷点』は71万部の売上を達成する大ベストセラーとなり、映画化されたり、何度もドラマ化されている。ちなみに日テレの「笑点」は『氷点』から題名がついたようだ(Wikipediaより一部引用)

 しかし、あの小説の人間模様、いや、そんなもんじゃない。人間の心の奥底に潜在する無意識からのナニカ(原罪)が次々と信じられない展開を生んでいく。原罪は信仰のみによって救われるというキリスト教の考えなのだが、本当に愛憎渦巻く恐るべき力作だと思う。

 実は個人的には『塩狩峠』の方が衝撃的だった。和寒の塩狩峠で連結器が外れた客車が後退を始めた。結納へ向かうために、たまたま乗り合わせた鉄道職員がとっさの判断で線路に身を投げ出し、自らの体で列車を止めた。主人公は殉職するが多くの乗客の命を救ったという実話をもとにした作品だ。

 休憩室?で映画『塩狩峠』が放映されていたので、思わず見入ってしまう。

 うっ!

 エンディングで、目が噴水状態になりそう。俺は逃げるように退館する。

 見本林は、小説の朗読の声が聴こえるように清冽な風が舞い、昭和の優しい匂いが凛として漂っていた。




画像:ウニパパさん提供



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